カスタマイゼーションとデザイン、そして、コンテンツ

人間中心設計とか、ユーザー中心デザインとか、日々、考えてるわけですが、それに関連したことで、カスタマイゼーションとデザインの関係性、そして、人間の生活行動とコンテンツ(商品、情報コンテンツ)について思うところがありますので、今日はそのあたりをつらつらと。

続きを読む

ペルソナで「普通のユーザー」をつくろうとしてはいけない

昨日も「ペルソナを使ってWebデザインの評価を行う」でペルソナに関するエントリーを書きましたが、今日もちょっとペルソナに関して気づいたことがあったので、またまたペルソナ関連の話題で。 気づいたのは、ユーザー調査に基づいて複数の実在のユーザーからペルソナをつくる場合、気をつけないと「そんな人いねえだろ」っていうペルソナができてしまうということです。 もちろん、実際にいないような人のペルソナをつくって、それをデザインに活かそうとするのは無駄です。 だって、実在しない人がデザインされたものを使うということは永遠に訪れないわけですから。

続きを読む

ペルソナを使ってWebデザインの評価を行う

あまりアクセス数が多くないサイトに関して、コンテキスチュアル・インクワイアリーなどの手法を使ってユーザー調査を行いたい場合、どうしてもネックになってくるのがそのサイトを普段使っている人を調査にリクルートすることがむずかしいという点です。 いや、Webサイトのデザイン評価を行おうとする際には、よほど知名度があり、アクセス数も多く、かつリピート利用がされるサイトでなければ、普段の利用状況の把握するためのコンテキスチュアル・インクワイアリーによる調査を行うための対象者はまず集めることができないといってよいでしょう。 もちろん、その場合でも類似のサイトを含めて、ユーザーがどのようにサイトを利用するのかを調べることはできます。しかし、そうしたユーザーによる特定のサイトのデザイン評価=ユーザビリティ評価を行ってもらうことは不可能に近い。 では、そうした場合、どうするか? そんなときこそ、ペルソナを使うのがよいのではないかと思っています。

続きを読む

ビジュアルデザインとわかりやすさ

ビジュアルデザインって単に美的なセンスや情緒的な面に訴えるだけでなく、わかやすさや内容を伝わりやすくする面でも重要なものです。 例えば、僕の身近なところでいえば、提案書や企画書を書く際にも美的なデザインに配慮することは必要だと思います。 装飾も含めてきれいにつくられた文書のほうが、読む人、見る人にもわかりやすかったりするから。

続きを読む

物語風のシナリオを描くことでユーザーの利用状況を明確にする

フィールドワーク調査でも、コンテキスチュアル・インクワイアリーを用いたユーザー行動調査でも、調査を実施した後、すぐにユーザー行動を書き記した物語風のシナリオを作成することは非常に大事なことです。 時間を節約するつもりか、マインドマップ・ツールなどを使って、調査結果を箇条書きにまとめる人がいますが、それではダメなのです。なぜなら、箇条書きにまとめたレポートでは、後で調査の現場に立ち会っていない人が見たときに、ユーザーの利用状況がその背後のコンテキストまで含めた形できちんと伝わらないからです。

続きを読む

HCDはユーザビリティを超えて・・・

僕自身、マーケティングから人間中心設計(Human Centered Design)を中心としたコンサルティング活動に仕事の足場を移したわけですが、まだまだごくごく自分に近い範囲でも、HCDって何?的なところがあるようなので、この場を借りてちょっと整理。 最初に書いておくと、ここで整理しておきたいのは以下5点。 1.ユーザビリティだけが重要なわけではない2.道具をデザインするんだから人間中心なのはむしろ当たり前だと思う3.HCDは新しいものを生み出すときにこそ、もっとも真価を発揮するんだと思う4.HCDは別に専門家だけがやることじゃない5.いま知られているHCD的手法だけがHCDの手法ではない というわけで、1つずつ考えを整理していくことにします。

続きを読む

UCDは経営陣のサポートなしに社内で実施することはできない

日本においてはどうなんでしょうか? かつては、企業が製品発売直前に1回限りの総括的評価を採用するのが一般的だったが、現在では、ますます多くの企業が、ユーザビリティとはユーザ中心設計モデルを採用することだと認識するようになってきている。そういう企業は、ユーザ中心設計が、市場での製品の成功に欠かせないことを理解している。 キャロル・M・バーナム『実践ユーザビリティテスティング』 この「かつて」が日本においてもかつてであり、ここで言われる「現在では」は日本の現在とどれほど重なっているのでしょう? 主観的な認識では、どうも日本の現在は、いまだ「かつて」の段階にある気がしています。もちろん、一部の企業を除いてですけど。

続きを読む

ラダーリング法、評価グリッド法、パーソナル・コンストラクト理論

すこし前の「情緒と行動のモデリング」というエントリーでもすこし触れましたが、人間の認知の構造を明らかにするためのインタビューの技術として、最近、ラダーリング法という手法に注目しています。 練習のために、社内でのヒアリングやクライアントへのヒアリングなどでも意識的に利用していたり、最近は結構お気に入り。 基本的には、ユーザー調査におけるインタビューのスキル、調査後の分析スキルを向上させたいなというところが狙いです。 このラダーリング法をうまく用いれば、属性、機能的ベネフィット、情緒的ベネフィットの関係性を構造化できるのかなと思っています。

続きを読む

アイトラッキング:目の動きっていったい何に関係あるの?

ユーザビリティテストにアイトラッキングツールを使うことにますます疑問を感じはじめている今日この頃。 いや、実際には使いますよ。 でも、わかって使わないと、ツールに騙される危険性がすごく高いと思います。あのアイトラッキングってツールは。 ヴィジュアライゼーションに騙されてるだけで、ログ解析だけでユーザーの意識や行動の意味がわかるって言ってるのと同じですから。 いや、ログ解析のほうがずいぶんマシです。そこそこのサイトであれば十分に統計的に意味のあるデータがとれますから。でも、多くて数十人しか対象にしないユーザビリティテストではそうした方向での分析じゃ意味がないと思います。 そうではなくて、目の動きっていったい何に関係あるの?ということを、他の行動分析と比較しながら、その関係性を読み解いていくことにこそ、アイトラッキングを使う意味はあるのだと思っています。

続きを読む

ユーザビリティのルールは前提にすぎない

Web標準の日々のセッションで、ビービットの遠藤さんが「ユーザビリティのルールは前提にすぎない」という話をされていましたが、僕もまさにおっしゃるとおりで、具体的なデザイン・ルールで標準的にユーザビリティを向上するという考え方には疑問を感じます。 ユーザビリティに特定のルールは通用しないここでいうルールというのは、ドナルド・A・ノーマンがいうような「外界にある知識と頭の中にある知識の両者を利用する」だとか「対応づけを正しくする」という原則ではなくて、Webユーザビリティなどの本に書かれているようなボタンがどうたらとか、ページタイトルはどうたらとか、そういうデザインそのものを規定しようとするルールを指しています。 原則はモノのユーザビリティを考える上でヒントになりますが、デザインそのものを規定しようとするルールは場合によってはむしろ障害にさえなると思います。 ユニバーサルデザインへの取り組みを考えてもわかりますが、万人が利用できる、使いやすいデザインを生み出すのは非常にむずかしいことです。ましてや、それをルールのみで実現しようと考えるのは困難です。多くの人が利用するものであっても、モノには特定の用途がありますし、それが利用される特定の環境があるでしょう。それをデザインルールに落とし込むというのは現実的ではありません。 また、公共的に多くの人が利用するものにはユニバーサルデザインが求められますが、特定の利用目的をもつ特定のユーザーだけが利用するものに関してはそもそもユニバーサルデザイ…

続きを読む

コンテキスチュアル・インクワイアリー(文脈的質問)がむずかしい対象

このブログでは何度か紹介している人間中心デザインの利用状況把握~要求開発のフェーズで用いるコンテキスチュアル・インクワイアリー(文脈的質問)というユーザー調査法。 日常という舞台装置の中で日々当たり前のように生活している人間は、ほとんどの場面で無意識のうちに行動していて、そのため、通常用いられるアンケートやインタビューではその行動を把握することがむずかしいという前提に基づき、生活の現場やそれに近い場での再現してもらった行動を観察重視で調査するのがコンテキスチュアル・インクワイアリー(文脈的質問)です。 師匠と弟子代表的な手法としては、インタビューアがユーザーに弟子入りし、師匠であるユーザーは仕事を見せながら説明するという形で、師匠の経験を弟子に伝承する「師匠と弟子」モデルが使われます。 弟子は師匠がツールを実際に使っているところを見ながら、「いま、何をしたんですか?」「次はどうするんですか?」「何をやってるんですか?」と行動に応じて疑問に思った点を根掘り葉掘り質問をするわけです。 それによって、ユーザーが普段はほとんど意識することなく行なっている行動について、なぜそういう使い方をしているのか? 使い方に迷ったのはなぜなのか? その人はツールをどう理解していて、どう使おうと思っているのか?などの、ユーザーのツール利用シーンに関する深い理解が得られるわけです。

続きを読む

認知的ウォークスルー

認知的ウォークスルーは、ユーザビリティ・インスペクション(ユーザビリティ評価)の手法の1つで、テストルームで行うユーザビリティテストなどとは異なり、実際のユーザーを使わずに専門家による分析的評価を行う方法です。 認知的ウォークスルーとはウォークスルーとは、芝居の立ち稽古のことで、衣装や舞台装置を使わなず普段着で台本を片手に行う稽古を指します。 認知的ウォークスルーも同じように、事前にマニュアルを読んだりトレーニングを受けたりすることなく、使いながら操作を理解していく際の認知モデルである探査学習理論に基づき、ユーザーが実行するタスクの各プロセスごとに、以下の4つの探査学習ステップをそれぞれ評価していきます。 目標設定:ユーザーはいま何をするかを設定する探査:ユーザーは目の前のインターフェイスに対してどんな操作を行えばよいかを探索する選択:ユーザーは自身のタスクを進めるために、目の前のインターフェイス上で最適と思われる操作を選択、実行する評価:ユーザーはシステムからのフィードバックを解釈して、自身のタスクが間違いなく進んでいるかを評価する 例えば、ユーザーは駅の自動券売機を前にした際には、この機械で切符を購入するのだという目標を設定し、お金を投入し行き先までの切符の金額に見合ったボタンを押すのだということを探索し、実際に硬貨あるいは紙幣あるいはsuicaなどの投入口に対応するお金やカードを投入して必要な金額のボタンを押すという操作を選択し、発券口から切符、おつりの出口からつり銭あるいは…

続きを読む

Web標準の日々の「アクセシビリティ/ユーザビリティ」トラックにはなんでユーザビリティのセッションが少ないんでしょ?

ちょっと前から気になってたことですが、明日からのWeb標準の日々の「アクセシビリティ/ユーザビリティ」トラックにユーザビリティのセッションが少ないのはなんでなんでしょ? [Web標準の日々] アクセシビリティ/ユーザビリティ トラック - Infoaxia(インフォアクシア) 明確に「ユーザビリティ」なのは、ビービットの遠藤さんの『事例に学ぶ!成果を上げるユーザ中心ウェブサイト戦略』くらい。 業界にユーザビリティを語れる方が不足してるんでしょうか? これはちょっと僕的には不満なところ。

続きを読む

ユーザーテストはこうやります

なんとなくユーザーテスト(ユーザビリティテスト)について、あらためてまとめてみようか、と。 まず昨日も「ユーザー調査とユーザビリティ評価の違い」で書きましたが、ユーザビリティ評価としてのユーザーテストにも大きく分けて2つの手法があります。 総括的評価:定量的な評価で、品質の“測定”が目的。大サンプルに対して、一斉に実査を行う会場テストを実施。形成的評価:定性的な評価で、品質の“改善”が目的。小サンプルに対して、1対1のテストを実施。 昨日も書きましたが前者はパフォーマンスを測るもの、後者は具体的に現状のデザインのどこに問題があるかを発見し、改善を図るためのものです。 人間中心のデザインを行う上で意味があるのは、形成的評価のほうで、多くの場合、ユーザーテストというのはこちらを指すケースが多いと思います。

続きを読む

ユーザー調査とユーザビリティ評価の違い

ユーザーがある製品をどんな風に使っていてどんな潜在的なニーズを抱えているかを調べることと、ある製品のデザインにユーザーが使う上でどんな問題点があるかを調べることでは、調査の目的ははっきり異なります。 「ユーザー調査とユーザビリティ評価を混同しない」というエントリーでも指摘しましたが、前者はユーザー調査であり、後者はユーザビリティ評価です。

続きを読む

よい概念モデル

ドナルド・A・ノーマンが『誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論』のなかで提示している、よいデザインの4原則については「自分が動くから他人が動く(あるいは、よいデザインの4原則と行為の7段階理論)」というエントリーのなかでも少し触れました。

続きを読む

フィードバックという情報をデザインする

さて、唐突ですが、下の3つの文章を読みくらべて何か感じることはありますか? 話しかけても答えてくれない道端の石ころに話しかける人はいないまともなアドバイスが返ってきたことのない上司に何度も相談をし続ける人はいない肌触りのよいぬいぐるみには用がなくても触れてしまったりする これってユーザビリティとか、ユーザーエクスペリエンスを考える上でのキモとなる要素の1つです。 まだ、ピンときませんか。じゃあ、こういうのはどう? ボタンを押してもなんの変化もないUIをいつまでも我慢して見続ける人はいないまともな検索結果を返してくれない検索システムをずっと使い続ける人はいないUIが最高なiPhoneには用がなくても触れてしまったりする 最後の「iPhoneうんぬん」だけは実際に僕自身触ったことがないので、本当そうなのかわかりませんが、それ以外の2つに関しては大部分の人が納得するんじゃないでしょうか?

続きを読む

矢野さんがMarkeZineに「【事例】SESHOPで実験!コンテキストで異なるユーザーの閲覧行動を探る」を執筆

昨日も「プロトタイピングとしてのワークショップ」でちょこっと紹介しましたが、うちの会社のユーザビリティ・エンジニアの矢野さんがMarkeZineに「【事例】SESHOPで実験!コンテキストで異なるユーザーの閲覧行動を探る」という記事を書いてます。 この「受胎告知」をアイトラッキングツールを利用して見てもらった例が下図です。青い丸が被験者の視点が止まっている部分、つまり注視点になっており、作品の中のどのエリアをどういった順序で閲覧していったのか、どの部分を注視したのかがご覧いただけます。 【事例】SESHOPで実験!コンテキストで異なるユーザーの閲覧行動を探る という引用のとおり、レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」を異なる条件で被験者に見てもらい、その際の視線の動きをアイトラッキングツールを用いて調べた結果なども公開しています。 なんで、そんなことをしているかというとですね・・・、

続きを読む

プロトタイピングとしてのワークショップ

いま会社で先日リリースしたばかりの「ユーザー行動調査・要求分析サービス」と「ペルソナ/シナリオ作成サービス」のサービス提供をスムーズに、かつ、僕以外の人でもちゃんとまわせるようにするためのワークショップを行っています。 参加者は僕を含めた中心メンバー5名に、それプラス、サブのメンバー3名の計8名。 8名のなかにはMarkeZineでユーザビリティ関連の連載をもってる矢野さんも! MarkeZineでの矢野さんの最新記事は今日公開されたばかりの「【事例】SESHOPで実験!コンテキストで異なるユーザーの閲覧行動を探る」。この記事もレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」を例に出しつつ、アイトラッキングツールを用いたユーザビリティテストの観点から、ユーザビリティのキーコンセプトであるコンテキストの重要さについて書かれているので要チェック! 「受胎告知」の作品を見てもらったときと同じように、同じページを閲覧している場合にも何か探しているものがあるときと、記事などのページ内容を読んでいる場合で違いがあり、同じUIを見る場合でも、ユーザー属性や与えたタスクやその時の気分のようなもので眼の動きが大きく変わることがわかります。 【事例】SESHOPで実験!コンテキストで異なるユーザーの閲覧行動を探る そんな8名のメンバーで、Contextual Inquiry法によるユーザー調査とペルソナ/シナリオ法によるユーザー行動シナリオ作成の実施練習を行っています。

続きを読む

ヒトは繊細で多感な生き物だから

ヒトって本当にまわりに影響されやすくて周囲のちょっとした変化にも自分の考えや行動を左右されます。 周囲の影響を受けない堂々とした人間とかいいますけど、そんなの嘘っぱちだと僕は思っていて、実はそういう人は臆病な自分を知っているから、まわりの影響を受けそうな場には石橋を何度も叩いても出て行かず、自分の安心できるフィールドの堅牢な壁のなかでだけ発言、行動をしているからそう見えるだけです。 そういう自分をもった人がよいみたいな風潮は昔からありますが、それがよいのは自分の安心できるフィールドで他人から影響を受けにくい形で行動を起こしたほうが成功しやすいというだけで、実はヒトというものはそもそも他の動物同様に生きるために周囲の変化に敏感で多感な生き物であることを理解した上で、外のフィールドで成功をつかむ方法を確立できる人が増えれば、そんな風潮もなくなるのでは、と思ったりします。

続きを読む