文学におけるマニエリスム/グスタフ・ルネ・ホッケ
ともすれば「何もかも飽和状態で、全部ある」ように見えて、それでいて、型(=既存の領域、枠組み)にはまった思考がそう感じさせるだけで、実は手つかずの隙間領域がそれを隙間と呼ぶのもはばかられるほど広大にある。
つまりは、現実は何も行き詰まっていないのに、凝り固まった思想がそう感じさせているという似非袋小路の状況。
それがいまの状況だろうということは、1つ前の記事で紹介した高山宏さんと中沢新一さんの対談集『インヴェンション』でも語られていました。
▲今回読んだ、ホッケの『文学におけるマニエリスム』。分厚い。
そんな状況下で、似非袋小路を打破して面白いものをつくり出す(イメージできるようにする)ためには、2つあるものの間を来るインヴェンション、そして、まさに本来異質である2つのものを対置するためのアルス・コンビナトリア=組み合わせ術が必要なはず。
そんな似非袋小路の迷宮からの脱出を考えるための十分なヒントが、このマニエリスムを研究したホッケの書にはたくさん詰まっています。