発見、メタモルフォーゼ、そして、不一致の一致
新たな理解が生まれるのを育むのは、すでに理解していることの背景にある枠組みである。
そんなことを前回の「理解を妨げるもの」という記事では書いた。
そして、それは新しい価値を創出するという意味でのイノベーションが生まれるのを阻害する要因でもあると。
フランス・アルルにあるレアチュー美術館での展示。
新古典主義の画家ジャック・レアチューのコレクションを元にしたレアチュー美術館のこの展示は、
レアチュー自身が古典的な均整のとれた人体像を描くのに、古代の彫刻の断片などを収集したことを示すものだが、
この展示に続けて、現代的な医学で扱われる人体をモティーフにした現代アート作品が置かれた瞬間、
科学的な身体の扱いと芸術家による人の体への関心がまったくひとつながりにつながる衝撃を感じる。
この日常的にはつながっていないモノ同士をつなぐ発見が今回の記事の主題である
実際、新たな価値の創出をめざして活動する企業内の取り組みでも、その目的とは真反対のことが起こりがちだ。
イノベーション創出のお作法に則って、エスノグラフィーなどのデザインリサーチでいろいろ情報を集めたり、オープンに多様な人を集めてのアイデアソンなどで数多くのアイデアを集めても、その後の統合作業がまったく新たな価値の種を見つけだそうとする発見の姿勢とは真逆のことが行われる。
どういうことが起こりがちかといえば、とにかく集めた情報、アイデアをすべて後生大事に積み上げ式でそこから何かを生みだそうとしてしまうのだ。
KJ…