ペルソナを使ってWebデザインの評価を行う

あまりアクセス数が多くないサイトに関して、コンテキスチュアル・インクワイアリーなどの手法を使ってユーザー調査を行いたい場合、どうしてもネックになってくるのがそのサイトを普段使っている人を調査にリクルートすることがむずかしいという点です。

いや、Webサイトのデザイン評価を行おうとする際には、よほど知名度があり、アクセス数も多く、かつリピート利用がされるサイトでなければ、普段の利用状況の把握するためのコンテキスチュアル・インクワイアリーによる調査を行うための対象者はまず集めることができないといってよいでしょう。

もちろん、その場合でも類似のサイトを含めて、ユーザーがどのようにサイトを利用するのかを調べることはできます。しかし、そうしたユーザーによる特定のサイトのデザイン評価=ユーザビリティ評価を行ってもらうことは不可能に近い。

では、そうした場合、どうするか? そんなときこそ、ペルソナを使うのがよいのではないかと思っています。

ヒューリスティック評価法では問題点のリストにプライオリティがつけられない

実際にユーザーを用いないユーザビリティの評価法としてはヒューリスティック評価法があります。
評価の基準になるものとしては、ヤコブ・ニールセンの10ヒューリスティックスなどが有名です。

  1. システム状態の視認性を高める
  2. 実環境に合ったシステムを構築する
  3. ユーザにコントロールの主導権と自由度を与える
  4. 一貫性と標準化を保持する
  5. エラーの発生を事前に防止する
  6. 記憶しなくても、見ればわかるようなデザインを行う
  7. 柔軟性と効率性を持たせる
  8. 最小限で美しいデザインを施す
  9. ユーザによるエラー認識、診断、回復をサポートする
  10. ヘルプとマニュアルを用意する

このような評価項目を念頭にいれてWebサイトのデザイン評価を専門家が行うのが、ヒューリスティック評価法です。

しかし、ユーザビリティを考える場合、ユーザーが利用する際のコンテキストを無視することはできません。ヒューリスティック評価法に欠けざるをえないのは、このユーザーが利用する際のコンテキストという視点です。

この視点が抜けてしまっているために、ヒューリスティック評価法ではデザイン上の問題点を列挙することはできても、列挙した問題点のうち、どれが真に重要な問題でありどれが取るに足らない問題なのかを正しく評価することができません。また、そもそも、ユーザーのコンテキストを理解できていないため、「2.実環境に合ったシステムを構築する」などの項目は正しく評価できなかったりもします。

ペルソナとヒューリスティック評価法を組み合わせてWebデザインを評価する

ここで活躍するのが、ペルソナです。

アクセス数が少ないWebサイトは類似のサイトも含めた形でしか、コンテキスチュアル・インクワイアリーなどの手法を使ったユーザーの利用状況調査を行うことができません。ユーザーの利用状況が把握できなければ、ユーザビリティ・テストのための正しいタスクを設計することもできません。

しかし、だからといってヒューリスティック評価だけに頼ったのでは、いたずらに問題点ばかりが挙がるだけで、どこを重視して改善すべきかがわかりません。ましてやユーザビリティの問題だけならいざしらず、ユーザーエクスペリエンスまで視野に入れるとなると、ヒューリスティック評価だけではどうにもならない。

そこで登場するのがペルソナです。ペルソナというユーザー視点を交えて、ヒューリスティック評価を行うのです。そうすれば、ヒューリスティック評価法の弱点である、問題点にプライオリティがつけられないという点もかなり軽減することが可能です。

ペルソナ+ヒューリスティック評価法によるWebデザイン評価の手順

ペルソナの作成には、まず、類似のサイトや印刷物なども含めたコンテキスチュアル・インクワイアリーを用いたユーザー調査を行います
たとえ自分たちのサイトの認知が低く、アクセス数がまばらであっても、どこかしら類似のサイトで認知度が高く利用者も多いサイトはあるでしょう。そういうサイトを使っていたり、Webサイトではなくても類似の情報提供を行う紙媒体やTVなどに関して、利用行動に関する調査を行うのです。

次にこの調査結果を元に、KJ法を用いてペルソナのスケルトンを作成し、それを元にペルソナ基本文書とペルソナ行動シナリオを作成する。

この場合、行動シナリオが大事です。ユーザーがどのような順番で、何を重視しながら、Webサイトでの情報収集を行うのか、どんなポイントをユーザーは重視するのかが、その行動シナリオに描かれているからです。

この行動シナリオとヒューリスティックス評価法で用いる10ヒューリスティクスを比較しながら、独自の評価基準リストを作成します。この評価基準リストでは、各ペルソナ(普通は3~5セグメントのペルソナができる)がそれぞれの項目をどれだけ重視するかの重み付けが付与されている。
また、それと同時にプライマリーユーザーに相当するペルソナとそれ以外のセカンダリーユーザーに相当するペルソナにも重み付けを行います。

こうした評価基準リストのマトリックスが作成できたら、専門家によるヒューリスティック診断を行います。その結果をこの評価基準リストに記録していく。
評価点のペルソナごとに重み付けされたポイントの掛け算で各項目を評価していくのです。もちろん、点数をつけるだけでなく、どこにどんな問題点があったかをペルソナの視点でメモしておくことも忘れずに。

この評価により、ヒューリスティックス評価法が苦手としていた、どの問題点が重要でどれがそうでないかという重要度も数値化されてみえるようになります。

この方法は、実際の利用者を見つけることができないWebサイトの評価法としてはかなり有効なものだと思います。
ユーザビリティテストの被験者集めに苦労されている方などはぜひ一度この調査法を試されてはいかがでしょうか?

  

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