リズムを刻む実践的な学習とワークスタイル

小さなアウトプットの蓄積で完成形を生み出すための5つのプラクティス」や「普通のデザイン―日常に宿る美のかたち/内田繁」で、しきりに「リズムをつくる」ことが重要では?ということを書いています。

で、リズムをつくる上でのミソはやっぱり、小刻みに小さなリズムを重ねていくことではないかと思っています。

「1日30分」を続けなさい!

フランスコネコのえるさんが『「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55』という本を紹介しています。

内容は非常にわかりやすいし、できることを無理せずやるという形ですが、とにかく続けること、そして「1日30分」を続けなさい!というタイトルですが、あたりまえながら、1日30分じゃ留学までの道は遠いということで、目標に合わせて自分で計画を立てましょうということでした。

「できることを無理せずやる」。これ重要。
なので「30分」かどうかは重要じゃない。自分が無理せずできる時間であればいいんです。それよりリズムよく続けることのほうが大事だなと思ってます。

僕の場合でいうと、毎日の通勤の片道20分弱の電車の中では往復ともに、かならず本を読むようにしてますし、基本的にブログは自分の頭の整理のために、1日1本書こうと思ってます。
本を読むのも、ブログを書くのも、もうすこし余裕があれば電車の中以外でも読むし、1日2本以上書くこともあります。
でも、重要なのはそうやって1日の量を増やすことより、細かな蓄積を継続していくことで、ほぼ毎日続けることだと思います。そして、毎日リズムよく続けることで、最初はちょっと無理してやってたことも歯を磨くのと同じくらいふつうなことになります。

リズムを刻む実践

リズムを刻み、それを継続していくことに関しては、「Think! No.22(2007 SUMMER) 」の「デザイン思考力」の特集のなかでの、奥出直人さんの「実践トレーニング:デザイン思考の哲学と作法」にも類似することが書かれていました。

このリズムの中で生活し、活動を続けるのである。リズムを刻む実践の結果として創造的な結果が生まれてくる。これがデザイン思考の根幹となる考えである。これはプラグマティズムという哲学で主張されていることだ。この哲学においては実践を可能にする方法の中にインテリジェンスがあると考える。
奥出直人「実践トレーニング:デザイン思考の哲学と作法」

「実践を可能にする方法の中にインテリジェンスがある」。これはまさに「新訳・茶の本―ビギナーズ日本の思想/岡倉天心著、大久保喬樹訳」や「普通のデザイン―日常に宿る美のかたち/内田繁」で示された茶道-茶会の作法に通じるところがあります。

そして、リズムが刻めるようになると、コラボレーション力も高まってきます。

小さなリズム、大きなリズムを身につけると、誰かとリズムを合わせて、自分1人ではできない大きなことができるようになる。コラボレーションを行うときは、目的や技術や作業の共有に先立って、相方と時間をシンクロさせなくてはいけない。リズムを感じながら考えて行動している人同士がコラボレーションすると、時間が余って、やりたいことがあっという間にできるようになる。
奥出直人「実践トレーニング:デザイン思考の哲学と作法」

僕が最近、コラボレーションやリズム、そして、茶会での作法などを参考にした新たなワークスタイルの創出にこだわってるのは、まさにこうした身体性を重視したコミュニケーションが必要だと思っているからです。

創造性を重視した新しいワークスタイル

前に書いた「形式知と暗黙知(っていうか直接話をきいてやれ)」では、「情報共有の前に、雰囲気の共有、場の共有が大事だよね」っていうようなことを書きましたが、共同作業による創造性を重視したワークスタイル、人にフォーカスしたものづくり、そのための新しい働きかたを創出するためには、情報共有とかじゃなくて、いかに身体的なリズムを共有できるかのほうがはるかに重要になってくると思っています。

生産性を高め、より多くのものをより効率よく市場に流通させるやり方は今後もありだと思いますが、その一方で組織の創造性を高め、これまで市場に存在しなかったイノベーションにより付加価値ならぬ価値そのものを市場に提供することで利潤の追求を図ることもいまの企業には求められている気がします。

それはこれまでのように競争戦略を重視し、他社のベストプラクティスをウォッチすることで、類似と相違をうまくコントロールして差別化を図ってきた、コンペティター重視の考え方とは違うものになるはずです。イノベーティブな商品の市場投入により市場における価値そのものを価値転換によって創造する戦略においては、他社の成功事例に着目するよりも顧客の日常における失敗をいかに発見できるかが鍵になるでしょう。

人にフォーカスするために

ものづくりにおいては、ものにフォーカスするのはなかば当たり前のことです。そうしたアプローチには多くの知見が蓄積されています。
でも、反対に人にフォーカスしたものづくりには、それほど多くの知見が蓄積されているとは言えない状況だと思います。

ものにフォーカスすれば物理学や化学などの科学技術の応用工学を中心にものづくりができます。しかし、人にフォーカスした瞬間、科学技術だけではなんとも物足りません。
人が自分でも意識しない行動や好みを他人が理解して、それをものづくりにいかそうというとき、これまでの分析的で機能主義的な開発手法・デザイン手法だとダメなんです。それは正しいものづくりの方法ではあっても、人が快適につかうものの正しいつくり方ではありません。

さっきも書きましたが、ユーザビリティとかややこしい話じゃないんです。
つくったものを人に使わせるか(人を道具に従わせるか)、人につかってもらえるようものづくりをするか(人に道具をあわせる)の違いです。

身体的な協調、コラボレーションを生む場の形成力

それには人にフォーカスすることが前提です。

しかし、この場合、人にフォーカスするというのは、これまで科学的、分析的なやり方でフォーカスするだけでは足りなくて、もっと身体的に、対象となる人のリズムを感じ取ることが必要だと思っています。
それには、固定された部門などを越えて人々が交わる茶会のような場の形成力、ふだんからリズムよく学習や仕事をおこなう生活習慣を重視することが大切だろうなと思います。

それこそ、できることから無理せずに、そうした新しいワークスタイルを自分のまわりからつくりあげていければよいなというのが自分の課題です。

まだまだ、ぜんぜん模索中ではありますが、それがデザイン・シンキング、日本発の人間中心設計につながっていくのだろうという予感があります。

   

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