狭義のマーケティング、広義のマーケティング

マーケティングとは「売れるしくみをつくること」だと要約されます。
これはおそらく皆さん、一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか?

狭義のマーケティング

しかし、現在、一般的にマーケティングだと考えられているものは、「売れるしくみをつくること」という視点に立てば、その範囲があまりに限定されすぎていると思います。

広告、SEMやネット広告などを使ったWebマーケティング、ダイレクト・マーケティング、新製品企画、店頭プロモーション、PRなど。
おそらく、マーケティングと聞いて思い浮かべるのはこんなところでしょうか。
あとは市場調査なんかを思い浮かべる方もいたっしゃるかもしれません。

でも、本当はこれらは狭義のマーケティングに含まれるものに過ぎません。
これらはある意味では企業内のマーケティング部門が直接関わる仕事だといえると思います。

しかし、マーケティングが単にマーケティング部門だけの仕事ではなく、全社的に取り組むべきものであることは、ドラッカーやセオドア・レビットあたりが昔言っていることです。

そうした全社的な取り組みとしてのマーケティングを広義のマーケティングと呼ぶことにしましょう。

広義のマーケティング

では、広義のマーケティングにはどのようなものが含まれるか?

MarkeZineでの連載記事「ビジネスとWebのギャップをシックスシグマで埋める 前編」のなかで、戦略マップとバランスト・スコアカードを用いた企業戦略の実行について紹介しました。
バランスト・スコアカードはご存知のかたもいらっしゃるかと思いますが、「財務の視点」「顧客の視点」「内部プロセスの視点」「成長・学習の視点」の4つの視点で、個別の目標を立てつつ、最終的な企業の目標の達成するための戦略実行・管理ツールです。

いかにして最終目標を達成するかを明確な形で可視化することが戦略マップの役割です。その上で、個別のCSFに対応した業務上の行動目標としてKPIを設定することで、それぞれのアクションの進捗と達成度合の測定が可能になります。こうした進捗や達成度合がそのつどフィードバックされる仕組みがあってはじめて、実行段階における戦略の管理、コントロールが可能になるのです。

「財務の視点」「顧客の視点」に関しては、狭義のマーケティングが主に関わるところだといえるでしょう。かといって、狭義のマーケティングがそのすべてをサポートしているかといえばそうでもないでしょう。

しかし、それ以上に問題なのは、狭義のマーケティングにおいては、「内部プロセスの視点」「成長・学習の視点」という部分をほとんど視野に入れません。バランスト・スコアカードの考え方は、この4つの視点すべてにおいてビジネス目標を達成していくことにより「長期の株主価値」だったり「利益の拡大」といったような最終的な企業目標の達成を目指すのですから、これこそ広義のマーケティングだといえると思います。

全社的な取り組みとしての「売れるしくみの構築」

そう捉えれば、何もいわゆる狭義のマーケティングに含まれるような企業活動のみが「売れるしくみの構築」につながるものでないことは理解できると思います。

例えば、以下のようなものも「売れるしくみ」を構築する上ではとても重要なポイントだったりするのではないでしょうか?

  • 優秀な人材の採用するための人事戦略
  • 優秀な人材の離職率の低減
  • 企業の社会的信頼の向上につながる透明性の確保
  • 社内教育、成長の基盤となる社内コミュニケーション環境の整備
  • 新商品・サービス開発サイクル・スピードを維持するしくみの構築

こうした狭義のマーケティングでは無視されがちな企業のしくみの整備のほうが、売上や利益の拡大につながる可能性はより大きいのではないかと思います。

徳力さん
が、現在話題になっている口コミ・マーケティングに対して、製品がダメならそれもむずかしいのではないかと書いてらっしゃいましたが、確かにそのとおりだと感じます。

たしかに、やらせブログの記事によって、製品を買う人は確実にいるでしょう。
でもその実際の製品が、やらせブログの記事の内容とかけ離れた製品であれば、結局その製品を買った人からはその製品に対してポジティブなクチコミは発生しません。
それより、「だまされた」というネガティブなクチコミが発生するはずです。

小手先のマーケティングでは持続的な効果は生まれません。

では、なぜ小手先のマーケティングに走る必要が生まれるかといえば、より本質的なところで企業の力をつける「売れるしくみの構築」のための全社的な取り組みがなされていないからではないかと思います。
それこそ、小手先のマーケティングが効果を生むのはそれ以前に企業内により本質的な「売れるしくみ」の基盤ができている企業だったりするのでしょう。

つまり、差は広がるばかりというわけですし、昔のしくみをいつまでも更新しないまま、それにしがみついている企業はどんどん元気のよい企業に追いつかれ、追い越されたりするのだろうと思います。

むずかしいことですが、できなくはないことです。

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