情報デザインおよび組織デザインにおけるツリー構造とリンク構造

成長するネットワークは、自己組織化が働きスケールフリー・ネットワークになる傾向があるとい言えるのかもしれない。

そんな風に思ったのは「C O U L D」のこんな記事を読んだから、

ここ数年のWebサイトのサービスをみていると分かりますが、従来のフォルダ階層を使わずタグを使い始めています。その理由は幾つかあると思いますが、そのひとつは情報(ファイル/サイト)がひとつのカテゴリでは表現しきれなくなってきているからだと思います。


大量の情報を分類・管理しようという時、ツリー構造が破綻をきたすのは、ある意味自明なことで、そんな分類が可能なのは真に非可逆的な生物の進化の樹形図(進化したらもう後には引けないし、分裂後に他とまじわることもない)においてのみだろう。

で、そんなツリー構造にとって変わろうとしている、タフ=メタデータによる分類だけど、先のエントリに書かれているような「長年 Windows や Macに慣れ親しんでいる人には既に頭の中がフォルダ階層になって操作している人もいると思いますし、Webサイトも従来はフォルダ階層の概念をとってきたと思います。それでは管理しきれなくなってきているのは分かりますが、いきなり大胆な変化は期待出来ません」という発想は、実はちょっと違うんじゃないの?って思ったりする。

だって、Webには元々リンクっていう階層構造を超えるものがあるわけだし、Windowsを考えてみたってデスクトップにショートカットを並べるのは階層構造を無視しているともいえる。
なので、技術的な意味で、ファイル管理がツリー構造からメータデータを使ってノード(ファイル)を複数のリンク(タグ)で管理する形になるっていうのがこれから起こることであるという認識は正しいかもしれないけど、人のアプリケーション利用やWeb利用においてはとっくにツリー型の階層構造なんてなくなっていると思うわけです。

だって、amazonのサイトが技術的な意味ではなく、感覚的・リンク構造的な意味で、ツリー型をしているなんて思う人はいないだろう。
最近、どうもその辺をWebサイト設計者が誤解しているように思う。RSSとかってもはやツリー構造の呪縛を完全に逃れているんじゃない?
ファイル構造とリンク構造をごっちゃにしてちゃいけないんじゃないでしょうか?

この本を買った人はこんな本も買っています!!!!!!!!!!!!!!!

ファイルをベースに考える還元主義的発想から、ユーザー行動をベースにとらえるネットワーク的発想に切り替えていかないと、この膨大な情報を処理可能なWebサイトの設計なんてできないんじゃないかと思うのだ。

さて、Web2.0的な流れや、これまで何度も当ブログでmemo的エントリーとして扱ってきた「ウェブ進化論」的な流れにおけるWebとビジネスのギャップだとかそれを埋めるみたいな話でいえば、やっぱりいまのWebサイト設計者はもっとビジネスをちゃんと理解しなきゃいけないと思う。
(参照: [memo]何を本当に実現したいのか? )

で、それと同時に、Webサイト設計でビジネスを理解して、そのビジネスにおける必要な情報デザインを行う上で、本当にこれから重要になってくるのは、調整役としてのディレクターじゃなくて、むしろ、実際に設計=デザインするデザイナーなんだろうねって思ってくる。
もちろん、この場合、全部をつくりあげるっていう意味での制作と、最初の設計=デザインは切り離して考えなきゃいけないわけで、この2つは作業効率化という意味でも必要なスキルは異なる。デザインはやっぱりビジネス情報をきちんとネットワーク管理可能な基盤を設計することを効率化しなきゃいけないし、制作は作業効率そのものを効率化する方法を考えなくてはいけないだろう。
そういうことをちゃんと考えていかなきゃ、いくら「あちら側」であるこっちがWebのビジネス活用なんてことを言ってみたところで、「こちら側」である既存のビジネスをやってるあっちの連中が真に受けてくれるわけがないのだ。
他人を変えたければ、まず自分を変えるべきだ。
カンブリア期の爆発を起こした三葉虫はそういう意味で自ら眼を進化させたんでしょ。

さて、話をツリー構造とリンク構造に戻すと、ネットワーク理論の研究者である、アルバート・ラズロ・バラバシはこんな風にいっている。

ごく最近まで、経済的に成功しようとするなら大量生産こそが王道であり、そのためにはツリーモデルが最適だった。しかし今日では、アイディアと情報に価値が置かれるようになっている。今日では夢見たものは何でも作れる。真に価値ある問題は、何を作るかということだ。
アルバート・ラズロ・バラバシ『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』


この本でバラバシは、インターネットやWeb、細胞内ネットワークにおけるスケールフリー・ネットワークが、たくさんのリンクをもつハブがべき則にしたがって存在する理由として、成長と優先的選択をあげている。
つまり、ネットワークにノードがどんどん追加されていく成長過程では、「お金持ちほどより豊かになる」ような優先的選択がはたらき、ネットワーク全体をつなぎとめる上で重要な役割をはたすハブが生まれることを指摘している。

このようなスケールフリー・ネットワークの自己組織化を信じるかどうかが、ツリー構造からリンク構造の転換をスムーズに実施可能かどうかの鍵を握るのではないかと思う。

ネットワークの自己組織化は、Web2.0的なところでwisdom of crowds(集合知の利用)につながるユーザーへの信頼って部分がそれにあたるだろうし、イントラネット2.0的に考えるなら、Google社内で実現していると『ウェブ進化論』で紹介されているような階層構造を破棄した社内の情報共有を実現するために必要な従業員を信頼したツリー型階層構造の撤廃なんかも視野にはいってくるのだろう。

こんな風に考えると、Web2.0なんて言葉でいまの流れを表現し続けてていいのかなってやっぱり疑問に思う。
まぁ、それはこのあいだも書いたけど。



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