『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』は6月末発売

僕の新しい本、『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』。当初は6月18日に発行予定でしたが、いろいろあって発行が遅れてます(すでにご予約なされた方、お待たせしてすみません)。
amazonでは、7月16日発行という風になっていますが、おそらく今月中(6月29日)には書店に並ぶ予定です。もうしばらくお待ちください。

さて、相変わらず、amazonではまともな情報が出ていないので、僕のほうからすこし内容に関する情報を。
今回は「デザイン思考」をキーワードに、仕事における問題発見や問題解決の基礎的方法について書いています。

デザイン思考の仕事術を身につける

デザイン思考とは、先日の「意味論的転回―デザインの新しい基礎理論/クラウス・クリッペンドルフ」というエントリーでも紹介したように、IDEOのCEO、ティム・ブラウンが「デザイナーの感性と手法を用いて人びとのニーズと技術の力を取り持つこと」あるいは「現実的な事業戦略にデザイナーの感性と手法を取り入れ、人びとのニーズに合った顧客価値と市場機会を創出すること」と説明するものです。

僕自身は、このデザイン思考を使った仕事の方法を以下のような観点で、本書のテーマとしました。

ただ、実際のデザイナーの仕事が本当にそんな風に何の前触れもなく天から降ってくるインスピレーションによって行われているかというと、決してそんなことはないはずです。デザイナーの仕事の方法や思考のプロセスのなかにも、ほかの仕事と同様に形式知化できる点は結構あるのです。その方法とプロセスを実際に体系化して学べるようにしたのがデザイン思考の仕事術です。
(中略)。だからこそ、デザイナー以外の方でもその方法を用いて仕事ができるようになるし、僕がワークショップを開催しているようにデザイン思考の仕事術を学ぶための教育プログラムも用意できるのです。
拙著『デザイン思考の仕事術』

実際、この1年、ペルソナやシナリオを中心にいくつかデザイン思考の方法を用いたワークショップをやらせていただき、これは別にいわゆる狭義のデザインの仕事だけでなく、もっと一般的な企画や問題解決の方法として使えるし、普通の人でも十分身につけられる方法だなと感じているわけです。そんな感触もあって、本書はデザインとは無縁の一般の方にもデザイン思考の仕事の方法について知っていただけるよう書いたものです。

人間自身の生活、生き方、そして、生命としてのあり方を提案する仕事

そもそも、デザインということばの定義も、一般的にデザインと考えられているよりもはるかに広くみています。

いま自分たちが置かれた状況をすこしでも良くしようと思って仕事をしているのなら、その仕事はデザインなのです。あえて定義するならデザインとは、人間自身の生活、生き方、そして、生命としてのあり方を提案する仕事です。そのためには人が生きていく上で何が問題になっているのかを知り、その問題解決に役に立つ道具や手段、しくみを考え、現実に人がそれを利用できるようにするためのさまざまな段取りを行うことが必要でしょう。暮らしの道具をつくること、仕事の計画を立てること、企業が利益をあげるために組織を編成すること。そうした人が何かをよりよく成し遂げるための人工物を考え、生み出す活動すべてがデザインです。
拙著『デザイン思考の仕事術』

つまり、あらゆる仕事はデザインの仕事です。
もちろん、ここでいう仕事はいわゆるビジネスとして企業組織のなかで行う仕事のみを指しているわけでもありません。旅行の計画を立てること、今夜の夕食の献立を考えること、自分の将来や日本の未来に思いを巡らせること、そうしたすべての生きる上での活動をデザインの仕事だと想定して、僕はこの本を書いています。

デザインは生活に秩序を提案し実現するものです。物に意味を与える仕事です。人は「分かる」ためには物事を「分ける」必要があります。地と図がその境にある輪郭線で分かれているからこそ、人は物を認識できる。概念で分けたものを五感で認識できる色や形を与える仕事がデザインです。アレとコレを分けた境界線を人が認識できるようにすることで、人にアレとコレの意味の違いを分かるようにする。それがデザインの基本です。遠く古代より人はそのようにして物に意味を与え、自分たちの生活秩序を築き上げてきたのです。
そうした意味において、あらゆる仕事はデザインの仕事なのです。
拙著『デザイン思考の仕事術』

アレとコレの違いを分ける。
分けるためには地と図を見分けるための視点をもたなくてはいけないし、自分で分けて分かったものを他人にも分かるように伝えるために、どう分けたか、その分け方が何を意味するかを表現する必要があります。もちろん、そうやってアレとコレを分けることが他人の生活にどんな意味を持つのかを考えたうえでそうした活動を行う必要がある。その活動を具体的にどんな風にやっていけばいいかということを本書では扱っています。

本書の内容と構成

というわけで、本書が対象とするのは、いわゆるデザイナーの方ではありません。「いま自分たちが置かれた状況をすこしでも良くしようと思って仕事をしているのなら」、あなたはこの本の読者です。

ですので、この本で紹介しているデザイン思考の仕事術というのは、いわゆる表面的なスタイルを生み出すための方法ではありません。

デザインの方法というと、グラフィックデザイン、プロダクトデザインなど、最終的なアウトプットそれぞれに固有な方法ばかりが論じられます。この本ではそうした個別のアウトプットを生み出す技術ではなく、より基礎的なデザインの力である物事を組み立てる方法を紹介します。
拙著『デザイン思考の仕事術』

そう。物事を組み立てる方法をこの本では扱っています。

目次は以下のとおりです。

はじめに
  • バラバラの情報が散らばった世界で
  • 十八世紀ヨーロッパの情報爆発
  • あらゆる仕事がデザインである
  • 仕事に活用するデザイン思考
Chapter 1 デザイン思考とは
  • ビジネスシーンで注目される「デザイン思考」
  • デザイン思考が仕事を変える
  • デザインの方法とプロセス
  • 情報化~情報の構造化のスキル
  • デザインとは生活文化をつくる仕事
  • グループワークでアイデアを創発する
  • デザイン思考の仕事術のための基本姿勢・七箇条
Chapter 2 デザイン思考の「情報収集術」
  • 川喜田二郎さんの発想法
  • 情報の圧縮化から発想が生まれる
  • 情報と情報化
  • 人間行動の観察のための七つの着眼点
  • 調査は新たな視点の発見のために行う
  • ワークモデル分析
  • ヴュジャデをみるために
  • デザイン思考のための情報収集ではないこと
Chapter 3 デザイン思考の「企画発想術」
  • 発想のひらめきはどこからくるのか?
  • パースのアブダクションと記号学
  • KJ法を行う準備をする
  • KJ法を使って情報を動かす
  • 図解化することで全体が俯瞰できるようになる
  • グランドデザインを組み立てる
  • 利用者像のモデル化
  • ペルソナをキャスティングする
  • シナリオによるデザインコンセプトの明示
  • デザイン要件を抽出する
Chapter 4 デザイン思考の「問題解決法」
  • コンセプトを具現化する
  • デザイン要素の構造化
  • 物事を包括的にとらえる目利きの力
  • 身振りを通して
  • 蒐集~モデル化~編集
  • トライアンドエラーを計画的に
  • 利用シーンのシミュレーション
  • ユーザーを使った検証
Chapter 5 デザイン思考の「職場作分術」
  • 人工物の意味の四つのコンテキスト
  • 在点―ポイント・オブ・ビーイング
  • 場と作法
  • リフレーミングで自分の枠の外に出る
  • 働く場の作分
  • プロジェクトをデザインする
  • 仕事の空間を遊びの場にする
  • なぜ遊びの場なのか?
  • 手続きと趣向
おわりに
「デザインしすぎない」

といった構成。なんとなく内容のイメージはできますでしょうか?

今回はいわゆる人間中心設計プロセスの枠を超えた方法も紹介しています。以前から人間中心設計プロセスだけでは何か足りないよねということは指摘していましたが、それを補う部分に関しても割と踏み込めているかな、と。キーワードとしては、アブダクション、アナロジー思考、目利きの力、遊びの場などは、ほかの人間中心のデザインを冠した本では扱わないところでしょう。

中心となっているのは、膨大な情報にいかに身体的に接し、そこから有益な発想を生み出すには?ということです。

今日はこのくらいにしておいて、また追加情報があれば、どんどん出していこうか、と。
発売まであと約半月。もうしばらくお待ちください。



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