専修大学・コンテンツデザインコース展「呼吸する文庫」

今日は、専修大学ネットワーク情報学部・コンテンツデザインコース展を見に行ってきました。



同展は、同学部同コース2年生の2008年度コンテンツデザイン総合演習 の最終成果発表会として開催されたもので、僕は上平先生が担当教員、内田洋行次世代ソリューション開発センターUCDチームの方々が特別講師をなされた「呼吸する文庫-本を巡る経験のリフレーミング」を中心に見させてもらいました。

HCDプロセスによるデザイン演習

「呼吸する文庫」という課題は、公式サイトに以下のように説明されているとおり、本棚を取り巻く人々のコミュニケーション、インタラクションを人間中心設計のプロセスを使って、調査・分析をし具体的にデザインに落とし込むというものでした。。

「呼吸する文庫」は、コミュニティの中に生き続ける本棚と、取り巻く人々のインタラクションをデザインする演習課題です。

対象をユーザーを自分たちと同じ大学生に設定し、5チームそれぞれが独自に調査を行った結果をもとに、ペルソナを作っていました。



自分たちと同じ大学生だからペルソナを作るのはそんなにむずかしくなかったかな。でも、簡単さが逆に一歩踏み込んだユーザーの理解を阻害してしまうという面もあるでしょうね。
でも、はじめての人間中心設計プロセスによるデザインだったら、そういう部分的な理解よりも調査、ペルソナを使ったユーザーモデリング、要件の抽出、プロトタイピングという一連の流れを体験することが大事ですね。流れを通して体験することで、プロセスのどの段階で何をやっておかないと次につながりにくいかが見えてくるものだと思います。

HCDプロセスを通じてデザインを組み立てる

そういう視点でみて面白かったのは、Booco(ブッコ)というコンテンツでした。



このチームが対象ユーザーとしたのは、卒業間近の大学4年生。このチームはまず、4年生にもなると出席しなくてはいけない授業数が減り、仲のよかった友達とも会う機会が減るということを調査から発見してる。それまで仲が良くても、そんな風に会う機会が減って疎遠になると、電話やメールもなかなかしづらくなるそうです。きっかけがつかめない。でも、mixiの日記にコメントするように、きっかけがあればコミュニケーションはできる。
そこをこのチームはデザインで解決する問題と定義していました。本の貸し借りをきっかけに疎遠になった友達と会えるシステム。

調査で得た発見をコンセプトにもっていく組み立てがちゃんとできていたのもよかったんですけど、実際のデザインにも気配りがあったのがよいなと思ったところ。

ひとつは、ゼミ室にあるような共有の本棚に自分の本を置いてしまうのは嫌という人の心理をちゃんと汲んでいたところ。それぞれが本を共有本棚に貸し出すのではなくて、逆に学校側が小型の本棚として本立てを貸し出すという発想に逆転した。この気配りがよいな、と。
その本立てが友達との貸し借りをつなぐ役目をするんですが、その説明は割愛。そんなことより、この本立てに本を立てると本立てがブーと鳴くというほうがポイントが高い。

もうひとつは友達と貸し借りしたログを記録できるしくみになっているんですけど、その表のヴィジュアルデザインがきれいなので、それをそのまま印刷するとブックカバーにもできるようになっていました。この気配りもよいな、と。

調査の発見からコンセプト、そして、実際のデザインを組み立てられていたのは、なかなかデザインを仕事にしてる人でもできないことです。これがじゃあ、実際に使われるの?というと疑問ですけど、それをここで問題視してもしかたない。組み立てるプロセスを学ぶ演習だと理解しましたので。

HCDプロセスは発想を組み立てる方法

人間中心設計というと、なんとなくむずかしそうとか、方法論が先行してるという印象をもつ人がいると思いますが、実際はそんなことはありません。
そんなむずかしい話ではなく、もっと単純に、現状に疑問をもち、それに対していろいろ調べながらアイデアを膨らまし、人と物の関係=インタラクションを具体的なデザインに落とし込んでいく発想の組み立てのプロセスなんですね。何のためのプロセスかを忘れたら元も子もありません。

人間中心設計や、あるいは、もっと広い意味でデザインというものをむずかしいものと感じる人は、発想を組み立てるということを必要以上にむずかしく考えすぎてしまっているんじゃないかな、なんて思います。いかに発想するかですから、それこそ、むずかしく考えすぎたら、でてくるはずの発想も出てこないようになります。大事なのは方法を覚えることより、発想のコツをつかむことですから。

そうじゃないんですよね。最初にプロセスさえちゃんと教えてあげれば、大学2年生でも人びとの視点からデザインを発想して組み立てていくということができる。そういう発想の組み立てる環境や場を提供してあげることが、こういう教育の場でも、企業の現場でも大事なんだと思います。それをせずに、学生や部下がものを考えないとか、自分たちで発想を組み立てないなんていってるのは、むしろマネジメントする側に問題がある。発想のマネジメント力ということがこれからますます重要視されてくると僕は思っています。
今日はそういうことをあらためて教えてもらった気がします。

上平先生、楽しい会にお誘いいただき、ありがとうございました。



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