結合術(アルス・コンビナトリア)に関する断片

バラバラの断片をどうつなぐか。
最近、「結合術(アルス・コンビナトリア)」に関心があるので、いくつかの書籍から断片を拾ってメモ。

マーシャル・マクルーハンの遺著『メディアの法則』も近々邦訳が出ますが、副題に「新しき学」をうたっていることからもわかるように、つなげよう、似ているところを見つけようとする仕事でした。「メディア」を本来の「間をつなぐもの」という意味に帰そうとしている。メディアって、もともとは人と神をつなぐ巫女のことですからね。

まず、断片をつなぐ仕事がメディアの問題であるということは了解。では、そのメディアとは何なのか?

タブローの上に断片を並べて視覚的に編集する

スタフォードに教えてもらったのが17~18世紀の「驚異博物館(ヴンダーカンマー)」がそれにあたりそうだと。

人工物か、天然物か、異教の物かキリスト教の物か、普通の物か異国の物かは問わず、ともかくそうした物どものは、見出す行為そのものがいかに偶然と雑然のわざくれであるかを即教えたわけである。精妙に三次元化されたこのさ寄物陳思のコラージュを眺めてみると、いかに我々の学習が断片を闇くもに集め、編集する骨折りによって成り立っているものかがはっきりしてくる。

スタフォードのこの断片のつなぎ合わせの話を「我々の学習」としての意識の話にもっていくあたりは、『ヴィジュアル・アナロジー―つなぐ技術としての人間意識』の書評を書く際まで置いておくとして、これは「近代文化史入門 超英文学講義/高山宏」で書いた「タブロー」=「テーブル」の話とは切り離せない。

ミッシェル・セールにとって『デ・アルテ・コンビナトリア』とはタブロー化一般についての研究なのである。神の理性はあらゆる図表に抜きんでた予定表であり、予定調和とはあらゆる法則の一覧表のことであり、十全な百科全書とはまたも完璧な一覧表である。図表の助けを借りてこそ、既知のものから未知の項が割り出される。
ジョン・ノイバウアー『アルス・コンビナトリア―象徴主義と記号論理学』

これ視覚的でないと意味ないんだろうな、と思う。
電子辞書と紙の辞書の一覧性に人が違いを感じるように。

ライプニッツの結合術

ジョン・ノイバウアーの『アルス・コンビナトリア―象徴主義と記号論理学』を読んでいると、ライプニッツの考えていた普遍の学としての「アルス・コンビナトリア(結合術)」ってのはすごいなと思う。これは一回ちゃんと勉強しとく必要があるなと思う。

順列組み合わせの文芸を「アルス・コンビナトリア(結合術)」という。一定の要素の中で順列組み合わせをしていけば、それが何万、何十万ともなるというアートは、オリジナルなものを無視して、どこまでもリピートできる。独創の大地に足はついていないが、一見多彩で豊かな文化、それがピクチャレスクが最後に行き着いたところである。

スタフォードも『ヴィジュアル・アナロジー―つなぐ技術としての人間意識』のなかで、ライプニッツの結合術のなかのアナロジーの力を参照しつつ、それが目指した普遍に関しては、あっさりこんなことも書いているのでおもしろい。

少しく控え目な私的コレクションを描いた絵など見ても、アーリーモダンの博識家たちが普遍だの、包括だのということを信じていなかったことがわかる。その大なるか小なるかを問わず、いかなる貯蔵庫をもってしても、あらゆる学知をおさめることはできない。デジタルなデータベースにさえ、できない。
バーバラ・M・スタフォード『ヴィジュアル・アナロジー―つなぐ技術としての人間意識』

まぁ、貯蔵庫ではないよな。このあたりは「ヒット商品、データベース、そして、言葉の壁」です。とうぜん、ライプニッツ自身、それは了解してたところ。
ライプニッツがおもしろいと思うのは、ここ。

普遍文字を構成する基本記号はできるかぎり自然の姿をしているべきだと要求する。その方が学ぶにたやすく、記号の組み合わせが記号の姿からすぐにも導きだせるからである。ライプニッツは不変文字を「幾何学的な図形、あるいは絵の姿をとって」生じるものであると思い浮かべている。「さながらかつてのエジプト文字、今日の漢字のように」。
ジョン・ノイバウアー『アルス・コンビナトリア―象徴主義と記号論理学』

ここまでくると、かのカリグラファー・空海まで話がつながりそう。

このとき空海がインテグレーションを進行させるにあたって最もこころがけたことは、「思考の内容を感情の内容とすること」(シュタイナー)であったかと思う。新密教創出の当の担い手に分離や分断がおこってはならなかった。そのうえで、至高の存在にみずからが導かれているのだという確固たる信念にしたがって歩みはじめた。右脳に直観、左脳に方法をもって・・・。

というわけで、話が大きくなりすぎる気がしたので、このへんでメモ終了。

  

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