私的インフォメーション・アーキテクチャ考:15.インターフェイスの質量
まずはこの図を見て下さい。なんだかわかります?
答えは後ほど。
義歯の違和感さて、僕は、鉄製のスプーンやフォークがちょっと歯に触れた時の感覚がたまらなく嫌いです。スプーンがちょっと歯に当たったりすると、まるで歯全体が金属になったような違和感を感じたりする。それは普段、意識することのない歯の質感をあらためて意識させられるからかもしれません。
義歯の違和感というのは、平凡な僕らでさえ、歯の潜在する機能を発見できるような、それによって身体の内と外の関係を変えていけるような、そういった道具というわけだ。歯の質量は、義歯の違和感によって再発見され、それによって僕たちは、改めて違和感を避けるような噛み方をしたり、咀嚼の仕方を工夫する。(中略)いずれにせよ、違和感の発見によってインターフェイスの質量が見いだされ、システム自体、システムと外部の関係が変わっていく。
郡司 ペギオ-幸夫『生きていることの科学』
普段、食事をする際に、いちいち歯の質量などを感じていたら、とてもじゃないけど、食べ物を味わうことなどできないでしょう。そのことは僕にとってはあのスプーンやフォークが歯に当たったときのなんともいえない嫌な感じを思い出せば容易に想像できます。
しかし、当たり前のことですけど、歯があるからこそ、僕たちはある程度固いものでも噛み砕くことができ、噛み千切ることができるわけで、また、歯に備わった限界能力と食べる対象の組み合わせによって、無意識的に噛み方や顎の動かし方を調整しています。
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