このヒトを見よ 03:リソース
前回、「02:内部と外部/境界線の相対性」では、内部と外部は常にその境界線を組み替えながら、両者のあいだに関係性を構築することについて考えてみました。
とはいえ、この場合の関係性という言葉は、必ずしも両者の良好な関係ばかりを示すものではありません。
競争関係前回、企業のマーケティングにおける関係性構築を例にしましたが、企業は外部の顧客との関係性において良好なものを目指す一方で、同じく外部の競合他社との関係においては主に競争関係におかれる場合のほうが当然、多くなります。
同じように、生物が環境適応のための自然淘汰を通じて進化を遂げる際も、内部(生物)と外部(環境)の関係は、協働関係である場合もありますが、競争関係が進化のエンジンとして機能することが多くあります。
例えば、捕食者と餌生物の関係に多く見られるように、捕食者の側が研ぎ澄まされた牙や強力な顎を進化させる一方で、餌生物の側ではより硬い甲羅で体表を覆ったりします。
また、逃げる側と追う側で、まさに追いかけっこよろしく互いにより早く走れるように生体のデザインを変化させたりします。
変化にはリソースが必要しかし、変化するといっても、何もないところに突然、羽根が生えたり、アゴができたりするわけではありません。
脊椎動物に顎がなかった時代を思い浮かべてみよう。口の孔は開いているが、そこに開閉する顎構造は存在しない。口の周囲を見れば、そこには顎よりもはるか昔から存在する鰓弓(鰓)が陣取っている。(中略)もしこの鰓弓の前方部分…
