デザイン思考に関する5つの気づき

デザイン思考(あるいは「人間中心のデザイン」)ワークショップ in 大阪! 「河井寛次郎記念館」とか「下鴨神社&銀閣寺」とか。なんで、この人、京都に行ってるの?と思った方もいらっしゃったかもしれませんが、この週末の2日間、大阪でデザイン思考(あるいは人間中心のデザイン)のワークショップの講師をさせていただく機会をいただいたので、金曜日は京都で遊んだあと、夜に大阪入りしたんです。 2日間で計12時間(実際は両日ともすこし時間オーバー)の長丁場なので、その前にちょっと英気を養っておいたというわけ。 やった内容は人間中心のデザインのプロセスに沿って、KJ法をやったり、シナリオを書いたり、ペーパープロトタイピングしたり、といった定番メニューなので割愛。 代わりにワークショップをやってみて、あらためて「デザイン思考」に関する気づいた点をいくつかピックアップ。どれも僕にとっては「まったく新しい発見」というよりは、『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』でも指摘している点ですが、あらためてその重要性を再認識させてもらったので、忘れないよう書いておこうか、と。 キーワードは「外部をいかに導入するか」。 ピックアップしたいのは以下の5つ。 グループワーク、しかも、コラボレーションで外部の事実を自分の殻の外に抜けだすための素材として蒐集さまざまな視点を導入しての粘りづよい分解と組み立て、視点の切り替えだだっぴろい空間を自分たちの思考の結果で埋める繰り返しの作業による慣れ、…

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解釈を代行するのが道具

1つ前の「デザイン:情報を公開する技術」、あるいは2つ前の「自分がいいと思うモノをつくれ!」のP.S.(ポストスクリプト)として書いたことの続きとして読んでもらえれば―。 村田純一は、人間がおこなわなければならない解釈を代行するのが道具だと記している。 人類の技術の歴史は、まさに解釈の必要性を人工物を制作することによって軽減してきた歴史だということになる。 村田純一「解釈とデザイン 技術の本性と解釈の柔軟性」 コップを使うことは、水をいかに飲むべきか、飲むとはどういうことか、といった解釈を行為自体が代行する。「人工物を利用するものは、自ら改めていちいち問題解決に取り組む必要はなく、問題解決に必要な知的活動をそれらの人工物にゆだねてしまうことができる」(村田純一、前掲書)のだから、道具は、人間の解釈の柔軟性を奪いかねない。 鈴木一誌『ページと力―手わざ、そしてデジタル・デザイン』 「人間がおこなわなければならない解釈を代行するのが道具」だとしたら、そこにはすでにマニュアル人間化の方向性が含まれています。道具を用いることで人間は「問題解決に必要な知的活動をそれらの人工物にゆだねてしまう」というのは、まさに自分で考えて行動をすることなくマニュアルどおりでしか行動できないことへの道を開いているともいえます。 ここに、ものづくりをする人、文章を書く人、その他さまざまな形で他人にソリューションを提供する人の倫理観が求められる地点があるのではないでしょうか。

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デザイン:情報を公開する技術

Oui. デザインは、ときには「情報を公開する技術」をあつかうのではなく、つねに「情報を公開する技術」なのだろう。 鈴木一誌『ページと力―手わざ、そしてデジタル・デザイン』 情報デザインフォーラムのメンバーでありながら、僕が「情報デザイン」ということばを使わない理由がまさにこれ。

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自分がいいと思うモノをつくれ!

ものづくりをする人がアンケート調査に頼ったり、ユーザーの意見を必要以上に気にするのをみて、たまにがっかりさせられることがあります。 それは完全に調査をする目的を誤解しています。 ユーザー中心だとか、人間中心だとかいいますが、別にそれはユーザーがどういうデザインを評価するかといった意見をきいて、ものづくりをしろなんていう話ではありません。「なんでもかんでもユーザーに聞けばよいってわけじゃない。」 それ以前に、ものづくりをする側が何をつくるのがいいと思うかという考えがなくてはお話になりません。それがないがゆえに、やたらとアンケートで人びとの声を聞きたがるし、ユーザーの評価を気にしすぎる。どっちがものづくりの主体なの?って疑問に思います。 他人の意見に左右される前に、自分がいいと思うモノをつくれ!とつよく思います。 自分が何をいいと思うかをその根拠とともにはっきりイメージできるようになれ!と感じます。 もちろん、ものづくりに限らず、自分が何がいいと思うかをはっきりと示せない人が多いような気がします。示せなくてもいいけど、いいものが何かを判断できる目は養っておきたいものです。 そう。目利きの力を。

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物に意味を与える仕事(思いやりをもって)

人の生活をなんらかの形で役だつ道具としての人工物と、それを利用する人のあいだをつなぐインターフェイスを設計するのがデザインの仕事です。このとき、インターフェイスには、人工物の内部機構と人間の頭のなかにつくられるモデルのあいだを取り持つ役割が与えられます。 とうぜん、そのインターフェイスを設計し実現可能にするのがデザインの仕事であるなら、その仕事をする人は、人工物の側の内部機構と人間の頭のなかのモデルの双方を同時に理解する必要があるでしょう。 もちろん、これはことばでいうほど、簡単なことではありません。特に「人間の頭のなかのモデル」は。

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プロジェクトの定義とデザインプロセス

"Context of use"―。 それはHCDプロセスそのものに対してもいえることではないでしょうか。 どのような手法をどのように用いてプロセス化するかというプロジェクトのデザインは、プロジェクトのコンテキストそのものを定義しなくては決まらない。もちろん、それは人間中心のデザインに限らず、すべての計画、設計、デザインにおいて―。僕はそう考えます。 ゆえに、以下の考えには賛成です。 HCDプロセスの導入は、きっちり決まった手法では無く、案件ごとに流動的なものであります。クライアントの意識や会社風土、ユーザの意識やリテラシー能力など案件ごとに様々ですよね。 HCDプロセスは「こうでなくてはいけない。」という事は無く、もっとクライアントそれぞれのコンテキストに合わせた導入方法があるのかな。 クライアントとユーザの関係 | 情報デザイン研究室 すでにアサノさんのブログには、コメントを残しましたが、ここでもあらためて整理しなおして掲載しておきます。

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『デザイン思考の仕事術』、Amazon在庫ありに。

『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』がAmazonで在庫ありに。 お待ちいただいていた方、ご迷惑をおかけしました。 取り急ぎ用件のみにて。 関連エントリー 『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・1『デザイン思考の仕事術』、丸の内オアゾの丸善ほかのリアル書店での状況。『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』見本が届きました。『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』書影がAmazonに掲載『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』は6月末発売『デザイン思考の仕事術』Amazonで予約開始

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『デザイン思考の仕事術』、丸の内オアゾの丸善ほかのリアル書店での状況。

Amazonでは現在「在庫切れ」状態となっている(在庫ありになりました)『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』ですが、丸の内オアゾの丸善には置いてありました。 (ほかにも、置いてある店舗の情報を担当編集者さんからいただいたので、ページ下部に掲載してます。 7/2時点でのリアル店舗状況を追加。) 売り場は、1階の「マーケティング」の棚(入口はいってすぐ右)。 この棚番号が目印。

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いきなり在庫切れってどうよ?

発売日初日から在庫切れ?(入荷しました) ありえないですよね。 せっかくtube graphicsの木村さんにもご紹介いただいたのに。 カバーにある 自分の「脳」を外に出せ。からも分かるように 一冊丸ごと、わたしの大好きな「視点の移動」が満載でした。 これまでの自分を離れてみたい方、お薦めですよ。 『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』棚橋弘季著 本日発売!:tube_log 早急の入荷を期待。 お急ぎの方は、リアルな書店で探してみてください。僕も探してみます。→在庫のあるリアル書店の情報を掲載しました。 関連エントリー 『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・1『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』見本が届きました。『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』書影がAmazonに掲載『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』は6月末発売『デザイン思考の仕事術』Amazonで予約開始

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企て。

計画、企画、デザイン、あるいは、「企て」。 理性的に物を作りだすとき、人はまず計画を練り、それからこの計画を実行していく。バタイユが多用した哲学用語によればこの計画は「企て」となり、その実行は「行動」となる。 酒井健『バタイユ』 しかし、この「企て」が、人間の生の邪魔をします。 時間という観点に立てば、「企て」も「行動」も物が作りだされる未来の時点を第一に重視している。人は誰しも現在時を生きるのだが「企て」に従って「行動」しているときには、物の産出という未来時に設定された目的すなわち「企て」と「行動」の目的に意識を奪われている。現在にありながら現在を生きていないのだ。 酒井健『バタイユ』 「企て」が人びとの「行動」を未来の目的につなぎとめることで、現在時における人の生から「行動」を意識を切り離してしまう。 『デザイン思考の仕事術』という、デザイン=企てに関する本を書きながら、同時に、そこに文化だとか生だとかいうことをキーワードとして盛り込んでもいるがゆえに、その最後に僕が「デザインしすぎない」という断章を置かざるをえなかった理由がここにあります。

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『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』見本が届きました。

来週月曜日6/29に発売の僕の新著『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』の見本が今日届きました。 よいです。やっぱり本となって形になってみると違います。 PCで原稿を書いていたり、紙のゲラを校正してるのとは別物です。 仕上がった本には単なる情報とは別の魅力があるのを、あらためて感じました。

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文字の官能性、書物としての身体

今回は『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』の出版にあたり、書籍のデザインということにあらためて考える機会がありました。 そんなきっかけもあって書籍のデザインや以前から興味をもっている文字というものの力というものに関してもうすこし考えをすすめるためのリソースがほしいなと思い、今福龍太さんの『身体としての書物』と、鈴木一誌さんの『ページと力―手わざ、そしてデジタル・デザイン』を平行して読んでいます。

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空気は目線で読む

あっ、空気って目線とかで読むんだなー。 今日はそんなことを感じました。 ある会議で進行役をやらせてもらったんですが、その場自体がはじめてだったことと出席者があまりに積極的な発言をしてくれたので、まったく仕切れなかったんですね。出席者の数も多かったし、話してるテーマが得意分野じゃなかったというのもありました。 でも、それだけの要因だけなら、普段ならもうちょっと仕切れたはずだったんですよね。それなのに、それができなかった。 どうして?

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『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』は6月末発売

僕の新しい本、『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』。当初は6月18日に発行予定でしたが、いろいろあって発行が遅れてます(すでにご予約なされた方、お待たせしてすみません)。 amazonでは、7月16日発行という風になっていますが、おそらく今月中(6月29日)には書店に並ぶ予定です。もうしばらくお待ちください。 さて、相変わらず、amazonではまともな情報が出ていないので、僕のほうからすこし内容に関する情報を。 今回は「デザイン思考」をキーワードに、仕事における問題発見や問題解決の基礎的方法について書いています。 デザイン思考の仕事術を身につけるデザイン思考とは、先日の「意味論的転回―デザインの新しい基礎理論/クラウス・クリッペンドルフ」というエントリーでも紹介したように、IDEOのCEO、ティム・ブラウンが「デザイナーの感性と手法を用いて人びとのニーズと技術の力を取り持つこと」あるいは「現実的な事業戦略にデザイナーの感性と手法を取り入れ、人びとのニーズに合った顧客価値と市場機会を創出すること」と説明するものです。 僕自身は、このデザイン思考を使った仕事の方法を以下のような観点で、本書のテーマとしました。 ただ、実際のデザイナーの仕事が本当にそんな風に何の前触れもなく天から降ってくるインスピレーションによって行われているかというと、決してそんなことはないはずです。デザイナーの仕事の方法や思考のプロセスのなかにも、ほかの仕事と同様に形式知化できる点は結構あ…

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観念連合、類感呪術をつかった発想法・編集術

いま、ジェームズ・フレイザーの『初版 金枝篇』を読んでいます。 これがなかなかおもしろい。上下巻の分厚い本なので、すこしずつ読み進めていますが、白川静さんや折口信夫さんが好きな僕にはとても興味深い一冊です。 巷では「肘掛椅子の人類学」と揶揄されることもある一冊ですが、そんなことはまったくもってどうでもいい。揶揄するなら、じゃあ、君らにこのすさまじい編集ができるの?と思います。

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デザインをする人に求められる資質

さすがyusukeさん、いいとこついてくるなー。 前述の定義で知的生産活動でいう製造を考えると、ディストリビューション行程にあたると思います。ソフトウェアをCDに焼く、絵を印刷する、音楽を配信する。設計されたものと同じものを作りだす作業です。これらの作業はとても重要ですが、知的生産活動の実践者が責務を負うことではありません。そこには設備が必要であり、とても個人が机の上でできることはないからです。製造にはリアルな製造設備が必要なのです。 モノづくりと製造は違う (arclamp.jp アークランプ) ディストリビューションは、設計されたものと同じものを作りだす作業。その作業はとても重要だが、個人が机の上でできることではない。 うん。すくなくとも狭義の知的生産活動ではないでしょう。 「狭義の~」というのは「意識的な~」という意味でいっていて、実は僕はディストリビューション行程に別の知的生産活動としての無意識的・身体的な知的生産活動が必要と思っていますが、そこは話がそれるので別の機会に。

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