Re:企業でHCDプロセスが根付かない理由

うーん。会社としてすごく健全な考え方だと思うのですが。 問題発見を行い、企画を立ち上げ、ユーザ調査・プロトタイプ設計・ユーザビリティ評価を行って、それに基づいたサービスが商用になっても、上流だけに関わっていた人は会社からは評価されないようです。 Conversation Piece: 企業でHCDプロセスが根付かない理由 ここで書かれた「上流」が何をさすのか判然としませんし、それ以上に上記の感想を書かれた事情も知らずに申し上げるので、的外れな見解かもしれませんが、すくなくとも上流だけで会社が儲かることもなければ、実際の利用者に何のメリットもないと思うので、それだけで評価しないという会社の姿勢は健全だと思うのです。

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『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・6

昨日のワークショップの帰り道、参加者のひとりのTakedaさんと、 正解することにこだわるがあまり間違いを恐れて手を動かせない人間違えてもいいから手を動かして自分の答えを出そうとする人 の2種類の人がいるね。そして前者と後者では自分でいろいろトライしてみるなかで気づきを得るということに関するスピード感がぜんぜん違いますよね、といったような話をしました。 いうまでもなく気づきのスピードがはやく、多くの気づきを得られるのは後者です。 昨日のワークショップでも、間違えることなど気にせず、どんどん積極的に手を動かしている人のほうがいろんな気づきを得ているというのが、講師としてみていてもよくわかって、「あっ、この人、いま気づいた」っていうのが手に取るようにわかっておもしろかったです。 勘違い人がほとんどだと思うんですけど、人間って頭のなかだけでものを考えているんじゃないんですよね。むしろ、場のなかの行動において考えている。 それゆえ、自分の頭のなかで概念をこねくり回してるだけじゃ、気づき・発見・発想などは得られるはずもないんです。 そうではなく、いまいる場において他の人びとやまわりにある物事との積極的な関わり合いにおいて自分自身を動かすなかで自分の変化をしっかりと受け止めることをしなければ、考えなんてはたらかないのです。 これをわかって積極的に行動ができる人と、誰かが教えてくれる表層的な思考法やライフハックに頼っていると、結局はただただ時間を浪費するばかりで、何の気づきも発見…

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ハレの時間(とあるワークショップの感想を兼ねて)

時計の時間ではなく、いまを生きること。 これをやればどうなるという将来のために、いまを犠牲にするのではなく、とにかくいま目の前にあるものに対峙して、それに自分の身体を使って応答すること。 そうでなくてはいまは刻々と過ぎ去っていってしまいます。 いまに何の傷跡も残さないまま、時計の針だけがどんどん進んでいってしまいます。 日常のケの時間であればそれでもよいのかもしれません。 ただ、稀にしかあらわれないマレビトが、ありがたく(有り難く)あらわれたそのいまにおいて、一期一会の宴の場で体面を気にして歌い舞うことを躊躇しているのはもったいない。 宴の場のハレの時間で恥や外聞を気にして何もできずに終わったら、それこそ、日常のケの時間に持ち帰れるものが何もない状態になってしまうでしょう。 以前、「ペルソナやシナリオを身につけるためのワークショップの要望ってありますか?」というエントリーで書いた件の芸者の役を今日やってまいりました。 とある旦那様が主催された遊びの場におよばれして、未熟な芸を披露させてもらってきたのです。 参加された方の声 ワークショップいってきました(こんにちは、すいーつですw)デザイン思考ワークショップまとめ (arclamp.jp アークランプ)ワークショップを振り返って(One Day It'll All Make Sense)デザイン思考のワークショップに参加(uedaasakoがががっ)デザイン思考の仕事術ワークショップ(fkino diary)…

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デザインは装飾である、デザインする人に必要なのは美的センスである

あれこれ逡巡してきましたが、結局、なんだかんだ言ったところで、 デザインの核となるものは装飾である と思うし、 そうであるがゆえに、デザインをする主体である、 デザインする人に最も求められるものは美的センスである と思うに至りました。 まあ、ある意味では遠回りをしながらも一般的に「デザイン」ということばを聞いてイメージするものに近いところに行き着くことができたというわけです(たぶん、「装飾」とか「美的センス」ということばの使い方は一般とはズレがあると思いますが)。

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眼の力、感性の声

昨日の「遠くの町と手としごと―工芸三都物語/三谷龍二」で紹介し足りなかった点をすこし。 眼の力について。 目利きがいかにものづくりを助けるかということについて。 そして、皆さんはものに触れた際の自分の感性の声が耳に届いているかということについて。 まず福井で建具屋さんをしていた横田さんという方の仕事について、著者の三谷龍二さんはこんな感想を述べています。 横田さんは勉強熱心で、作ることへの努力も人一倍なのですが、それにも増して、見ること、眼を鍛えることを大切にしている人だと思いました。お宅にうかがい、箪笥や匙のコレクション、愛用のメガネのコレクションなどを見せてもらいながら、古いものをよく見て歩いていて、古いものからよく学ばれている、と感心しました。 三谷龍二『遠くの町と手としごと―工芸三都物語』 さて、ものを作っている皆さん、普段の暮らしでちゃんとものを見てますかー? 「古いものをよく見て歩いていて、古いものからよく学ばれている」。そんな風にものに接することができているでしょうか。 ちゃんと動くことや機能性だけでなく、見た目の美しさ、触れたときの手触り、暑い夏の炎天下での肌触り、手に持ったときの重み、ぽつんと部屋に置かれてあるときの佇まい、何年も使うなかでの経年変化が見せる表情の移り変わり、などなど。 さまざまなものが見せる表情と自分のなかで好みが動くことの関係性にちゃんと敏感に反応できているでしょうか。

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『デザイン思考の仕事術』CNET Japanにレビュー記事

CNET Japanで『デザイン思考の仕事術』のレビューをいただきました。 [ブックレビュー]新たな視点を手に入れる-- 「ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術」:レビュー - CNET Japan 仕事に「デザイン思考」を取り入れることで、新たな取り組み方や問題の解決方法を見つけ出すことを指南する。人間中心の仕事へと視点を切り替えることで、見えてくる戦略や計画とは何か? [ブックレビュー]新たな視点を手に入れる-- 「ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術」:レビュー - CNET Japan 簡潔に拙著の内容をレビューしていただいておりますので、まだお持ちでない方は参考に。 担当の海老名さん、素敵なレビュー、ありがとうございます。 関連エントリー 『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・1『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・2『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・3『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・4『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』見本が届きました。『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』書影がAmazonに掲載『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』は6月末発売『デザイン思考の仕事術』Amazonで予約開始

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ユーザー理解とは―

ユーザーを理解するというとき、その「理解」というものを間違った形でイメージし、理解しているケースが意外と多くみられます。とりわけ多い間違いは、ユーザーとなりえる人の人となりすべてを理解することが、ユーザー理解だと思ってしまうことではないでしょうか。あるいは、漠然と理解するというだけで、何を理解しようとしているのかのフォーカスがなかったりすることもあります。 そもそも、特定の人間のすべてを理解するという漠然としたイメージでそもそもどんなことを理解しようとしているのかもよくわかりませんが、普通に考えて、ひとりの人間のすべてを理解することなんて、そうそうできるはずもありません。長年付き合いのある友人や家族だって、その相手のことを理解できているなんていえないでしょう。 それなのに、ユーザー理解となると、その人のことを簡単に理解できてしまうと考えてしまうのは、ちょっと考えが足りないのではないかと思います。よく考えずに、ユーザー理解ということばを用いて、それならユーザーを調査すればよいのだと安直な発想で調査を企画実施していないでしょうか? ユーザー理解というのはそういうものではなく、あくまで人があるモノを使う場―まさに、ある人がユーザー=使う人になる場―におけるユーザーの行動、その行動が行われる状況、その行動を行ったことによる心理的変化などを把握、理解しようとする活動です。 そのため、人間を理解しようとするだけでなく、あるモノが使われる場で「使う」という行為が行われる状況全体(もちろん、使…

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いかにして「わかってしまう」という罠を避けるか

おっしゃるとおり、僕が『デザイン思考の仕事術』で書いた「デザイン思考の仕事術のための基本姿勢・7箇条」のうち、第1条”「わかる」ことは重要じゃない。「わからない」ことにこだわる。”がほかの6つを誘発するということはありえると思います。 私には第一条が残りの六条を誘発するんじゃないかと思うのですが、棚橋さんはどう考えていたんだろう? 興味がありますね。 One Day It'll All Make Sense: デザイン思考の仕事術のための基本姿勢 でも、僕がそういう風に考えているかというと、答えは"NO"です。

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なぜ、KJ法は失敗するのか?

フィールドワークなどの調査で集めた質的情報を、俯瞰的視点と細部に踏み込んだ視点の両方を用いて包括的に分析し、分析結果をメンバー間でしっかり共有しておけるかが重要になります。 ある事実を観察したとしても、 事実を特定の視点による特定の角度からしか観察できないすべてを観察することができず一部のみしか観察できない観察者の意思が働いて、観察結果に事実そのままではない強弱ができてしまう観察者それぞれで異なる見方をしてしまうので、おなじ事実をみても観察者によって解釈が異なる ということが起こるので、観察した結果を、調査後、再度メンバー全員での分析作業により、上記の問題を補う必要があります。 多くの調査がこの分析作業を重視しないので、多くの事実が抜け落ちてしまったり、ゆがめられて解釈されてしまうため、せっかくの調査が具体的な問題解決に活かせません。

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仕事術とは生きる術(すべ)のこと

仕事術―。 このことばを耳にすると、どうしてもビジネスの場での仕事ばかりを想起してしまう人が多いのではないかと思います。 しかも、仕事術ということばを、仕事を効率よく終わらせたり、ラクに金を儲けたり、企業組織のなかでつつがなく生きていくことを目的としたものだとイメージしてしまうことが多いのではないでしょうか。 生きることを支えているものに、仕事、家庭、コミュニティの3つがあるそうです。定年を迎えたサラリーマンが仕事がなくなった途端に亡くなってしまうということがあるといいます。家庭やコミュニティを犠牲にして仕事をしてきた結果、その唯一の生きる支えであったものを失い、命まで失ってしまうということなのでしょうか? でも、企業組織ではたらくことだけが仕事なのでしょうか。家庭内でも、コミュニティ内でも仕事はあるのではないでしょうか。掃除や洗濯、料理などの仕事はもちろんこと、地域のコミュニティのためのボランティア活動、さまざまな話しあいなども本来は仕事に含まれてよいはずです。 それなのに、企業組織でサラリーを稼ぐための狭義の仕事だけを、自分のなかで仕事と定義してしまったがために、定年とともにその仕事のみならず、すべての生きる支えを失ってしまうのではないでしょうか。

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休み休みでも、最後まで自分が謎だと思うものにこだわり続ける

新しい発想が必要だったり、何か自分の置かれた状況を変えたいと思うなら、自ら進んでむずかしい仕事、手間のかかる作業に、ねばり強く集中して取り組む必要があると思います。 自分にとって未知の対象だったり、どう考えても自分の手に余るのではないかと感じられる膨大な量の情報を前に、ああでもない、こうでもないと試行錯誤を繰り返してこそ、いままで手にしたことのない突破口というのは見つかるはずです。 それと180度異なる姿勢は、むずかしい仕事に相対したときに要領良く要点だけつかんで、話術や表現力でなんとなく周りも自分も誤魔化してしまうことでしょう。 ほとんど苦労せずに元々自分で理解できる範囲でうまく丸めこんで、わからない部分はやり過ごしてしまうことになるので、そこからはとうぜん、新しい収穫は得られません。 新しい発想には、それを手にするまでの助走が不可欠です。その助走を面倒くさがって手を抜けばラクかもしれませんが、新しい発想などは生まれてきません。 つまり、要領良く要点だけを押さえただけで、何かをわかったつもりになるようなことばかりしていたら、いつまで経っても大した進展も成長もないということです。

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仕事にデザイン思考を根付かせる

次のテーマは、普通の仕事にデザイン思考を根付かせるということかな。 大きな組織の開発フローでもそうなのだろうけど、小さな組織でこそ、デザイン思考は取り入れやすいのではないかと思います。 いや、企業でなくてもいい。あらゆる仕事がデザインの仕事なのですから、地域に密着した何らかの組織でもいいし、病院や学校でもいいのだと思います。

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いま考えていること

いま自分のなかで考えていること、課題だと思っていることを、自分の整理のためにまとめてみる。 大まかにまとめると以下の5つか。順不同。 誰のせい?道具とワザ基礎インターフェイス論類化能力:つなぐ力生態学的多様性 生活文化と経済をクリエイティブ力をもった人びとの観点から考えるというのが大きなテーマとして。

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『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・4

引き続き『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』を読んだ方からいろんな感想をいただいています。 軒並みよい評価をいただいていたありがたい限りです。 前著『ペルソナ作って、それからどうするの?』よりも、幅広い層の方に読んでいただけていることもうれしいことです。 そして、やっぱり人間中心設計だとか、ペルソナだとかといった狭いフレームのなかで読んでしまっている人よりも、そういうことを知らずに読んでいる人のほうが、今回の本の本質をちゃんとつかんでくださっているなという印象です。なんでもそうですが型にはめた見方をしてしまうと本質に迫れないですよ。 ということで、今回は以下5名の方からいただいた感想をご紹介。 下手な企画書の書き方の本を読むより(スプリングボード ヲ ツクロウさん)手垢をきれいにしながら、デザインの価値を発見させてくれる(好川哲人さん)デザインニングにおける思考論をビジネスシーンに落とし込んでいく方法(Nobuyukiさん)文章をじーーーーっくりと噛みしめることが大事(Hidehiro Takedaさん)経営層や管理職の人がこれを一番意識してくれれば楽なのに(toksatoさん)

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『デザイン思考の仕事術』:有隣堂アトレ恵比寿店ビジネス書ランキング5位

『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』が、有隣堂アトレ恵比寿店のビジネス書ランキングで5位でした。 なんか嬉しくて写真を撮ってみました。 お買い上げいただいたみなさん、ありがとうございます。 関連エントリー 『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・1『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・2『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・3『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』見本が届きました。『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』書影がAmazonに掲載『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』は6月末発売『デザイン思考の仕事術』Amazonで予約開始

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動きのなかで

オブザベーション(観察)。 デザイン思考で仕事をするうえで、大事なこの観察という活動は、僕らを自分の頭のなかの固定観念、ことばで理解したつもりになっている知的現実から、僕らの外にある未知の現実世界へと連れ出してくれるという意味において、非常に重要な活動だと思っています。 システマティックに構築された人工の空間のなかで、けれど、人は実は必ずしもシステマティックに行動しているわけではないことに目を向けさせてくれ、それぞれの人が自分のいる環境をすこしでも自分にとって都合のよいものになるよう工夫をして環境をリデザインしながら活動していることに気づくはずですから。 たとえば、丸い柱を紙にものを書く際の机として利用している彼のように。

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『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・3

五味勇人さん、fujiiさん、えるさん、3名の方から『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』の感想をいただきました。ありがとうございます。 ていねいに読んでいただいた方が多かったので、その一部をご紹介。 以前の感想は以下。 『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・1『デザイン思考の仕事術』感想をいただきました・2

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点の思考、線の思考

みなさん、思考する際に、静止した点で考えていないでしょうか。 動かない固定された何かを過程して話をしたり、最終的なアウトプットや結論ばかりを重視しすぎてはいないでしょうか。 思考の過程そのものが重要で、思考する過程を共有することが最終的な結論や定義を共有することよりも意味のあることだということに気付いてらっしゃるでしょうか。

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集める、並べる、組み立てる

「デザイン思考に関する5つの気づき」でも書きましたが、自分の思いこみや既知から離れ、いかに自分の外、未知の世界を想像できるかということが大事になるデザイン思考では、要領よく要点をつかめてしまう(わかったつもりになる)ことより、目の前の事実・事実データにとことん向かい合い、さまざまな角度から事実・現象を検討しながら、事実の背後にあるダイナミックな動向を地道に根気よく探り、発見する。そういう活動ができる人のほうがデザイン思考の仕事術には向いていると思います。

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