ただ「時間という限られたリソースを有効に活用する」なんて言い方は間違っていて、時間なんて決して固定的に限定されたリソースなんかじゃないと思います。
時間なんて複数あると思った方がいいと思います。
時計の時間もあれば、体感的な時間もある。何かが向こうからやってくることではじまる=開かれる時間もあります。「二十世紀の忘れもの―トワイライトの誘惑/佐治晴夫、松岡正剛」で紹介したことですね。それ以外でも、正月などの儀礼の時間・ハレの時間は本来、普段のケの時間とは決して均質なものではないはずです。
その意味で時間は過去から未来に均質に流れているわけではなくて(時計の時間ではない)、過去の時間と未来の時間を現在において、どう認識してネットワークを生み出す方向にもっていけるかという視点もあります。それが時間と付き合うということであって、時計という物差しだけを頼りにしてその目盛りにあわせて行動したって、それは時間を有効活用したことにならない。むしろ、就業時間なんかにあわせる意識が高すぎると、仕事の効率はよけいに低くなる。この時間で何ができるかという発想じゃ、生産性なんて上がるわけないんですよ。
ようは、その無数に存在する時間をいかに使い分けるかということだと思うんですよね。もちろん、それには複数存在する時間ごとの違いが認識できないといけません。
時間と仲良くやっていくには? 5つのメモ
まぁ、この話はもうすこす寝かせてからと思っていたので、考えがまとまっていませんが、なんとなくいまがタイミングだと思ったので、とりあえず、以下、いくつかメモ。- 時間の本質は変化と捉える:
今のことしか考えられないようじゃダメです。時計的な時間をいったん忘れれば、変化こそが時間の本質だと思うのです。どう変化を積み重ねて未来へもっていくか。その意味では未来というのはいまと違う内容をもった時間であって、未来のことを考えようとすれば今を前提としては考えられないはずです。変化を前提に動的な視点で未来は考えないといけません。おなじことが過去にもいえ、今の視点を過去にあてはめてもしようがない。むしろ、どのような変化が今をつくっているのかという視点で過去を眺めた方が有益です。 - 考える速度が遅い:
悪いけど、「考える速度」なんてものに実際には大した個人差はないはずです。「遅い」と感じる人は考えるタイミングを間違っているのだと思います。いくら考えたって考えが出てこないことなんていくらでもあります。その反対に考えるつもりがなくてもアイデアが出てくることがある。だとしたら、アイデアが出てきやすいときこそが考えるタイミングであって、そのタイミングをつかめるかどうかが実は考える速度につながるのです。 - 情報が向こうからやってくる時間:
何かが向こうからやってくるという意味では、情報は自分で収集するだけでなく、情報の方が向こうからやってくるように仕向けておくことが大事なんですけど、これが時間が向こうからやってくることと重なるんですね。情報が向こうからやってくるという状況をつくるには、例えば「PR下手で損してる人(たち)に贈る日々のPRを続ける5つのコツ」で書いてようなことも1つ必要でしょう。 - 時間がない、時間をどうつくるか:
よくある話です。でもね、さすがに時間なんて本当はつくれるもんじゃないですよ。むしろ見つけるもの、発見するものです。いま何をやるべきタイミングかを見つける。本来、そんなの自然な状態であれば、いつがそのタイミングかはわかるものです。ただ、それをわからなくするのが過剰な自意識です。いまこれしたらどうなっちゃうんだろ?とか、いまはじめてちゃんといついつまで終わるのかな?とか。そんなこと考えてるからタイミングを逃すんです。いまかなと感じたらそれがタイミングです。迷わず動かないとタイミングはどんどん逃げていく。もちろん、タイミングにあわせて波に乗れるようなスキルをあらかじめ身につけておくことも大事ですけど。あっ、これもタイミングが勝手に身につけさせてくれるものだな、本当は。 - 積極的に違う体験に身を浸す:
時間が向こうからやってくるようにするための、もう1つの方法はそれがやってきそうなところに積極的に出ていくことです。いつもおなじところでばかり生活していたら、そりゃなかなかタイミングなんて訪れません。自分から積極的に普段とは違う場所に赴いてみる。ただ、その際にあんまり目的をもっていかないほうがいいと思うんです。目的というか欲・期待ですね。過剰な欲や期待は目を濁らせます。向こうから時間がやってきても見逃してしまう可能性が高い。そうではなくて自然体で、ただし、感度は十分に高めた状態で臨むのがよいかと。
と、今日のところは乱雑に書きなぐっておくだけにしますが、書いてみて思ったのは、やっぱり時間をうまく使えてない人は自意識過剰で慎重すぎ、かつ、それゆえにフットワークが重かったり、新しいことにチャレンジできなかったり、自分の意見をとりあえず置いておいてでも他人の話に耳を傾けようとする姿勢がないんだろうなと思います。時間というのはそういうところから湧き出してくるんですけど、そういう場所をすべて避けて塞いでしまってるんですね。それでいて水道から一定の量しか出てこない時間だけを相手にしてる。それじゃあ、時間がないとか仕事が遅いとかいう風になるのは致し方ないことかなと。
まぁ、グダグダ言ってるひま、ネチネチ悩んでいるひまがあったら、やれよってことでしょうか。とにかく「やる」っていうのが身体に身についてくると時間とも仲良くできるようになると思っています。
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