では、本題。
仕事で何かしら自分がそれで戦っていける武器となるスキルを身につけようと思うなら、最初のおためし期間は別として、どうせやるなら一流を志すつもりでやったほうがいいかなと思っています。これは昨日の「イメージを形にする力」で書いたこととも関係あるのだけれど、自分がなろうとしているものをはじめにちゃんとイメージし、かつ、その分野での一流になることを志すということです。
何を学ぶかだけでなく、学んでどうなるかを最初にイメージする
何を学ぶかということだけでなく、学んでどうなろうと思うのかを最初にイメージする。単にあるスキルや知識を身につけることを考えるのではなく、それを身につけた自分がどうなるのか、どう変わるかをイメージしておくんですね。そうじゃないと表面的な知識を覚えただけの状態になり、何も変わらないんじゃないかな、と。まさに「「かわる」つもりがなきゃ「わかる」こともない」で書いたように、本当にわかるためには変わることを前提にしていないといけないんです。わかると変わるは鍵と鍵穴みたいな関係で、どちらか片方では成り立たない。その意味で、何を覚えるかだけでなく、同時に何になるかをちゃんと最初にイメージしておくことが大切なんです。
何を学ぶかだけでなく、学んでどうなりたいかをイメージすることは、仕事でスキルを身につける場合に限らず、何かを学ぶ際には忘れてはいけない視点ではないでしょうか。もちろん、これは学ぶ側だけにいえるのではなく、教える側にもそれも含めて教える姿勢が求められるでしょう。
どうせやるなら一流になることを志す
また、どうせやるなら最初からその分野の一流と認められる存在を志したほうがいいだろうと思います。とりあえず身につけておいたほうがいいスキルというのもあるので、それは別として、自分がそれを武器に戦っていこうとするスキルを身につける場合であれば、やはり他人からあの人はあの分野では一流だと認められるようになることを目指すくらいの意気込みやイメージが必要だと思うのです。それには最初からそうなることを想定しておいたほうがよいのです。もちろん、それはすぐに一流になれるという甘い考えをもてということではありません。そうではなく遠い将来のことであれ近い未来のことであれ、最初から一流を志していれば、そこまでの過程でやるべきことの見通しがよくなるということです。
歩みはおなじ一歩一歩でも見通しがきくのときかないのでは目的地にたどり着ける確率も高くなるし、道に迷ってわけがわからなくなる不安も減るでしょう。それにどうせやるなら一流として認められるくらいになったほうが自分もおもしろいでしょうし、まわりから社会からみても中途半端な人がひとり増えるよりよっぽど有益ですから。
一流とは?
じゃあ、何が一流かという話ですが、そんな定義を僕がここでしても仕方がないので考えてることをいくつか示すだけにします。まずは一流は一番ではありません。ランキングじゃないんですね。
一番だろうとランクインしたなかにまともな人がいなければ、一番になっても一流とはいえません。逆にランクのリスト全体のレベルが高ければ二番だろうと三番だろうと一流である可能性はあります。
また一流はオンリーワンでもありません。
別に希少価値で勝負するわけではない。特異性やオリジナリティが必要なわけでもない。「世界に一つだけの花」だとかそういう勘違いな価値観とは無関係です。
あくまで一流とは、ある価値を求める人に対して、その人にとってのベストに近い品質のものを提供できる力があることだと思います。その提供の仕方、提供の際の気遣いも含めて。その意味では、一流かどうかは自分が決めるのではなく外部の評価であるといえます。また、おなじような価値を提供できる人との相対的評価であるという面もあります。
一流を評価する枠組み
ただし、ここで大事なことは、外部の評価はあらかじめ決まっていて固定であると考えるのは間違いだということです。もちろん、ある時点での外部の評価の仕方がこうだというのはあるでしょう。でも、その評価の枠組みは必ずしも固定ではありません。評価の枠組み自体が一流の人たちの働き次第でどんどん変わります。それまで一流と認められていなかった人の仕事によって評価の枠組みが変化することもあるでしょう。
その意味で、一流と呼ばれる人やそれを目指す人にはその評価の枠組み自体をつくっていくことも求められているのです。もちろん、その評価の枠組みは形式的なものとして定義するのではなくて、本来は、一流のサービスを受けた人たちの満足度の総体により自然とつくられていくものだと思います。一流と呼ばれる人やそれを目指す人は自身の提供するサービスの価値をもって、何が一流かの評価をつくっていくのです。
もちろん、それには何が一流かを評価できるコミュニティが形成されることが必要になってくると思いますが、その話はまた別のややこしさがあり長くなるので今回は省きます。
裏方仕事の一流
もうひとつ、ここで確認しておきたいのは、一流というのは何も表舞台にたつ人ばかりに対応して用いられるものではないということです。僕はもっと裏方の人の仕事を大切にしてあげていいと思っています。たとえば、一流の秘書というのはいると思います。Webの世界だとディレクターとかデザイナーという仕事ばかりが重要視されていますが、普段Webサイトを運営しているWebマスターの仕事ももっと重要視されていいものの1つでしょう。
誰かが華々しく仕事をするうえで、それらの仕事がスムーズに進行するよう調整してくれる人たちの仕事にも、僕は一流とそうでない人がいると思います。先の言い方でいえばそこに評価の枠組みがないために、そういう人の仕事がいまひとつ認められないし、そうした仕事に優れた能力をもつ人が職探しで苦労したり、逆にそういう人を求めている人もうまいこと、そういう人に出会えなかったりということが起きている気がします。
そういう裏方的な仕事をしている人の仕事を認められ、一流の人がしっかりと地位を築けるような枠組みがあっていいと思います。ここで書いているのは、そういう意味も含めての「一流を志そう」です。
ですから基本的に既存の枠組みにあわせて、その枠のなかで一流を目指しなさいという意味ではまったくありません。むしろ、その枠組みを自分でつくりあげていくくらいの意気込みがあっていいと思うのです。そのためにはまず自分がどうなるために何を学び習得するかをイメージする必要があるのは確かでしょう。
ひとりひとりが「自分なんて・・・」と最初からあきらめずに、どんどん既存の枠組みを塗り替えて、新しい分野を切り開き、そこでの第一人者、一流を目指す雰囲気ができてこないと、世の中、活気が生まれてこないのではないかと思うわけです。
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