デザイナーであると同時にスタイリストであればいいのかも

ちょっと前に「ライフスタイルの提案力をなくしたデザイン」に関連する話でちょっと思いついたことをメモ。

そこで書いたのは、

「誰もが他からの強制(力)を受けることなく、自らの生活様式を決定し、自由なデザインを使うことができるのだという前提を条件のひとつにして」「理想的生活や環境へのプロジェクトとしてあった」近代デザインという大きなプロジェクトは、「今日ではほとんど忘れられている」状況で、もはや何のライフスタイルの提案も生活環境の提案も行われることのない状況になっているわけです。

ということ。

僕の感覚ではどうもいまの世の中的に、デザイナーはモノのデザインはするけど、それが生活のなかでどう使われていくのかということが考えられずに、モノがデザインしているように思えてならないのです。
それはプロダクトでもWebでもおなじだと感じてます。

広告の写真のようにプロダクトだけが映えるように撮影されていて、そのまわりに生活の絵柄が見えてこない。一見、生活の背景のようなものが写っていたとしても明らかにその人、モデル丸出しだし、生活感ないよねーって背景だったりします。
しかも、それを考えてるのってモノのデザインしてる人じゃなくて、広告のクリエイターだよね。そこは完全に関係が切れていて連動はしてないでしょう。

ようはどこからもライフスタイルの提案がないんじゃないかって疑問が先のエントリーで考えたこと。

重要なのはファッションではなくスタイルです

で、さっき思いついたジャストアイデアが、だったらデザイナーのほかにスタイリストが必要ななんじゃない?ってことです。

で、その連想は前に「Ralph Lauren / Ralph Lauren」で紹介したラルフ・ローレンのインタビューでの発言を思い出させたのです。

重要なのはファッションではなくスタイルです。
「ラルフ・ローレン インタビュー」『Free&Easy October 2007』

あっ、なるほど、そういうことかと思ったのは、何もファッションをデザインしてるのは、ファッション・デザイナーだけじゃなくて、ほとんどのデザイナーがファッション・デザイナー化しているから、逆にスタイルが生み出せていないんだなってこと。

でも、じゃあ、ラルフ・ローレンがスタイルを全く新しく生み出しているかというとそうではないんですね。

事実、私はファッションが好きではありません。タイムレスなもの、時代を感じさせない永続的なものの中でこそ、その人の個性は光ると信じています。
「ラルフ・ローレン インタビュー」『Free&Easy October 2007』

「タイムレスなもの、時代を感じさせない永続的なもの」。ここにどうやら1つのヒントがありそうだなという気がするんです。

スタイルやデザインは変わっていきますから、取捨選択の判断はとても大切なのです。既存のものからキープしようと判断したものを、独自のやり方でどのようにすれば使い古しや使い回しではなく、新しいものとして感じられるかを常に考えることを忘れてはなりません。
「ラルフ・ローレン インタビュー」『Free&Easy October 2007』

新しいものを生み出すのではなく「既存のものからキープ」するんですね。そのうえでそれが「使い古しや使い回しではなく、新しいものとして感じられるか」を提案していく。そこには新しいものをデザインするだけじゃなく、同時に古いものをキープしつつそれを新鮮に感じさせるスタイリングの提案が必要になってくるのではないかと。

デザイナーであると同時にスタイリストであればいいのかも

モノをデザインするだけでなく、ライフスタイルの提案ができるスタイリスト的な職能が必要なんじゃないかと思うんです。それはラルフ・ローレンのようにデザイナーが兼ねてもいいし、デザイナーと協働作業が可能な別の人がやってもいいでしょう。

ただ、そこで求められるのは、いわゆるコーディネイター的な意味ではなく、もうすこし広い意味で生活のスタイルが提案できること。そこにはちょっとおばあちゃんの知恵みたいなものも含まれていいんじゃないかと思います。
さらにいうと女性的な家事の知恵だけでなく、すっかり世の中からなくなりつつある男の家事(ちょっとした棚をつくるとか、薪を刈るとか)も生活スタイルの提案に入っていてよいかなと思います。

モノと人との関わりあいの薄さ

なんかそういうところでモノと人との関わりあい自体を提案・デザインできるようにならないと、本当の意味でエクスペリエンスのデザインなんて成り立たないと思うんですよね。

モノとの付き合いが手入れとかをあまり含んでいないため、どうしても浅くなって愛着がもちにくくなってる。長く使って味が出てくるような素材も使ってないし、使いこなせばうまくなるっていうところも少ないですから
まあ、古くなったら捨てて新しく買えってことですか。いや、古くなる前に新製品出したから古いものに愛着なんて感じてなくていいからそれを買えと。そういうことですよね。あーあ。そんな思想のなかでユーザーエクスペリエンスとかいっても薄っぺらないなと感じます。

これに関してはまた別の話があるんですけど、それはまた違う機会に。

   

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