梅の花

先月末の送別会の際にいただいた小さな梅の木に花が咲きました。



日本で(春の)花といえば、桜なんでしょうけど、僕は桜より梅が好きです。

天皇の私的な在所であった内裏において、天皇元服や立太子、節会などの儀式が行われた正殿である紫宸殿の南庭には、現在、東に桜、西に橘が植えられていて、「左近の桜、右近の橘」と称されますが、松岡正剛さんによると、この「左近の桜」も当初、梅だったそうです。

梅が紅梅と白梅で一対になるという感覚は、すでに光琳の紅白梅図屏風を見ているわれわれにはなじみぶかい。
けれども古代では、梅は橘と組んで一対とされていた。紫宸殿に植えられたのは、もともとは左近の梅と右近の橘なのである。この一対が常世からの果実をもたらすものだったからで、それがいつしか左近の桜に替えられた。

「左近の梅」が「左近の桜」になったのは、ちょうど『古今和歌集』が編纂される頃で、『万葉集』では梅をよんだ歌が多かったのに対して、『古今和歌集』以降は桜をよんだ歌が増えたそうです。

そして、その流れが桜の歌を数おおくよんだ西行などを通じて、日本人の桜好きにつながっているのだそうです。

梅の木

僕が桜より梅が好きなのは、花自体に対する好みというより、梅の木の枝ぶりやその幹の木肌にひかれるからです。

古代人は梅を漠然と好んだのではない。「梅が枝」と「梅の香」を好んだ。

この古代人の好みとしての「梅が枝」はすごくわかる。松岡さんによれば、梅の木の<冬の風雪に耐えた黒褐色の枝が、かくかくと命の形状をつくっていく枝ぶりが好まれた>のだそうです。

ところで、うちの梅の花ですが、まだ5日ほど前には、そんなに咲いてなかったんです。
これが5日前の14日の写真です。



それが16日には一気に咲き始めて、こんな状態に。



そして、今日段階での状態が最初の写真というわけです。
説明書をよむともらった白梅の花は、<ゆっくり咲いて、ゆっくり散る>のだそうです。
パッと咲いてパッと散る桜とは、この部分でも違いがあるんですね。
僕はこの観点でも、ゆっくり咲いてゆっくり散る梅のほうが好きです。

あとはやっぱり「梅の香」でしょうか。いい香りです。

  

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