Ralph Lauren / Ralph Lauren

ひとつ前のエントリー「自分の居場所:「高橋吾郎、魂を語る」より」では、ゴローズの高橋吾郎さんを取り上げましたが、そのゴローさんに負けず劣らぬ、ものづくりに対する信念を感じるのが、ラルフ・ローレンさん。

そのラルフ・ローレンさんが自身のブランドを立ち上げて今年で40周年。ということで、それを記念して出版されたのがこの本、その名もズバリ、"Ralph Lauren"です。



アンチ・ファッション:タイムレスでエイジレスな世界

僕がラルフ・ローレンの服に惹かれる理由は、そのタイムレスな感覚にあります。古いアメリカやイギリスの服装を深く研究したラルフ・ローレンの服には、その形やディテールの1つ1つに何かしらの理由、正当性を感じます。

ラルフ・ローレンさんは『Free&Easy』の10月号のインタビューで次のように答えています。

事実、私はファッションが好きではありません。タイムレスなもの、時代を感じさせない永続的なものの中でこそ、その人の個性は光ると信じています。
「ラルフ・ローレン インタビュー」『Free&Easy October 2007』

同じインタビューで「重要なのはファッションではなくスタイルだ」とも言っています。
また、この本では同じような意味で以下のようなメッセージを述べています。

私の感性は昔も今も、ずっと変わっていません。1967年の私のデザインが古いとは思わないし、また2007年のデザインが新しいとされたくはありません。
Ralph Lauren "Ralph Lauren"

僕はこのラルフ・ローレンや、先の高橋吾郎さんのタイムレスでエイジレスなものづくりの感覚を、千利休や古田織部のものづくりと重ねてしまいます。
表参道の旗艦店でも表現されるような世界観、ヴィンテージ服のコレクターであるだけでなく、ヴィンテージカーのコレクターでもある目利きの力は、青山二郎さんに重ねてしまったりします。

本当にいいものはそう簡単には古くはならないんだと思います。
実際、ラルフ・ローレンの服は、何度も洗濯してよれてきたり、元々着古したような加工がされているものでも、古さを感じません。そして、逆に新しすぎる恥ずかしさも感じません。

過去を研究する

先にも書いたとおり、ラルフ・ローレンさんは大変なヴィンテージ服のコレクターです。ラルフ・ローレンの作る星条旗モチーフの服の星条旗がきれいなのは、信じられないほど大量の星条旗を買っているからだといわれたりします。

僕は過去に学ばない人は基本的に独創性を研くことはできないと思っています。過去の創造物、他人の創造物に敬意を払って学べない人が、自分の創造性を高めることなどできないと信じています。

1930年代のイギリスに、ウィンザー伯爵という貴族がいました。彼は、他のイギリス貴族とは一味違う服のセンスを持っていました。非常に豊かな想像力を垣間見られるセンスです。私も伯爵のような想像力溢れるスタイルを、メンズでもウィメンズでも実現しようと常に考えています。その中にはタイムレスなものもあれば、新しい感覚のものもある。スタイルやデザインは変わっていきますから、取捨選択の判断はとても大切なのです。既存のものからキープしようと判断したものを、独自のやり方でどのようにすれば使い古しや使い回しではなく、新しいものとして感じられるかを常に考えることを忘れてはなりません。
「ラルフ・ローレン インタビュー」『Free&Easy October 2007』

過去の創造物に触れ、他人の創ったものに触れ、「既存のものからキープしようと判断したものを、独自のやり方でどのようにすれば使い古しや使い回しではなく、新しいものとして感じられるかを常に考える」ことが大事なのだと思います。
利休もいうように守・破・離です。過去を学ぶことではじめて他の人がどのように考え、ものづくりをしていたのかを考えることができる。自分の方法を見つけるのはそこからでも遅くはない。いや、遅くはないどころか、そこからしかはじめられないのだと思います。

過去に学び、それを自分の世界観に昇華させる。新しいものを生み出そうとかそういうファッション性とは無縁で、新しさや古さよりも独自のスタイルを重視する。「スキ!好き!数寄!」や「自分をつくる:其の3.自分の「好き=数奇」をつくる3つのポイント」でも書いていますが、そうやって自分の好き=世界観を透いていく、スクリーニングしていくのだと思います。

そうしたものづくりのすごさを僕はラルフ・ローレンさんに感じます。

掲載された写真は総数750点。ブルース・ウェーバー撮影のものも

そんなラルフ・ローレン氏のブランド誕生40周年を記念した本なので、その中身をタイムレス、エイジレスで、掲載された多くの写真もいつの時代のものか見ただけでは判然としません。新しくもあり、かつ時代の重みを感じる一冊に仕上がっています。

実際、本そのものが非常に大きくどっしりと重かったりもします。W305×H400×D60mmの大型本。掲載された写真やイラストは総数750点。ブルース・ウェーバーによる撮影のものも含まれます。
僕はふつうの装丁のものを購入しましたが、クロコ革の限定版も販売されています。表参道の旗艦店でも山積みされて置いてありましたが、Amazonで買うと6000円くらい安いです。

ラルフ・ローレン好きはぜひ一冊、高いと言わずに買わないと損です。

 

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