スタートを早めるためには、意図的に過去の経験の蓄積を増やさなくてはいけない

必要になってはじめてスタートを切るのでは遅い。スピードを上げたいなら速度を上げるのではなくスタートを早めないといけない。
でも、必要になる前にスタートを切るためには、いつスタートすればよいかということを「必要」以外の理由で感知できないといけません。

スピードを上げたいなら速度を上げるんじゃなくてスタートを早めること」と簡単に書きましたが、実は、スタートを早めるためにはもう1つ、いつスタートを切ればよいのかというもう1つ別の課題があるわけです。

人が気づいていないものに気づくスキル

本当に必要になる前にスタートを切れるようになるためには、ようするに先見の明がスキルとして必要になってくるわけです。いまだ多くの人が気づいていないことに、いかにして早く気づくことができるかが重要になってくる。
そのためには人並み以上の観察力を養う必要があるし、観察した中から気づきを得る研ぎ澄まされた感受性を磨いておく必要があります。

ただし、人が気づいていないものに気づくということには、どうしても偶然の出会いという要素があるのは否めません。
しかし、その偶然の出会いが本当に完全に偶然かというとそうではないはずです。偶然の出会い=セレンディピティは起こるべくして起こると僕は考えています。

創造性は「過去の経験×意欲」という掛け算であらわすことができる

例えば、茂木健一郎さんは『天才論―ダ・ヴィンチに学ぶ「総合力」の秘訣』のなかで、こんな風に書いています。

過去の経験によって得られた情報の量が多ければ多いほど、創造性を発揮できる潜在能力が高いということになります。
でもそれだけではだめで、私はかねてより、創造性は「過去の経験×意欲」という掛け算であらわすことができる、と主張しています。

創造性にも偶然の出会いは欠かせません。創造性も人がまだ成し遂げていないことを生み出す力だからです。

その創造性が「過去の経験×意欲」という掛け算であらわすことができる、と茂木さんは主張する。とりあえず「意欲」のほうは置いておいて、「過去の経験」というほうに注目してみると、僕は意外に多くの人が経験は外から与えられるものではなく、自分でつくりだしていく必要があるものだということに気づいていないのだと感じています。

経験はみずからつくりだしていくもの

本来、人は寝ているときを除けば、何がしかの経験をしていてもいいはずです。
しかし、実際には起きている時間の多くは、あとではほとんど何をしていたかも覚えていなくて、まるで経験とは呼べないような時間を過ごしてしまっています。
何か特別なことに出会ったときのみ、人はそのことをあとになっても覚えていて、それを経験として捉えたりします。

であれば、特別なことが起こるのを待つのではなく、みずから特別なことに出会う機会を増やす事だってできるはずです。

1つには同じようなことばかりではなく積極的にやったことのないことにトライすることもできるでしょう。新しいことに怖気づくのではなく積極的に新しいものに挑戦していくことで、それまで経験したことのないものに出会うことができるはずです。

さらにもう1つは「目利き。」でも書いたように、物事の微妙な差異を見分ける目をもつことで、日常の些細なことも特別な経験に変えることが可能な観察眼を養うことです。

このような意味では「過去の経験」を増やすには、ただ待っているだけではダメで、みずから経験する機会をつくりだしていかなくてはいけないのだと思っています。

そうした積極的な姿勢がない限り、過去の経験を蓄積していくことなどできるはずがないのです。

経験を蓄積するためには

経験を蓄積していくというのは、本当はすごく些細な努力の積み重ねが必要なんだと思っています。

普段、いろんな人と接していて感じるのは、世の中には自分が思ったことを忘れても平気でいる人と、自分が思ったことを忘れないように大事にしている人がいるということです。

思いついたことを忘れても平気な人とそうでない人では、当然、結果として蓄積される量が大きく違ってくるはずです。記憶の蓄積、経験の蓄積に差が出てきます。

いろんなことを忘れないようにしている人に共通しているのは次のような点です。

  • 忘れたことがなんだったか必死に思い出そうとする
  • そもそも忘れないようにメモをするクセをつけている
  • メモをとれない場合にいかにして忘れないようにするかを心得ている
  • メモにとったものを内面化して忘れにくくしている

これも経験を増やすために、新しいものにチャレンジしたり、似たようなものの違いを見極める観察眼を養うのと同様に、普段の努力でどうにでもなることです。

しかし、こういう日々の努力をせずに、「おもしろいことないかな」と嘆いたり「なかなかいいアイデアが浮かばない」だとかグチをこぼしたりするのは論外なんじゃないでしょうか。

スタートを早めるためには、意図的に過去の経験の蓄積を増やさなくてはいけない

蓄積が多いほど、セレンディピティに出会う確率も高まるはずです。 そして、新しいアイデアが生まれる確率も高くなる。人がまだ気づいていないことに気づく確率も高まってきます。先見の明が養われてくる。

スタートを早めるというのはそういうことです。
いかに蓄積するかを考え、また蓄積したものを整理しておくかという日々の努力こそがが大事なわけです。

もう一度、論点を整理するとこうなります。

  1. 経験を増やすために、新しいことにチャレンジしたり微妙な差異を見分ける目を養う
  2. 日常の些細な気づきを忘れず記憶にとどめるためにメモをとるクセをつける
  3. 経験する機会を増やし、かつ経験から得られた思いを忘れないようにすることで過去の経験の蓄積を増やす
  4. 過去の経験が増えると自分のなかの情報量が増え、セレンディピティに出会う確率が高まる
  5. セレンディピティに出会う確率が高まることで、自分のなかの創造力や先見の明を発揮する潜在能力が高まる
  6. 先見の明を発揮する潜在能力が高まることで誰よりもはやくスタートを切れるようになる

そして、誰よりも早くスタートが切れれば、来るべき日までに準備を整える時間的余裕は生まれ、結果としてものすごいスピードでイノベーションを生み出すことができるようになるわけです。

スタートを早めるためには、普段から意図的に過去の経験の蓄積を増やす努力をしていかなくてはいけないのだと僕は思います。

   

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  • 蓄積が多いほど、セレンディピティに出会う確率も高まる
  • Excerpt: 普段、いろんな人と接していて感じるのは、世の中には自分が思ったことを忘れても平気でいる人と、自分が思ったことを忘れないように大事にしている人がいるということです。 スタートを早めるためには、意図的に..
  • Weblog: 名言で読む「はてな」
  • Tracked: 2007-11-05 11:33