日本のデザイン環境におけるデザイン教育に必要なもの

今日は横浜デジタルアーツの浅野先生にお呼ばれして、多摩美・上野毛校舎で行われた「情報デザイン教育プロジェクト研究会」に行ってきました。
武蔵野工業大学 環境情報学部の小池先生や専修大学 ネットワーク情報学部の上平先生の講演があったり、フリーのディスカッションがあったり有意義な時間を過ごさせてもらいましたが、今日書くのはその内容じゃありません。

ここで書くのは、研究会の本編がお開きになった飲みの席で、浅野先生から聞いた「情報デザイン系の学校は就職はいいけど、学生が集まりにくい」って話です。


「情報デザイン」という名前は高校生にはわかりにくい?

正直、へーそうなの?って思いました。

浅野先生がいうには、「情報デザイン」という名前が、高校生にはわかりにくいんじゃないかということ。確かにそれはあるかも。なんだかわからないし、いまいち魅力にかけます(笑)
だからといって、「情報デザイン」って名前を変えればいいかというとそうではないでしょう。だって、それに代わる言葉なんて見当たらないし。

もともとわかりやすい言葉だとか、魅力的に思える言葉なんてありません。言葉の対象となるものが世間一般に普及して、それが人気になってこそ言葉そのものも輝きが増すんじゃないでしょうか? 大学でも専門学校でも「情報デザイン」の学部や学科をつくるくらいなら、「漫画・アニメ」の学科をつくれ的な発想もあるそうですけど、それって漫画やアニメが市場で認知されてるし儲かってるからです。

「情報デザイン」のヒット作をつくれない日本企業?

じゃあ、「情報デザイン」って言葉が社会で認知されてないのってどうして?って考えると、そりゃ、1つの原因として日本の企業がだらしないっていうことがあるんじゃないでしょうか。

とにかく日本の企業はいまだ情報デザインに関するヒット作を出せてないわけです。
GoogleにしてもYouTubeにしてもiPhone/iPodにしても話題になるおいしいところはみんな持ってかれちゃってるわけですよ。ヒット作がなければ、それをつくりたいなんていう人がでてくるわけもないですから。

そうはいっても、実はWiiとかDSとかちゃんとヒット作もあるわけです。しかし、これが情報デザインの方面からちゃんと語られていない。
最近『ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則』なんて本も読みましたが、いまひとつ内容的には踏み込みが足りなかったので、特にここでは紹介しませんでしたが、ゲームのデザインを論じた本ってあまりなかったりします。

アウトソーシングなの?インハウスなの?

もう1つ、Webのデザインとプロダクト/サービスのデザインが、アウトソーシングとインハウスに分断しているのもおかしなところです。どっちがいいとか悪いとかいう話じゃなくて、なんで分断されてるのかっていう話。

GoogleやAppleみたいに内部でやってもいいし、イタリアのデザインみたいにすべてアウトソーシングするのもありだと思います。Webは外で、プロダクトは中なのはどうして?というところでノウハウ、スキルが内外に分断されているところに大きな問題があるんじゃないでしょうか?

まぁ、これもグラフィックのデザインから伝統なんでしょうけど、その結果、グラフィック/Web/プロダクトのデザインが別物として扱われ、見事にスキルやノウハウが3種のデザイナーに分断されてしまっているということが起きてしまっています。
これは結構、不幸だなと。それでなくとも、デザインとエンジニアリングが分業化されているという不幸があるのに、これではノウハウ、スキルが分断されすぎてしまっていて、ヒット作を生み出すような総合力はきわめて生まれにくいのではないかと感じてしまいます。

デザイン教育に求められるもの

だからこそ、こうした日本のデザイン環境に応じた特殊なスキルがデザイナーには求められているんじゃないかと思うのです。

それは一般的にはデザイン・マネジメント力と呼ばれるようなもの。デザイン過程の仕事を組み立て、動かす力でしょうか。
昨日も「「自分の仕事をつくる」をつくるための5つの実践」という形で書きましたが、エンジニアリングやマーケティング、製造などの分野を巻き込んで、いかにデザイン過程、ものづくりのプロセスを有機的にプロデュースしていくことができるかという能力が日本のデザイナーには求められてしまうのかなと思います。それはもちろん大変なことですけど、このデザイン環境を考えると致し方ないことなのだと思います。

デザイン教育の現場でもそうしたデザイン・マネジメント力を養うようなカリキュラムも必要なのかもしれませんね。それは何も学校のような教育現場だけでなく、企業内の教育の場でも同じだと思います。

  

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