ビジュアルデザインとわかりやすさ

ビジュアルデザインって単に美的なセンスや情緒的な面に訴えるだけでなく、わかやすさや内容を伝わりやすくする面でも重要なものです。

例えば、僕の身近なところでいえば、提案書や企画書を書く際にも美的なデザインに配慮することは必要だと思います。
装飾も含めてきれいにつくられた文書のほうが、読む人、見る人にもわかりやすかったりするから。

ビジュアルデザインで内容の伝わり具合が異なる

見出しと説明文、文書の構造などが、レイアウトや装飾的な形や色、フォントサイズや種類の強弱、適切な図版の利用などを用いた表現で整理されていると、書かれた言葉以上にものを言うということがあります。

これは言葉で説明より、見てもらったほうが早い気がするので、例として「ロジェ・カイヨワによる遊びの4類型」の内容をまとめたドキュメントを以下に2つ示します(※テキストは『ワークショップ―偶然をデザインする技術』より引用)。

まず1つ目は、ほとんど視覚的要素の配慮を行っていない、箇条書きに毛のはえたレベルの例。



もう1つは、フォントサイズや色彩によるメリハリ、囲み枠や罫線をもちいた画面の分割などを使って表現した例です。



好みは別として、下の例のほうが、一見しただけで遊びには4つのタイプがあり、それぞれに「文化的形式」「制度的形態」「堕落」の例が示されているのがわかりやすいのではないかと思います。

企画や提案を認めてもらいたいと思うなら視覚表現への配慮も必要

このように見た目に配慮するだけでも内容の伝わりやすさは変わってきます。見た目にきれいにデザインされたドキュメントのほうが人目をひきやすということもあるでしょう。

それゆえにそもそも提案書や企画書をつくる目的である「企画や提案自体を認めてもらい、それを実行可能にする」ことを追求するなら、いかに相手に伝わりやすく、わかってもらいやすくなるような視覚要素の美的さにも十分に気を使ってドキュメント化することかということにも十分努力する必要があると思うのです。

もちろん視覚デザインにこりすぎてしまうのもいけません。
相手が見た目ばかりに注目してしまい、中身に目をむけなくなることもあるで、ほどほどにしておくことも必要です。

しかし、そうしたやりすぎ、バランスには注意しつつも、ドキュメントのビジュアルデザインに配慮する姿勢は必要なものです。やはり中身だけちゃんとしていれば伝わる、わかってもらえると考えるのは大間違いです。きれいに表現することは企画書や提案書のようなドキュメントづくりでも欠かせない配慮だと僕は思います。

視覚表現の要素

具体的に、企画書や提案書のようなドキュメントづくりに使う視覚表現の要素には以下のようなものがあります。

箇条書き/階層構造を用いる
先の「ロジェ・カイヨワによる遊びの4類型」の最初の例でも用いましたが、階層構造や箇条書きをフォントサイズやインデントを用いて表現すると、見やすくなります。

罫線や囲み枠を使う
「ロジェ・カイヨワによる遊びの4類型」の2つ目の例で用いましたが、囲み枠や罫線で情報要素を分割することで、情報のまとまりを理解しやすくなります。

表組み・マトリックスを使う
表組み・マトリックスは情報間の関係性を整理し、視覚的に表現にするのに便利です。表内のテキストを箇条書きにしたり、重要度に応じてフォントサイズを変えて強調することでより見やすくなるでしょう。

見出し要素に統一された視覚表現を用いる
見出し要素を視覚的に表現することで、ドキュメント内の情報検索性があがります。また、見出しとその内容が視覚的に分離されることで、情報の閲覧性も高まります。

矢印などを使って時系列を表現する
時系列や要素間の関係性を矢印をつかって表現するのも1つの方法です。

色彩を統一する
色彩を統一することもドキュメントの見やすさを確保する1つの方法です。

これらは見てお分かりのように、とうぜん、企画書や提案書のようなドキュメントだけの話ではなく、WebのUIデザインにも通じる話です。逆に言えば、WebのUIデザインに凝るなら、企画書や提案書のようなドキュメントのビジュアルデザインに配慮してわかりやすさを心がける大切さも理解できるんじゃないでしょうか。

さらにいえば、日常使うものでも、見た目のデザインがよいもののほうが使いたくなる、持っていたいと思うんじゃないでしょうか。
もちろん、視覚的にも分割やまとまりが明確になったほうがわかりやすいという面もありますが、ビジュアル的な要素ってそれ以外の理屈をこえた本能に訴えかけるような面でも「使いやすさ」「わかりやすさ」につながっているのだろなと思っています。

  

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