時間を空間に見立てて仕事を組み立てる(仕事のデザイン2)

多くの場合、仕事は細かなサブタスクが複雑に組み合わさることで、全体的な目標を達成するよう組み立てられます。親タスクと子タスクの関係が入れ子状に組み合わさってプロジェクト全体を成します。

プロジェクトのなかでは、誰がどのサブタスクを具体的に実行するかの役割分担が行われます。各自が割り振られたタスクを遂行していくことで、プロジェクト全体が前進することになります。

タスク間の関係性を理解する

仕事をデザインする|デザイン過程をデザインする」というエントリーでは、仕事をデザインするには、目的・目標に応じてトップダウンでサブタスクを組織化する視点とボトムアップで各サブタスクを実行可能なようにする両方の視点を交互に用いながらデザインすることが重要だと書きました。
木を見て森を見ないのもいけないし、森を見て木を見ないのもいけません。自身に紐づく子タスクが完了しなければ親タスクが終わらないことがあります。役割分担されたメンバー各自が自分のタスクしか見ていなければ、プロジェクト全体が破綻しかねません。

見えないものをデザインするには」というエントリーでは、<見ようとしなければ見えない>関係性をデザインすることが大事だと書きましたが、プロジェクト全体におけるサブタスク同士の関係性、相互依存性をデザインする際でもまさに同じことがいえるのです。

行動するには時間が必要

仕事をデザインする上で大切なのは、タスクを実行するための行動にはすべて時間が必要であるということを意識することです。モノをデザインする際には空間的なレイアウトを考えますが、行動をデザインする際には時間を空間に見立ててレイアウトする視点が必要になってきます。

プロジェクトのデザインではよくマイルストーンが設定されます。各マイルストーンでは定められたアウトプットをその時までに用意しておくことが求められます。つまりマイルストーンによって時間のエリア設計が行われているのです。

マイルストーンで区切られてエリア内に複数のタスクが存在するとしましょう。それぞれのタスクに関わる人間も異なっているとしましょう。それは決められたスペース内に複数のパーツをうまく配置してエリアをきれいに埋めるパズルに似ています。個々のパーツの大きさや形は決まっています。そして、決められた範囲内にきれいに収まることが求められています。
マイルストーンまでに各タスクを実施し、必要なアウトプットを用意するには、各タスクの担当者が自分のタスクのみに集中するのではなく、自分のタスクに関係するタスクを実施している人の時間のスペースも気にしていなければ、制約として与えられたエリアにすべてを収めることはできないでしょう。

プロジェクトのような行動の伴うもののデザインでは単に最初にスケジュールをひいただけではダメで、刻々と変わる状況をつねに鑑みながらデザインを修正する作業が必要でしょう。

時間だけでなく、お金や人、場所も

時間はプロジェクト推進の貴重なリソースではありますが、時間だけが必要なリソースではありません。
お金や人、そして作業する空間や素材などを保管する場所もプロジェクトの大事なリソースです。

プロジェクトとはこうしたリソースをうまく配分することで、すでに与えられた素材以上の何かを新たに生み出すために実施されます。それは与えられた素材を整理し処理することとは異なり、素材と先のリソースをうまく創発させることで存在しなかった何かをつくりあげることです。

プロジェクトにおける時間のデザインが単に頭のなかで考えた計画を表面化させたスケジュール表だけではうまくいかないように、お金や人、場所などのリソースのデザインも頭で考えたり紙に書いた計画だけではうまくいきません。

デザインとは対話である

モノのデザインが常に素材との対話であるように、プロジェクトのデザインも常にリソースとの対話です。
(参考エントリー「デザインという対話」)

モノのデザインがすべて設計図どおりにはいかずに実際に身体をつかって作業をするなかで素材からのフィードバックを得つつ形をつくりあげていくのと同様、プロジェクトのデザインも、時間、人、お金、場所のリソースからのフィードバックを常に身体で感じ取りながら形をつくりあげていくものだと思います。
そのためには常にいまの形、そして、いまのリソースの状態を感じながらそれぞれがタスクを遂行できるようになることが必要でしょう。

仕事のデザイン

楽しい仕事をするための8つの条件」では「とにかく実践的であること。身体やモノを使って表現し、考えていることを形にする」や「相手の考え、他人の考えに興味を示し、常に自分の考えをブラッシュアップする」が楽しい仕事をするための条件であると書きました。
リズムを刻む実践的な学習とワークスタイル」では「固定された部門などを越えて人々が交わる茶会のような場の形成力、ふだんからリズムよく学習や仕事をおこなう生活習慣を重視することが大切」だと書きました。

こうした仕事の形をデザインするためには、時間を人を場所を、そして、お金をどう具体的にデザインするかを考えなければいけないと思います。

働くスペースをどうデザインするか。コラボレーションが可能なリズムを刻むチームをどうデザインするか。自分自身、そして、他人の役割をどうデザインするか。お金をどのように使い、どのように配分するか。こうしたすべてが仕事のデザインに関わってくると思います。

仕事をデザインするというのはそういうことかなと最近考えています。

  

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この記事へのコメント

  • 桝田良一

    「仕事とは時間であり空間」で検索でヒットしてきました。
    参考になりました。
    ありがとうございました。
    2010年07月06日 08:00

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