これからはデザインの時代|デザインの時代はこれから

これからはデザインの時代だろうと僕自身は思っています。
そう思って僕はいま仕事をしているし、仕事をつくろうとしています。

ここで僕がデザインといっているのは、例によって、単にビジュアルデザイン、見た目のデザインのみを指してはいません(もちろん、それも含みますが)。
設計、計画といった意味合いも含む、人工物の総合的なデザインです。この場合の人工物は製品のようなモノも含みますが、サービスや組織のデザイン、仕事・ワークスタイルのデザインなども含まれます。さらにはデザイン・プロセス自体のデザインも重要だと思っています。


問題解決と価値創造:デザインの2つのミッション

デザインには問題解決と価値創造という2つのミッションがあると思っています。
この2つのミッションは、問題の顕在性に関わるものだと考えています。

問題が顕在的な場合、デザインに与えられるミッションは問題解決となります。
一方で問題が潜在的な場合、デザインのミッションは価値創造となります。

前者が改善につながるものだとすれば、後者はイノベーションにつながります。
もちろん、双方は厳密に区分できるものではなく、顕在的な問題でもその問題が大きく、それをデザインにより改善できるのであればそれは立派なイノベーションであるし、問題が潜在的でもその問題が些細なものであればデザインにより問題の顕在化と解決を提示した場合、改善として受け取られるでしょう。

「これからはデザインの時代」と思う理由

「これからはデザインの時代」と思う理由はいくつかあります。

1つは情報化がますます加速すること。
それは単に現在のWebのようにオープンな情報の生産/消費を人間が行うという意味だけではないと思っています。今後はデザインされた人工物の側が環境の情報を自分でINPUTし、内部で情報を処理した上でOUTPUTを行うようなケースが増えてくるでしょう。
この情報処理過程をデザインするには、認知科学的な人間の情報処理の研究とロボット研究のようなものが相互に組み合わされる形で、いかにユビキタスに存在する無数の人工物に人間にとって価値のある情報処理を行わせるのかということが課題になってくるでしょう。

2つ目はUIの多様化が考えられます。
マウス、モニターといった現在のPCのUIだけでなく、これからは様々な形のUIがデザインされるのではないかと思っています。また、その必要性も高まってくるでしょう。
携帯型の情報機器はますます多様化しています。携帯電話やスマートフォンなどに限らず、ポータブル・ゲーム機やデジカメ、iPod、カーナビなどはすでに一般化していますし、さまざまな携帯可能な情報機器が登場するでしょう。DoCoMoの振ってどうにかなるUIが良いかどうかは別として、UIの多様化はインタラクション・デザインの方向性を大きく変えるでしょう。
その場合、どのような入出力のUIをデザインするかは、その製品のユーザエクスペリエンスの価値に大きく関わってくるだろうことはいまのiPhoneの注目度を考えれば明らかです。

GUIからTUIへですね。
もうひとつ現在のUIは基本的に、誰が(S)、何を(O)、どうするのか(V)のみを処理するようデザインされています。SVO、つなり主語、述語、目的語のみがその構文には含まれます。
しかし、自然言語では僕らは形容詞も形容動詞も使って、自分たちの感覚や経験を表現しています。
これからのUIに求められるのはいかにこうした形容詞・形容動詞を取り込むかということではないかと思っています。「やさしく」触れるとか、「そっと」撫でるとか、「勢いよく」叩くなど。そうした形容詞、形容動詞を入力面でも出力面でもいかにUIに取り込むかが1つの課題なのかなと思っています。

3つ目としてはやはりモノそのものの価値以上に経験の価値に人々の嗜好性がシフトしている傾向があげられます。
必要な機能を満たすためだけにモノを購入し消費することに飽きている傾向があるのはもはや無視できなくなってきているのではないかと思います。人々の目は肥えてきて、それぞれが自分らしいモノを求めるようになってきています。また、物語を感じるような味のあるモノ、特定の製品カテゴリーにはおさまらずその商品名自体が製品カテゴリーになってしまっているもの(iPhone、iPodなど)が求められています。
それらは単なるモノではなく、人々に特別な経験を与える存在です。
そうしたデザインを生み出すことがマーケティングの重要な課題の1つになっています。

デザインの時代はこれから

こうしたデザインを考えていく上では、何よりデザイン・プロセスを整備し、それを身に着けることが個人的にも組織的にも重要になってくるのではないかと思います。
それがこれからのデザインの時代の課題であると思っています。

以前「非フォーカス・グループ」や「IDEOにおけるデザイン・プロセスの5段階」というエントリーで、エクスペリエンス・デザインのプロセスは、人間中心のデザイン+エモーショナル・デザインと定義できるんじゃないかと考えました。

experience design



いまもこの人間中心のデザインと感性工学などを含むエモーショナル・デザインの考え方をいかにデザイン・プロセスに落とし込んでいけるかが、これからのデザインの時代を占っていく重大な課題であると考えています。
そのためには最近、「利用者の観察から必要なデザインの形を理解するプロセス」や「コンテキスチュアル・インクワイアリーでメモをとるコツ」で取り上げているような人類学におけるフィールドワークやエスノグラフィのようなアプローチに関してもどんどん取り入れていく必要があるだろうと思います。

いずれにせよ、デザインの時代はまだまだこれからだと思っています。
デザインの時代。それは変革の時代、大きな過渡期なんだろうとも感じています。

   

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