フィールドノート:観察・経験の記録法

だいぶ前に買っておきながら読まずにほっといたままになっていた『方法としてのフィールドノート―現地取材から物語作成まで』をようやく読み始めました。

民族誌(エスノグラフィ)的な調査であるフィールドワークには「集団についての研究や人々が日常生活を営む様子を研究する作業」が不可欠で、それには2つの活動が含まれていると著者らは言っています。

  • 1つは、フィールドワーカーが調査の対象となる社会状況に入り込んで、その社会のごくありきたりの日常的な活動に参加しながら進行中の出来事を観察する「参与観察」という活動があります。
  • もう1つは、調査対象である社会の日常生活に参与しながら観察して学んだことを、規則的かつ系統的に書き留める作業があります。

本書における、中心テーマは調査にたずさわる人が観察と体験に基づき記録する、後者のフィールドノーツです。

著者らは「これら二種類の、相互に密接に関連する活動は、民俗誌的調査の根幹を成している」と述べています。
確かに、観察し経験することと、その観察結果や経験を記述することは異なるものであり、しかし、調査であれば、その双方が必要なのは明らかです。観察し経験することもむずかしいけれど、それを記録することも同じくらいむずかしいと思います。

他人の活動や関心に注意を払う方法

僕がこの本に興味をもつ理由は、以下の一文に述べられるような、フィールドノーツの記録法を学ぶことで「他人の活動や関心に対して自分の活動や関心に対するのと同じくらいに注意を払うようになる」という点です。

わたしたちは、日誌記録よりは民俗誌的フィールドノーツによる記録の方が実習体験と授業で得た知識の結びつきを強くし、また深める上で有効であると主張したい。実地研修を受けている学生は、フィールドノーツを書くことによって、出来事をより詳細かつ系統的に観察し、日常的な出来事とドラマチックな出来事の双方に注意を払い、そして、他人の活動や関心に対して自分の活動や関心に対するのと同じくらいに注意を払うようになるだろう。
ロバート・エマーソン他『方法としてのフィールドノート―現地取材から物語作成まで』

本書で著者らは、これまでどちらかといえば個々のフィールドワーカーの暗黙知のなかに閉じ込められていた、フィールドノーツを書くというプロセスを明らかにし、それを方法論として確立することを目指しています。

まだ読み始めたばかりで、さらにページ数も多い本書ですが、このあたりの実践的なプロセスを学べればよいなと思っています。
この本に関しては、また何か興味をひく点があれば随時とりあげてみたいと思っています。



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