2007年08月09日

ラダーリング法、評価グリッド法、パーソナル・コンストラクト理論

すこし前の「情緒と行動のモデリング」というエントリーでもすこし触れましたが、人間の認知の構造を明らかにするためのインタビューの技術として、最近、ラダーリング法という手法に注目しています。
練習のために、社内でのヒアリングやクライアントへのヒアリングなどでも意識的に利用していたり、最近は結構お気に入り。

基本的には、ユーザー調査におけるインタビューのスキル、調査後の分析スキルを向上させたいなというところが狙いです。
このラダーリング法をうまく用いれば、属性、機能的ベネフィット、情緒的ベネフィットの関係性を構造化できるのかなと思っています。

評価グリッド法とパーソナル・コンストラクト理論

では、ラダーリング法とは何か?

まず、ラダーリング法は環境心理学の分野で用いられる評価グリッド法で用いられる質問法です。

評価グリッド法
人間が何を知覚してその結果どのような評価を下しているのかという認知構造を同定するための方法。評価グリッド法は、環境心理学の分野のパーソナル・コンストラクト理論における人間モデルを前提としています。この評価グリッド法における質問法として用いられるのがラダーリング法です。

ところで、パーソナル・コンストラクト理論とは何かというと、

パーソナル・コンストラクト理論
人間は認知構造と呼ばれる各人に固有の理解・判断の仕組みをもっており、目や耳などの感覚器を通じて得た外界からの情報を、この仕組みによって情報処理することで、環境を理解し、どんな行動を取るべきか決定し、さらにその結果を予測しようと努めている。(「環境心理学をシステム開発に応用できるか:arclamp.jp アークランプ」より)

図にすると、こんな構造が前提にされているわけです。



ここでは「各人に固有の理解・判断の仕組み」というのがポイントです。
ですから、評価グリッド法にしても、ラダーリング法にしても、個人に対するインタビュー調査に用いるというのが前提で、その結果明らかになる認知構造は基本的に個人差があるはずだというのが前提になります。

ラダーリング法

調査グリッド法では以下のような手順で行い、被験者の認知構造の理解のためにラダーリング法による質問を繰り返します。

  1. 被験者にいくつかの評価対象をみせる
  2. 被験者は対象それぞれに好ましさを評価
  3. 好ましさのランクの異なる対象についてその理由を質問
  4. ラダーリングにより被験者各自の全体的認知構造を効率的に引き出していく

ラダーリングでは先の図の矢印で示したように2種類の方向性があります。

  • ラダーアップ:被験者の根源的な心理状態に近づけていく質問
  • ラダーダウン:対象の具体的状態を定めていくための質問

「りらっくまが好き」という女の子に、「なんで好きなの?」と聞いて「かわいいから」という回答を導くのがラダーアップ、「どこが好きなの?」と聞いて「耳が丸いとこ」という回答を引き出すのがラダーダウンです。

こうした質問を異なる対象に対して行っていくことで、被験者の認知構造を明らかにしていくわけです。

コンサルティングや営業時のヒアリングにも

で、僕が最近このラダーリングによる質問が気に入っているのは、単に人間中心設計におけるユーザー調査によるよう旧開発に使えるなと思っているからだけではありません。
もっと日常的にクライアントや同僚の考えていることの構造を理解するのにも役立っているからです。

この質問法で得た回答を紙に階層化して書いてあげて、質問した相手に見せてあげると、実は僕以上に質問された相手に気づきが生まれることが多いんです。
それまでぼんやりとあいまいに考えていたことが構造的に整理されるからでしょうか? たいていの場合、僕が構造化したメモを元に質問されていた当人がそこから考えをさらにブラッシュアップしていくんです。

ようするに、これってコンサルティングの1つの手法としても使えるなと思うわけです。こちらが答えを提示してあげるのではなく、頭の整理を手伝ってあげることで、相手本人に気づきを与え、答えを見つけさせる手法として有効だなと思っています。

もちろん、営業時にクライアントの要望を整理する際にも使えると思います。
という便利そうなツールなので、もうちょっとインタビュースキルを磨いてみようかなと思っているわけです。

 

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posted by HIROKI tanahashi at 00:57| Comment(0) | TrackBack(1) | ユーザビリティ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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