いや、実際には使いますよ。
でも、わかって使わないと、ツールに騙される危険性がすごく高いと思います。あのアイトラッキングってツールは。
ヴィジュアライゼーションに騙されてるだけで、ログ解析だけでユーザーの意識や行動の意味がわかるって言ってるのと同じですから。
いや、ログ解析のほうがずいぶんマシです。そこそこのサイトであれば十分に統計的に意味のあるデータがとれますから。でも、多くて数十人しか対象にしないユーザビリティテストではそうした方向での分析じゃ意味がないと思います。
そうではなくて、目の動きっていったい何に関係あるの?ということを、他の行動分析と比較しながら、その関係性を読み解いていくことにこそ、アイトラッキングを使う意味はあるのだと思っています。
アイトラッキングをユーザビリティテストで活かすなら
きちんと思考発話法でのプロトコル分析だったり観察法をきちんと併行してやってればわかりますけど、視線の動きと認知っていうのは必ずしも関係してません。注視点が必ずしも意識のフォーカスとあってないのは、きちんと他の行動や意識とあわせて分析すればわかることです。
そういう他の行動分析手法と併用してデータ同士を比較しつつ、総合的な分析をしてこそ、アイトラッキングのデータも活きてきます。
にもかかわらず、アイトラッキングによるデータのみで何かを語らせようとすると、とんでもない間違いになる。ましてや、ユーザーのコンテキストの把握もなしに、フェイシャル・エフェクトを云々しだしたら、もうユーザビリティというより、ユーザー無視に近いとさえいえると思います。
人が人間の顔にひかれやすいなんてことは調べなくてもわかる傾向です。それでも、ユーザーが自分が達成したい目的をもってWebサイトに訪れるとき、フェイシャル・エフェクトを超える注視がどのように実現するのかを問わなくては、ユーザビリティの評価をしていることにはならないはずです。
行動の複雑さに驚き、その豊かさに惹かれること
人間の行動はもっと複雑だし、意識、認知、目的に沿った行動、そして、無意識下の身体の自働的な動きの関係性など、そう簡単に相関性を見出せるわけではないと思います。本当にユーザビリティだとか、ユーザーエクスペリエンスを考えるのであれば、ツールやデータだけに頼らず、もっと自分の身体でユーザーにぶつかっていかないとダメです。
友達とだって長い時間をすごして、ようやく互いにわかりあえる。ユーザビリティだとか、ユーザーエクスペリエンスに大切なことって、そんな身体的な知の力をどれだけ信じ、おそれられるかという姿勢なんじゃないかと思うんです。
行動の複雑さに驚き、その豊かさに惹かれるという感覚が。
くれぐれも間違ったユーザビリティテストには騙されないよう用心しましょう。
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この記事へのコメント
gekisai
まぁ、もう少し使ってみてからでも。。。
ねぇ。。。
まずはインタビューをこなすことでしょうか。
tanahashi
疑問を感じてるって言ってるわけです。
疑問を感じなきゃ向上はないわけですから。
疑問も感じない輩にはムカついてますけど。