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研究室の学生が、自分自身のリアルおよびネットでの「かう」行動を分析することから、ブレインストーミングを経て、「かうためのデザイン」をするプロセスが、個人ごとにプレゼンテーションされたものが展示されていました。
ソニーのインタラクションデザインの取り組みについて
それから今日は、ソニーのクリエイティブデザインセンターの奥村和正さんによる「ソニーのインタラクションデザインの取り組みについて」という講演も行われていました。プロダクトのハード部分、UI部分のデザイン、そして、各種販促物の統合的なデザインによるユーザーエクスペリエンスに統一性をもたせるというお話。コンテンツ+アプリケーション+ハード=プロダクトであるというお話。グローバルかつテレビなどに関してはあらゆる世代に向けたデザインを行う必要がある大手マスプロダクトメーカーゆえの、ユニバーサルデザインへのベクトルとローカライズなどの個別の対応(欧州はゲーム感覚を好かない、米国はアイコンよりテキスト表示など)のお話。などなど、興味深いお話が聞けました。
そんな今後の課題としてあげてらっしゃったのが、ユーザーエクスペリエンス。
「モノから作法へ」というコンセプトの変化は、やっぱりそういう時代の流れなんですねと感じました。
オブザーベション(観察)からはじめるイノベーションのお話もされていましたが、そうしたデザインアプローチをまさに会社に浸透させていくのが今後の課題であるとお話されていました。
行動からデザインへ落とし込むデザインのプロセス
奥村さんのお話もそうでしたが、学生の展示のテーマ自体、単に「かうための」Webサイトをデザインするというより、行動分析からはじまるデザインのプロセスを体感するという主旨のものだったり、ユーザーの行動の分析からはじまるデザインプロセスが、やはり各所で取り組まれ始めているのかなという印象を受けました。最近、人間中心のデザインプロセスのことばかり書いているので、中には誤解されているかたもいるようですが、デザインに限らず、これが正解なんていう型はありません。
むしろ、いま読んでいるヘンリーペトロスキーの『失敗学―デザイン工学のパラドクス』には成功体験への模倣は失敗を生み出すことさえ指摘されています。
それは僕もそのとおりだと感じていて、既存の手法を参照するのは役に立ちますが、結局、自分自身で失敗を通じて学んでいく以外にデザインを学ぶことなんてできないと思います。
自分自身のデザインプロセスをつくること
その意味で、それぞれが自分の失敗から学び続ければ、それこそ多様なデザインプロセスが生まれてくるはずですし、そういう多様なデザイン手法があっていいのだと思います。しかし、これはプロセスが標準化できるということではありません。ある問題を理解したとしても、同じ方法で次の問題も解決できるわけではありません。典型的なデザインの状況にはいつも、方法のわからないものがつきまといます。デヴィッド・ケリー「第8章 デザイナーのスタンス」
テリー・ウィノグラード『ソフトウェアの達人たち―認知科学からのアプローチ』
結局は誰に何を言われようと自分なんだと僕は思っています。なぜなら人それぞれ自分の人生でぶち当たる問題は違うはずですから。違う問題を同じ解決法で解決できるとは限りません。
だからこそ、そこで他人と比較してどうこう言っても仕方ないのだと思うのです。
既存のプロセスや手法についても学びながらも、自分自身でしっくりくるデザインプロセスを生み出し、そこで生み出されるものを世間に評価してもらう以外にないのだと思います。
そして、誰にでも努力さえ惜しまなければ、その力はあると僕は思っています。
それには、先達がよきメンターの役割を果たしてあげることは大事なことだなと、今日あらためて感じた次第です。
今日の展示なんて、デザインプロセスの重要性を身をもって学生に体験する機会を与えているという意味で、小池先生はよき師なんだろうなと感じました。
このブログもすこしはそうしたお役に立てるようになればよいなと思います。
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