2007年07月25日

エクスペリエンスデザイン

ドナルド・A・ノーマンのアップル時代の肩書きって「ユーザーエクスペリエンス・アーキテクト」だったんですね(ほら、これ)。

ちなみに、ユーザーエクスペリエンスを、

ニールセン・ノーマン・グループでは、「エンドユーザーと、会社およびそのサービス、製品との相互作用のあらゆる面を含んでいる。典型的なユーザーエクスペリエンスの第一要件は、つまらぬいらいらや面倒なしに、顧客のニーズを正確に満たすことであり、次に所有する喜び、使用する喜びとなる製品を生産するといった簡単、簡潔なことである」と定義している。

のだそうです。

それにしても、「ユーザーエクスペリエンス・アーキテクト」ってなんかかっこいい。僕も自分の名刺に「ユーザーエクスペリエンスほにゃらら」って入れようかななんて思っちゃいます。

素直に「ユーザーエクスペリエンス・アナリスト」とか「ユーザーエクスペリエンス・リサーチャー」とかでもいいのかも。

ちなみに例えばgoogleでもユーザー エクスペリエンス リサーチャーを募集してたりします。
職務の役割としては「リサーチの結果をプロダクトの設計プロセスに取り込み、ユーザーの視点をプロダクトに反映させる」だそうです。

モノを通してヒトを見る

さて、さっきのユーザーエクスペリエンスの定義に話を戻すと、「簡単、簡潔なことである」って最後にありますが、確かに定義そのものは簡潔ですけど、なかなかそれを実現するのはむずかしいんじゃないですかと比較的楽観的な僕なんかでも感じちゃいます。

今日もあるメーカーのお客さんと人間中心設計のことを話していた際に、その方が「僕も昔は設計をやってたんですけど、どうしてもモノを通してヒトを見てしまいます」という話をされていました。

その方が言うには、製品をつくる過程にたずさわる人は、企画の人でも設計の人でも技術の人でもみんな、使い人のことは考えているのだ、と。
ただし、その人を見る見方が「モノを通してヒトを見てしまう」形になってしまうとのことでした。

ヒトを通してモノを見る

人間中心のデザインは、その反対に「ヒトを通してモノを見る」デザイン・アプローチです。
もうすこし正確にいうと、人間の行動を通じてモノとのインタラクションを考え、それをデザインという形に落とし込むアプローチです。

人間は、日常という舞台装置の中で日々あたりまえのように生活しています

その舞台の上で、人間は使いづらいものにも適応し、目の前にあるものだけを使って暮らしています。ユーザーに意見を聞いてもよいデザインがつくれないのは、ユーザー自身がそんな日常に慣れてしまっているからです。

だからこそ、ユーザーの潜在的なニーズはそんなユーザーの日常の行動の中にひそんでいるのだといえます。しかし、それは日常という舞台装置を客観視しなければ見えません。

人間中心のデザインの初期段階で、フィールドワーク調査やコンテキスチュアル・インクワイアリー法などを用いて行動観察主体の調査を行うのは、ユーザー自身が日常という舞台装置に埋没してしまっていて見えなくなっている潜在的なニーズを、観察者が客観的な目で発見するためです。
そこからありきたりの日常を超えたイノベーション、他を圧倒するユーザーエクスペリエンスをデザインするためには何が必要かを見定めるのです。

エクスペリエンスデザイン

「ヒトを通してモノを見る」デザインは、結局、人間の行動そのものをより豊かな経験につながるよう総合的にデザインするエクスペリエンスデザインなのだと思います。

人間の行動、そして、その行動とモノとのインタラクションからもたらされる経験にフォーカスした人間中心のデザイン・アプローチは、単にモノをデザインする視点からデザイン・チームの目を、人々の経験をデザインする視点へと変えてくれるものだと思います。

もともとISO13407もインタラクション・システムの人間中心設計プロセスとして国際規格化されているように、人間中心のデザインの考え方はどちらかといえば、これまでWebや携帯電話など、コンピュータ機器を中心に利用されてきました。
しかし、最近のデザインの風潮をみていると、その他のもののデザインでも人間中心のデザインへの関心がすこしずつではありますが、高まっている印象があります。

こうした流れが持続して、より人間中心のデザインのプロセスがものづくりの現場で当たり前のように用いられるようになると、日常という舞台装置のエクスペリエンスも大分向上するのかななんて思ったりします。

  

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posted by HIROKI tanahashi at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | デザイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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