2007年07月16日

自分のためにだけではなく(Web標準の日々の感想に変えて)

Web標準の日々。ようやく終わりました。

今日は自分のセッションのほかに、ビービットの遠藤さんとbAの三井さんのセッションに参加させていただきました。

僕のプレゼン資料に関してはさっきもお知らせしましたが、下記にアップしておりますのでご自由にダウンロードください。

「Contextual Design 経験のデザインへの人類学的アプローチ」プレゼン資料(pdf、5.27MB)

さて、では、すこし感想を。

ビービットの遠藤さんのセッション

遠藤さんのセッションはさすがユーザーテスト慣れしてるなというのがお話から伝わってきました(僕の言い方だとあれはユーザー調査とユーザビリティ評価に分けて呼ぶべきだと思うが、ここではそれはどうでもいい)。
サイトマップを最初につくるのではなく、ユーザーシナリオからというのはごもっともで、「もっと言って」って思いますw

1つ気になったのは、カードソート法をKJ法(親和図法)に近い形で理解されているのだけは、それは使い方が違うんじゃない?って思いました。あれはプロトタイピングの一種で、ラベリングの妥当性をユーザビリティ評価する手法なんだと僕は考えてます。

でも、こうした形で業界にHCD(UCD)手法が広まっていく流れを引っ張っていってらっしゃるところは同じベクトルをもつ者として素直に応援したいと思いました。

bAの三井さんのセッション

おなじUXトラックの三井さんのセッションは、僕が思いっきりWebの話を排除し、かつ思いっきり風呂敷を広げた概念論と手法論に徹したのとは打って変わって、きわめて現場レベルのお話をさえていたのはとても好印象でした。そして、なにより話を聞いていておもしろかったし、これは間違いなくUXの話だと感じました。

形にならないものは、どんなに概念や手法が立派でも意味はありません。そして、死にそうになりながらプロジェクトをまわすなんてこともできれば避けなくてはいけません。

形にするには正しいHCDプロセスにこだわる必要などどこにもありません。それは以前に「ユーザビリティ成熟度モデル」というエントリーでも書かせてもらったとおり、無理やりHCDプロセスを形だけ押し付けてもダメなんだと思います。その説得に時間がとられ、開発期間が短縮されてしまうなら、そのときできる最善の形でプロジェクトを進めるのが正しい仕事の進め方なんだと思います。

そのあたりは質疑応答の際に出た経営層の説得という話にも結びつく問題だと思います。僕たちは正しいやり方にこだわるよりも、その時点での正しい成果を優先すべきなんだと思います。

僕自身のセッション

まずはあんなに多くの集まってくれたことにびっくり。
最初に会場に人が入ってきたときは正直、やべって思いました。
でも、本当にあんなにたくさんの人に集まっていただき感謝です。

にもかかわらず、僕自身のセッションは準備の甘さが露呈してしまい、参加された方にはご迷惑をかけてしまった点もあったかと思います。内容の詰め込みすぎとその詰め込んだ内容をわかりやすく資料に落とし込みきれなかったという不備があったなというのが自己反省点。

でもね、プレゼン自体については自分自身でも不満はあるものの、内容そのものに関しては「Web標準の日々」という名のイベントにおいて今日話したことを話せる機会をもてたのはよかったと僕自身は思っています。
実際の現場では正しいやり方にだけこだわっているわけにはいきません。しかし、正しいやり方を追求していく場も同時に必要だと僕自身は強く思っているからです。そして、それはGOAL制約により既存の制約を壊していくという姿勢においてしか創造できないと考えます。

このあたりは二束のわらじをはいて、シチュエーションに応じて自分の姿勢を置き換えていく必要があり、なかなかうまくいかない面もありますが、現場における正しい解を追求する姿勢と、基礎研究的に正しい方法論を新たに生み出していく姿勢はどちらも僕にとっては大事なものです。

今後のミッション

それは僕自身のためにもなると思いますが、自分のためにだけではなく、きっとこの業界のためにもすこしは力になれるような気がするから。
Webの話をほとんどしないセッションをする僕でも、たぶん、他の人とは違った形ですこしは業界全体の力になっていければという風に思っています。
それはWeb業界という業界にとどまらず、情報デザインを行う業界として、その未来をつくっていくことはおそらく僕たちひとりひとりのミッションだと思うから。

三井さんがセッションでの質疑応答で「僕らの世代がきちんとした評価軸をつくってこなかった責任がある」といいう旨のお話をされていたのは非常に印象的でした。

そして、僕らはいまHCDという枠組みのなかでその1つの評価軸を生み出すチャンスを与えられていると思っています。
そのチャンスをきちんと形にできるかどうかは、これからの僕らがどんな風に仕事をしていくかにかかっているのではないでしょうか?

そんなことを思いつつ、また、明日から通常のWebの日々に戻りたいと思いました。
最後に鷹野さんはじめ、スタッフの方々、本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございます。

※ところで、このエントリー。見出しで韻を踏んでますw

 
タグ:web HCD
posted by HIROKI tanahashi at 22:38| Comment(2) | TrackBack(0) | Web | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつもブログ拝見させていただいております。

先日のWeb標準の日々のセッションにも参加させていただきました。

いつもブログで取り上げていただく内容が、アプローチする入口がどこかってだけで、デザイナーでもディレクターでも、IAでも取り組んで行かなければいけないこと、考えなくてはいけないことは共通していて、その共通部分がすごく大事なんだなということにうんうんとうなづきつつ、自分の力不足や知識不足にたまに凹みながらも(笑)、勉強させていただいています。

棚橋さんはどうやってスキル、知識を身につけてきたんでしょうか。私も頑張らないとなぁといい刺激になりました!
ありがとうございました。
また次のイベントで聴講させていただける機会を楽しみにしています。
Posted by エルモ at 2007年07月18日 11:35
参加ありがとうございました。

スキルや知識を身につけさせてくれるのは、好奇心とそれに素直に動ける行動力だと思います。
学んでいさえすれば、まわりの環境がもっと学ばせてくれるように変化するものだと経験上思っています。

がんばってください。
Posted by tanahashi at 2007年07月19日 00:06
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