出だしはよかったはずなのに、どうもその後、進んでないなと。
そういう場合、アイデアだけ思いついて、それで満足しちゃう人が多いんだろうと思います。
次々、アイデアが出てくるのはいいけど、そのあと深堀りしない。アイデアベースでは埋まっていないところを考え、形にしていくところのプロセスがなかったりします。
そうなると、仕事が形になっていかないわけです。
アイデアをリストとして外部化する
アイデアを思いつくことは基本的にいいことです。いろいろアイデアを思いつくのに、まわりに評価されていないのだとしたら、それは考えを深める力、形にしていく力が欠けている、不足しているんだと思います。アイデアを思いついたら、そこから可能性のあるものについて深堀りしていく作業が必要です。他に考えるべきことをリスト化していきます。マインドマップのようなツールを使ってもいいでしょう。とにかく頭のなかだけで思いついた状態から、リストのような形に外部化することでアイデアの未熟さを消していく作業が必要です。
とにかく書き出すことです。外部化されることで、自分のアイデアに何が不足しているかが見えてくるのですから。「書かなきゃ自分が何がわかっていないかさえわからない」のです。
アイデアだけ出して、何も形にできない人はこのあたりが欠けているんだと思います。
リストを元に構造化する
リスト化することでMECE(モレなしダブリなし)の状態に深められたアイデアの要素の集合は、次に実際に仕事として形になるよう構造化していく作業が必要です。構造化の作業を進める上では「Contextual Design:経験のデザインへの人類学的アプローチ」で紹介した「Work modelingのための5つのワークモデル」が援用できるでしょう。5つのワークモデルは本来、ユーザーのタスクを分析するためのツールですが、自分たちのタスクを分析し構造化していくのにも当然使えるはずです。
- Flow model:ユーザーがタスクを終える際に必要なコミュニケーションの流れを記述するモデル。
- Sequence model:ユーザーがタスクを終えるまでの行動を時系列で記述するモデル。
- Artifact model:ユーザーがタスクを終えるまでの過程で作成するアーティファクト(人工物)を記述するモデル。
- Cultural model:行動が行われる環境における、影響者と影響の範囲や度合いなどを記述するモデル。
- Physical model:行動が行われる物理的な環境や道具を記述するモデル。
ようはこうした5つのワークモデルを使って構造化していくことで、アイデアを実際の行動、必要な人員や道具、環境、作業フローのレベルにまで落とし込んでいくわけです。
ようするに最初の思いつきのアイデアをリスト化によって要素を膨らまし、さらに構造化することで仕事としてデザインしていくんです。
デザイン思考でオペレーションまでもっていく
ここまでデザインしないと実際のオペレーションが動き出しません。仕事がとまってるなと思ったら、こうした作業を進めてみるのがよいと思います。
デザイン思考でとにかく仕事を形にするのです。
ただ、仕事のデザインを行うチームの中に、ひとりでも「待ち姿勢」の人がいるとデザイン作業は滞ります。誰かが何かを質問してはじめて動くような人がいると、その人が自分でボールをもっているにも関わらず作業を進めない、考えない、自分から口を開こうとしないなどで、デザイン作業全体が進捗しなくなる。そういうのも結構困りものです。
残念ながら、そういう場合の対処法に関しては、僕自身もノーアイデアです。
関連エントリー
- Contextual Design:経験のデザインへの人類学的アプローチ
- 書かなきゃ自分が何がわかっていないかさえわからない
- 形式知と暗黙知(っていうか直接話をきいてやれ)
- 自分が動くから他人が動く(あるいは、よいデザインの4原則と行為の7段階理論)
- 組織というシステムも使い勝手が悪いと使ってもらえない
この記事へのコメント
sgr
一連の記事について一つ質問があるのですが、これらは著者が新規に発案しているものなのでしょうか?それとも何らかの啓蒙を目的としているのでしょうか?
もしくは第三の目的があればお教え下さい。
tanahashi
「新規に発案」という言葉のニュアンスとは違うかもしれませんが、ここで書いていることは基本的に以下の2つの形で発案されていると考えています。
Case1.本などを読んでインスパイアされたことを本からの引用とともに記述。
Case2.仕事上、プライベート上で起こった出来事から感じたこと、考えたことを記述。
1と2も基本的に大きな違いはなく、オリジナルの情報の濃さが違うだけで、どちらもオリジナルの情報に対して「私が考えた、思ったこと」というフィルターがかけられています。
基本的には、自分の書きたいことを書いていますので、何かしらの組織や団体の啓蒙目的はありませんし、何かしら1つの思想やスタイルの啓蒙が目的ではないと考えていただいて結構です。
啓蒙の色があるとしたら、それは自分の考え方に同調してもらえる人がいればという気持ちがあるでしょうか。
基本的にはブログを書く目的は、以前に書いたこのエントリーで表現されているとおりです。
■[いま読む]自分のために書くブログ
http://gitanez.seesaa.net/article/32233990.html
sgr
tanahashi