誰をライバル視するかによって戦略は変わってくる。そのため、ライバル視する相手を間違うとその相手には勝っても、ノーマークの相手に気づくとやられているってこともあるはずです。
ポジショニングマップ
たとえば、競合他社との関係を可視化し、自社の目指すポジショニングを明確化する方法にポジショニングマップというものがあります。顧客の側からみた価値軸を縦横に2軸配置し、その2軸で競合他社と自社の関係を明示する方法です。具体的には、こんな感じのものです。
ここでは縦軸に「機能」面での優位性(例えば、多機能、使いやすいetc.)をおき、横軸に「品質」の良さを置いて自社を含めた4社の関係を示しています。
これによれば自社は、競合A社とB社に品質面で劣っており、同時に競合A社とC社に機能面で劣っています。この場合、どこをライバル視するかで戦略は変わってきます。
A社をライバル視すれば多機能でかつ品質もよいというポジショニングをA社と争い、かつA社に抜きん出るため、品質面か機能面もしくはその両方でA社を超える必要があるでしょう。
B社をライバル視すれば機能は限定しつつも圧倒的な品質を追うことになりますし、C社をライバル視すれば品質に目をつぶりながら魅力的な機能で市場を魅了するようなポジショニングを築く戦略をとることになります。
どこをライバル視しどの戦略をとるかは、とうぜん、市場におけるシェアや競争のポイントが実際どこにあるかによって変わってきます。ポジショニングが上図のとおりで、シェアが1位:A社、2位:自社、3位:B社、4位:C社であれば、競争相手と考えるべきはA社になるでしょう。あるいは市場が求めているものが圧倒的に品質なのであれば、B社とA社がライバルとなり、差別化の面でさらに品質で上にいく戦略をとるか、品質は同等で機能面で差別化をはかるかということが競争のポイントになるかもしれません。
自社の業界をどう捉えるか
しかし、問題はこのポジショニングマップに載っていない企業が実際にはライバルになりえる場合があります。それは自分たちが自社の業界をどう捉えるかによっても変わってきます。
たとえば、このブログの読者にわかりやすいようにいうと、いまWebの制作に関わっているような企業が自分たちをWeb制作業界の会社と捉えるか、情報デザインの会社と捉えるかで、自社の組織体制や商品ラインナップは元より、市場における競争相手のリストも大きく異なってくるはずです。
自分たちをWeb制作の会社だと捉えるならふつうはWeb制作の会社を競争相手とみなすでしょう。マーケティング寄りの制作に多く携わっている会社であれば、もしかすると広告代理店なども競争相手とみなす場合もあるかもしれません。
しかし、自分たちを情報デザインに関わる会社だと捉えると話は変わってきます。上記の企業は相変わらず競合視されると思いますが、ここにデザイン事務所のような会社やユーザビリティなどのコンサルティング企業も競争相手として入ってくるでしょう。
自分たちをどう捉えるのか
もし自分たちの立ち位置をWeb業界であると考えていた際に、競争のポイントがWebかどうかではなく、情報デザインの良し悪しにシフトした場合、アウトです。あとで気づいて切り替えようとしてもなかなかポジショニングチェンジはむずかしいことが多いと思います。そのため、自分たちの立ち位置をどう捉え、本当の競争相手は誰なのかを見誤ると大変なことになりかねません。昨日も「自分の立ち位置(外が見えなくなったら)」なんてエントリーを書きましたが、このあたりの話は本当に重要だなと、仕事でいろんな企業さんに関わらせていただくなかで感じるところです。
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