2007年06月21日

恋愛にたとえると・・・

ブランディングでも、マーケティングでも、ユーザビリティでも、やっぱりキモになるのはユーザー視点/顧客視点をもつことだと僕は思います。

でも、最近すごく気になるのは「ユーザー視点で」といいつつ、実際にはユーザーのことを知ろうとしない、その作業をするのを億劫がる人、拒む人が意外と多いことです。

ユーザーに焦点を合わせるというのは、単なる態度ではない。そのための作業が必要なのだ。(中略)何をデザインするのかを知るための地ならし作業であるマーケット・リサーチで、あるいは日々のプログラミングにおける決定、うまくいったかどうかを決めるユーザービリティ・テストで、製品がユーザーの求めているものに応えているかどうかの品質保証の手続きにおいて、そして消費財サービスにおいてである。
ローラ・デ・ヤング「第13章:ソフトウェア・デザインを支える組織」
テリー・ウィノグラード『ソフトウェアの達人たち―認知科学からのアプローチ』

ユーザーのことを知ろうとする作業に懐疑的で、とにかく自分たちのやりたいことをやろうとする。まぁ、それで効果がでないことも十分ありえることがわかっているならいいんですけど、そうではなく同時に効果をお求めでいらっしゃる。

なんで自分たちがコミュニケートしようとする相手のことを知るのをそんなに拒絶するのだろう?って思います。

誰か異性のことが気になりだし、その相手といい関係になりたいなって思ったとき、あなたは相手のことを知り相手の気持ちも考慮しつつ自分の気持ちを伝えるか、それとも、相手のことなど気にせずにとにかく自分の考えに従って行動するか? 後者がダメとはいいませんが、正攻法としては前者のほうじゃないかと思うんですけど。

恋愛にたとえると・・・

相手に好きだって伝えるにしても、やっぱりタイミングってありますよね。
まったく相手が自分のことをどう思っているかも知らずに、いきなり「好きだ」とか言っても、普通、言われた相手はびっくりします。運よくそのびっくりがいいほうに転ぶといいんですけど、確率は低いはず。
そんな確率の低いチャレンジをする人がどうかはわかりませんが、ユーザーのことを知らずにコミュニケーションしたり、製品を売り出したりってそれに近いと思うんですよ。ブランド・コミュニケーションをするにしてもそうですよね。何に魅力を感じるかを考えずに自分のよさをアピールしたところでそれが伝わる保証などありません。

あとタイミングをはかるには、ある程度、相手の好みとか考え方とかを含めてどういう人なのかを知っておかないと、タイミングひとつはかれないんじゃないか、と。
仮にあるタイミングで「好きだ」と伝えたとしましょう。その際、相手が沈黙したら、その意味をどう受け取るかも相手のことがある程度わかっているのとそうでないのとではまったく違うと思います。
相手の表情の意味、相手の言葉の意味、そういうものを自分自身がちゃんとわかるためにはやっぱり相手のことを知らないといけませんよね。

普通は好きな相手とじゃなくても、知らない人とのコミュニケーションって大変です。相手の表情や態度が何を示しているのかわからないので、自分も次にどういえばよいか、どう行動すればいいかを考えてしまいます。

ブランド:唯一無二のもの

ブランドっていうと、つい自分自身がどういう価値を持ち、どういう魅力があるのかをどう表現するのかみたいなものだと想像しがちです。
もちろん、その理解は間違ってないのですが、自分たちの側だけをみて、ブランドに接するターゲットユーザーのことを理解しようとしなければ、ブランドなんて生まれっこありません。

ターゲットユーザーが何に価値を感じるのか、ターゲットユーザーがブランドのどこに魅力を感じるのか、そういうことを気にしなければ、ターゲットユーザーにとっての唯一無二のブランドになどなれません。

それは恋愛と同じです。
相手に好きになってもらいたかったら、自分勝手に振舞うのではなく、相手のことを考えつつ自分が相手のことをどれだけ好きで、どれだけ気にかけているか、どれだけ大切に思っているかを態度だけでなく、具体的な行為として表現していかなくてはならないはずです。
相手のことを知ろうともせずに、相手にとって唯一無二の存在になんてなれるわけがないじゃないですか。違います?

ユーザー中心のインタラクション・デザイン:恋愛にたとえると・・・

最初の引用の「ユーザー」を「好きな人」に置換して、かつもろもろの調整をはかると、こんな風になります。

好きな人に焦点を合わせるというのは、単なる態度ではない。そのための作業が必要なのだ。(中略)どうアプローチするのかを知るための地ならし作業である好きな人に関するリサーチで、あるいは日々のコミュニケーションにおける決定、うまくいったかどうかを決める好きな人の評価で、今日のアプローチが好きな人の求めているものに応えているかどうかを知る手続きにおいて、そして付き合い始めたあとのデートにおいてである。

これからできれば長くお付き合い=インタラクションしようというのですから、やっぱりお互いに理解し合い、信頼し合える関係を築いたほうがよいですよね。
それには相手とどれだけ相互にコミュニケーションを繰り返し、相手のことを理解していけるかが大切なんじゃないでしょうか。

失恋は人を成長させるとかいいますけど、やっぱり態度だけでは「ユーザー中心デザイン」というものも成長することはなくて、失敗を繰り返しながら行う作業が組織を「ユーザー志向」に変えてくれるんだと思います。
ユーザビリティ成熟度モデル」でも書きましたが、いままでユーザーテストもやったことのない組織がいきなりペルソナ/シナリオ法を使ったデザインプロセスの利点を理解するのはむずかしいのかもしれませんね。



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posted by HIROKI tanahashi at 21:09| Comment(0) | TrackBack(1) | ブランディング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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