ユーザビリティ成熟度モデル

昨日、横浜デジタルアーツ専門学校で情報デザインを教えていらっしゃる浅野先生に、うちの会社を訪問いただきました。

梅雨入りしたような昨日、西新宿にあるWeb会社(株)ミツエーリンクスさまにうかがってきました。
 訪問のきっかけは、ペルソナつながりといいますか。以前からそこのマーケティングエンジニアの棚橋さんのブログが面白く、以前から会ってみたいと思っていたら、偶然ペルソナデザインドットネットさんからご紹介を受けたのでした。

先日、できたばかりのうちの会社のユーザビリティテスト・スタジオのモニタールームで1時間ほど、ユーザビリティテストや最近のユーザビリティの普及などのお話をしました。

僕自身、外出帰りで頭のキレが悪く、こちらからはあんまりお話することができませんでしたが、浅野先生からは、企業がユーザビリティに取り組むにも一気に高いレベルを目指すのはむずかしく、着実に一歩一歩段階を踏んでいく必要があるという興味深い話を聞かせてもらいました。

ユーザビリティ成熟度モデル

そこで思い出したのが、『ユーザビリティエンジニアリング―ユーザ調査とユーザビリティ評価実践テクニック』の著者である樽本徹也さんの「ユーザビリティ成熟度モデル」です。

原始期
主な活動内容:デザイナー/エンジニア任せ ※各種ガイドラインの参照含む
ユーザビリティ専門家の役割:参加していない
黎明期
主な活動内容:製品リリース前に最終チェックとしてユーザテストを実施する
ユーザビリティ専門家の役割:製品完成後に評価者として参加する
揺籃期
主な活動内容:前期:プロトタイプを使ってユーザテストを実施する 後期:プロトタイプとユーザテストを繰り返す(反復デザイン)
ユーザビリティ専門家の役割:設計段階から助言者として参加する
躍動期
主な活動内容:訪問調査やインタビューを実施して、シナリオやペルソナを開発する
ユーザビリティ専門家の役割:プロジェクトの初期から設計チームの一員として参加する
拡充期
主な活動内容:リリース後の製品の利用状況について追跡調査を実施する
ユーザビリティ専門家の役割:製品マネジメントチームの一員として参加する
完熟期
主な活動内容:ユーザビリティ知識管理データベースを構築する
ユーザビリティ専門家の役割:経営マネジメントチームの一員として参加する

まさに浅野先生のいうとおりで、ユーザビリティへの道を一気にかけあがることはむずかしいです。

ユーザーの行動を観察したことがなければ意味あるペルソナをつくるのもむずかしい

プロトタイプを使ったユーザビリティテストの実施すらままならない会社で、その上の「訪問調査やインタビューを実施して、シナリオやペルソナを開発する」というのは結構ハードルが高い。

実は今日、会社のHPにペルソナ/シナリオ法に関するコラムを書かせてもらいましたが、うちもようやくペルソナ/シナリオ作成サービスをクライアント様に提供できる体制が整ったばかり。

ペルソナを使ってユーザーの行動シナリオを描く利点は、デザイン&開発メンバー全員で、自分たちが作ろうとしているものが誰のためのものであり、その人はいつどんな時に、どんな場所で、どんな目的でどのようにそれを使うのかを共に考えることができるようになる点です。

ペルソナをつくり、ユーザー行動のシナリオを書くにしても、実際、ユーザビリティテストなどで、いかにユーザーの行動がユーザー自身の置かれた文脈に左右されるか、与えるタスクによって同じデザインの見方がどれだけ異なるかを体感していない人には、なかなか意味のあるペルソナおよびシナリオの作成はできないと思います。
自分でユーザーの行動を観察して、そこから何かを発見した経験のある人でないとペルソナやシナリオの価値も十分理解できないと思います。

その意味で、浅野先生の一足飛びでユーザビリティの階段を駆け上がることはできないという話はすごく共感できましたし、前に教えてもらった樽本さんの「ユーザビリティ成熟度モデル」にもあらためて納得できたわけです。

そういえば「コンテキストはユーザビリティのキーコンセプト」と言っていたのも樽本さんでした。先日書いた「Contextual Design:経験のデザインへの人類学的アプローチ」というエントリーとも結局、そういうところでつながるわけです。



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