ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡

たまには日記風に。

森美術館に「ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡」を見に行ってきました。
先週から六本木ヒルズの森美術館で開催されているこの展覧会では、近代建築家として有名なル・コルビュジエの建築の図面や模型のみならず、彼の残した絵画や彫刻、彼がつくった建築物を再現した部屋などを、全部で10のセクションにわけて展示しています。建築物の再現は、彼自身の身長183cmの身体をベースにつくったモデュロールという規格寸法(モデュール)を体感できて面白かったです。
集合住宅のマルセイユ・ユニテのメゾネットタイプ(2階建てアパートの内部)と彼の終の棲家であるカップ・マルタンの休暇小屋が再現されているのですが、どちらも想像していたよりスケールは小さく、それでいてあまり窮屈さを感じない点が興味深かったです。
ところで僕は大学時代に建築を勉強していたのですが、ル・コルビュジエという名前が本名ではなく、彼が編集にもかかわり、全28刊が刊行された『レスプリ・ヌーボー』誌に執筆するために作られた仮名(本名はシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)だったということをはじめて知りました。それから、とうぜんながら上野の国立西洋美術館の模型もあったのですが、大学時代にこの国立西洋美術館の模型をつくる課題があったのを思い出して懐かしくなりました。

ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡
 http://www.mori.art.museum/contents/lc/index.html
ル・コルビュジエとレオナルド・ダ・ヴィンチ
今日「ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡」を見て、一番強く感じたのは、コルビュジエがやろうとしていたことって、すごくレオナルド・ダ・ヴィンチのやっていたことに近いなということでした。
そんな風に感じたのは、先日、上野の東京国立博物館で開催されている特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」 を見てきたばかりだというせいもあったのですが、人の身体をベースとして観察を行い、そこからモノの形を生み出そうとする姿勢は両者に共通するものを感じました。

凄みという点では、レオナルドのほうがル・コルビュジエの何倍も感じるのですが、生涯10数点の絵画作品しか遺さなかったレオナルドと比べて、ル・コルビュジエが実現した建築物の数を考えると単純に優劣をつけてもしかたないだろうと思います。

どちらもいまの人間工学だったり人間中心のデザイン手法にも通じるものを感じますが、その視線は工業化、科学化のはるか以前のレオナルドはもとより、工業化時代の建築家であったル・コルビュジエでさえも、いまのそれとは異なる身体性というものを強く感じさせます。
最近、情報デザインにももっと身体性からの視点を取り入れなくてはいけないと強く思っているのですが、この2人の遺したものに続けて触れることができたのはすごく刺激になったと思っています。

レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像
 http://www.leonardo2007.jp/

ル・コルビュジエの絵画
ル・コルビュジエは著書『建築をめざして』のなかで「建築は<立体>(volume)と<面>(surface)という要素によって立ち表れる。<立体>と<面>とは<プラン>(plan)によって決定される。<プラン>が一切の母体である」と言っています。ル・コルビュジエのいう<プラン>とはいわゆる平面図としてのプランを指す言葉ではなく、<立体>や<面>という建築の構成要素間の関係性を決めるものとして考えられています。

そのル・コルビュジエの空間の捉え方は、今日見た彼の絵画でもはっきりとあらわれていたように思います。彼の絵画のパースペクティブは特殊な形でゆがんでいて、平面と立面が同時に見えているように描かれています。ぱっと見は、パブロ・ピカソの絵画などを想起させますが、ピカソのキュビズム的ゆがみとル・コルビュジエのそれとはゆがみの性質が異なっているように感じます。どちらもモノの配列についての考察、あるいはヒトの視線や総合的な感覚というものの考察を試みている姿勢を感じますが、やはりル・コルビュジエのほうが建築家らしい立体のボリューム感を絵画の上でも感じさせるもののように思いました。

学生時代にイヤというほど、見たはずのル・コルビュジエの建築でしたが、こうやって歳を重ねたあと、あらためて見てみるとすこし感じ方が違っていました。展覧会場でみた映像による建築物の紹介も、おそらく違う映像で見たことがあったものでしたが、見ていてとても新鮮ですぐにそのDVDボックスが欲しくなりました。

同じモノでもコンテキストが異なれば違うものになる。
デザインを考える上でそのことは非常に大事なことだとこのブログでは何度か書いてきましたが、まさにそれを実感した感じです。
そんなわけで、とても有意義な日曜日を過ごせたなと思った次第です。

 

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この記事へのコメント

  • 笹川未隆

    ル・コルビュジエに関する関連記事のトラックバックお送りしたかったのですが、「※当ブログへのリンクのないリンクは受信されません。」とのことですのでこちらにコメントいたしました。
    建築ブログをやっております笹川みりゅうと申します、はじめまして。
    私のブログ、昨日付け(2008年2月25日)の記事でコルビュジエ、2007年6月15日付けの記事でレオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像展の話題を取り扱っております。
    よろしかったらご覧下さい。
    http://blog.goo.ne.jp/3a87kir/
    2008年02月26日 10:04

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