みなさん、Webサイトのデザインするとき、どうしてますか?
ちゃんと意思を形に落とし込むようにしてますか?
クライアントのサイトをデザインする際に、クライアントがユーザーに届けたいと思っている意志をデザインしようとしてるでしょうか?
意思があるのに表現できない場合
と言われても困ってしまう方も多いのではないかと思います。困るのは、きっとクライアントが意思を明確にしてくれないからではないでしょうか?
困ると思った人のなかで、クライアントの意思ははっきりしてるけど、どう表現したらいいかわからないと思ってる人はちょっと努力や勉強が足りないですね。
マーケティングや企業コミュニケーションに関する本を読んで、企業と顧客をはじめとするステークホルダーとのコミュニケーションの意味や何をどうコミュニケーションすべきかを勉強してください。基本です、基本。
マーケティングの初心者は、例えば、こんな本からはじめるとよいでしょう。
意思がない場合
さて、そうではなくて、クライアントの意思がはっきりしない場合。これが困りもんです。顧客をはじめとするステークホルダーに対して、何を提供するのか? どんな風に感じてもらいたいか? そうした人々とどういった関係を結びたいのか?
そうした基本的な意思が明確でない場合、Webをデザインしろといわれても正直困ります。
決まりきったコンテンツや機能しかない企業サイトなら、まぁ、なんとかデザインすることはできますよ。もちろん、何の独自性も競争優位性もない平凡な仕上がりにはなると思いますが。
あるいは、クライアントに意思がないなら、Web制作をおこなう僕らがあまり深く顧客やそのほかのユーザーについては知らないまま、もちろん、企業の経営戦略などもきちんと知ることができないまま、勝手な意思をでっちあげることはできます。その場合、企業の経営戦略、全体的なマーケティング戦略とのズレがでてしまうことは否めません。だって、それについては教えてくれないのですから。
で、意思がないサイトってのは、結局、使い勝手もよくないし、魅力もないサイトになります。
それでいて課題として「ユーザビリティの向上」とか「マーケティングの活用」ということが言われる。
問題はWebだけでは解決しないんです。
まずは企業として、顧客と、社会とどう接していくのか? どんな価値を、経験を提供していくのかというビジョン、そして、意思がなければ、Webだろうが、その他のコミュニケーションだろうが、商品だろうがサービスだろうが、きちんとデザインされるはずもないんです。
- コンテンツのカテゴライズはどのような価値観を示しているのか?
- グローバルやローカルのナビゲーションメニューの並びは何を伝えようとしているのか?
- その画像のセレクトはどんなビジョンに根ざしているのか?
- トップページのレイアウトは会社の顔としてどんな表情、どんなパーソナリティを表現しているのか?
- 情報や機能の品揃えは、すべてのステークホルダーとどんな関係性を構築・維持しようという意図の上で行われているのか?
創造のプロセス
やっぱり「デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方/奥出直人」で紹介したような「創造のプロセス」がWebをデザインする際にもあったほうがいいんです。自分たちは社会に対してどんな貢献をするのかという「哲学」があり、そのために具体的にどんな価値提供を行うのかという「ビジョン」があり、その上で社会を観察する「フィールドワーク」があり、具体的なコミュニケーションの「コンセプト」と「モデル」をつくり、そして、はじめてWebサイトの「デザイン」を行う。
そうしたプロセスの中で「哲学」や「ビジョン」といった意思がWebサイトとして形づくられるようになるんだと思います。
デザインする側もそのことを忘れてはいけないと思います。
小手先のデザイン手法にたよったWebサイトは惨めです。
Ajaxでリッチなインターフェイスを提供しようと、多様なコンテンツや機能を有していようと、結局、それで何を伝えたいのか? 何を社会の人と共有したいのか?という明確な強い意思が存在しなければ、それらはバラバラのまま何も表現してくれないはずです。
そんな魂のないサイトがビジネスに貢献するはずはありません。
デザインする側も意思の重要性をきちんとクライアントに伝えていく必要があるでしょう。
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この記事へのコメント
fuji
サイトの構築時におけるクライアントとの意思の疎通について、とても共感しました。
実際に現状の仕事がそのような状態で困っているという状態でした。
このような場合は一つ一つ丁寧に方向を示していかなければならないんですね。
tanahashi
クライアントとの意思疎通のためには、
まずWebをデザイン、構築することが楽しいことだという経験を
伝染させてあげることが一番なのかなとコメントを読んで思いました。
それにはまずデザインする側が仕事を楽しまなきゃダメですよね。
mikan
小さなサイト構築をしております。
たまたま辿り着いたこのサイトで、直面中の悩みへのヒントを沢山得ることができました。
いろいろ忘れていたことを思い出せました。
ありがとうございます。