どんなに偉い人だって、きっとわからないことはたくさんあるはずです。
天才といわれたアインシュタインだって、ニュートンだって、わからないことはたくさんあったはずです。
本をどう読むか?
わからないことにこだわるのは大切です。でも、わからないことをわからないとあきらめて、別の大切なものを追いかけることも同じように大切だったりします。
どちらを選ぶかは、その人次第です。
きっとどちらを選んでも得られるものはある。それより中途半端がいけない。
中途半端にどちらも追いかけようと思うから、何も得られなくなるんだと思います。
今日、会社でタバコを吸っているとき、同僚と本を読むとき、わからないことがあったり、すでに読んだ箇所が気になったら前に戻って読んだりするかという話をしました。
僕の場合、そういうことはいっさいしません。
わからないことはわからないままにすることが多いですし、途中で前に書かれたところが気になってもほとんどの場合、前に戻って読み返したりもしません。
ひとつの本に執着しない
とにかく前に読み進めることを優先します。ひとつの本に執着することはしません。それは自分のアンテナにひっかかって選んだ本はどれもそれなりに自分に意味があるだろうと思うから。ひとつに執着するよりもそのすべてに執着したほうがいいと思うから。
途中でこの本は読めないなと感じたら、一度読むのをやめて他の本を読んだりします。
一度やめた本はまた後になって読みたいと思うこともあれば、二度と読もうと思わないこともあります。
そういうわけで読みかけの本や買っただけで読んでない本は常にたくさんあります。そして、それでも読みたいと思った本は躊躇せずに買う。そのほうがいつでも読み始められるし、いったんは読みたいと思った本だから読めば何かしら得るものがある。
僕の場合、とにかく前に進むこと、たくさんの本に触れることを優先します。
わかるものだけをわかればいいと思ってるし、わからないものに時間をかけることはやめています。
生活の時間のなかで文脈は変わる
わかるかわからないかはそれが書かれた文脈にもよるので、同じことが書かれてる場合でも、ある本の文脈ではわからなかったことが、別の本の文脈ではわかるということがあります。また、同じ本でも別の本を読んだりしたあとに読み返すと、以前はわからなかったことがわかるようになったり、以前に読んだときは何も思わなかった文章に惹かれたりします。
自分の生活の時間なかの文脈が変わると、同じ文章でも違ったものに見えてくる。それでわかったりわからなかったりすることがあるので、僕は本を読むときはわからないことはわからないまま、飛ばしてしまったりすることが多い。
それはわかるかわからないかは出会いとかタイミングみたいなものだと思ってるからで、無理にいまわかろうとするより、わかる日が来るまで待てばいいやという気持ちがあるからです。
偶然の幸運を生かす能力
わかったと思う瞬間は偶然訪れます。ただ、その偶然は何もせずに待っていても訪れません。十九世紀のフランスの数学者、ポアンカレの「偶然はそれを受け入れる準備ができた精神のみに訪れる」という言葉は有名である。いつ、どのような偶然が起きるかということ自体はコントロールできなくても、偶然の幸運を生かす能力は、自分の心掛け次第で鍛えることができる。茂木健一郎『脳と創造性 「この私」というクオリアへ』
その偶然を呼び込むカギは、何かを犠牲にすることにあるのではないかと僕は思っています。
例えば、それは先のように、いまわかろうとすることだったり、昨日書いたように一見無駄な時間や無駄な買い物にリソースを費やすことだったりするでしょう。
何かを得ようとするのなら、いったんはそれをあきらめることも大事です。
もちろん、完全にあきらめてしまうのではなく、焦って答えを見つけようとするその欲を断ち切ることが必要な場合もある。いや、あるというよりはそのほうが多いはずです。
何かを手に入れるためには努力が必要です。
でも、努力と同時に幸運も必要なんだと思う。
それにはストイックさと貪欲さという相反するものが同時に必要となるのだと思います。
関連エントリー
この記事へのコメント
ichino
それです。
その時の気分や状況によって感じ方が変わってきます。
それはどうしてだろうと思いとどまってしまうのです。(以前の記憶を呼び戻したい)
そういう時に、その本は置いて違う興味に移していくというやり方も確かにするのですが
。。。
焦って答えを見つけようとしているという指摘はまさにそうだと思いました。
今その時の自分はこう考えていた程度で一旦しまっておくというのは良いですね。
三田誠広さんのエッセイか何かで
「志賀直哉の作品は二十歳の人にはわかりません。
三十過ぎてから理解できる事もあったり、何かしらの経験を経て理解できる事もあるのです。」
というようなくだりを思い出しました。