奥出直人さんという方が書かれた『デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方』です。
なぜグッドタイミングかというと
どのヘンが僕にとってグッドタイミングだったかというと、この本が「デザイン思考=イノベーション」と捉えているところです。消費者を観察することでアイデアを見つけ、それを実行できるコンセプトをつくり、形を考え、メカニズムを考案して設計し、実装し、消費者に渡すまでの製品やサービスづくりの流れを「デザインプロセス」と呼ぶが、デザイン戦略とは、そのデザインプロセスを経営戦略として立案することである。奥出直人『デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方』
という引用でもわかるように、この本ではデザインを単にものづくりとは考えてはいません。
この本ではデザイン思考を、ビジネス・経営そのものとして捉えていて、それが最近の僕の問題意識にぴったりだったわけです。
というか、このブログがDESIGN IT! w/LOVEなのも、もともと僕のデザイン観はそういうものだったわけです。
最近のデザイン関連のエントリー
上記の引用にあるような消費者の観察からデザインをはじめることに関しては昨日の「マーケティング・マネジメントの基本に戻る必要性」や以前の「ユーザーの生活や思考を知ることからデザインをはじめる」「コンセプトがあいまいなら出来るものもあいまい」でも取り上げています。「僕たちはいま何をデザインしているのか?」もそうですね。
デザインプロセスというものをビジネスそのもののデザインにまで広げて捉える視点も、デブサミでの講演(リンク先に講演資料あり)でもお話しましたし、「2つのデザインプロセス」のエントリーでも紹介しました。
そういうわけで、この本で書かれているいまのビジネスにおいてデザインを重視しようという空気感は僕自身も最近ずっと感じていたことで、どうにか体系的にまとめられないかと考えていたことなので、この本との出会いが非常にタイムリーに感じたのです。
イノベーション、そして、利益を生み出すデザイン思考
デザイン思考=イノベーションという捉え方は、僕にも新鮮で、デザインは製品やサービスの形を考える分野からデザイン思考とデザイン方法論の研究分野へと変わらなくてはならない。奥出直人『デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方』
とし、デザインはイノベーション=顧客の経験をより豊かにするものを生み出す方法としている点は、ふむふむと思いました。
こうしたデザイン思考がいまビジネスに求められているのかは何故かという点について、著者は、これまでの卓越したオペレーションを目指し業務を効率化・最適化していくシックスシグマやリーン生産方式では企業が利益をあげにくくなってきているという市場環境の変化を理由としてあげています。
例として、出されているのはGEやP&Gで、それこそ、この巨大な2社は日本人の印象では、オペレーションをいかに卓越することで利益を創出するかというて点で長けている印象があります。
その2社がいまでは完全にデザイン思考=イノベーション戦略に移行したことで新たな利益創出に成功しているといいます。
やはりプロセスとシステム
で、「デザイン戦略とはデザインプロセスを経営戦略として立案すること」というくらいで、当然といえば当然のことなんですが、経営戦略といってる以上、優れた個人のデザイナーが数人いればOKという話にはなりません。イノベーションのマネジメントの本質は、革新的な製品やサービスをつくる組織を恒常的に運営することにある。イノベーションを生む個人を管理するのではなくて、製品やサービスを生み出す気持ちと仕掛けを学ぶこと、教えること、あるいは調整することが大事である。奥出直人『デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方』
というわけで、まだ、そこまで読み進められていませんが、じゃあ、どういうプロセスでデザインすればいいのという話になるわけで、ちゃんとこの本にはデザイン思考におけるプロセスが紹介されています。「創造の方法」としてのデザインプロセスが。
あとは読み終わってから、また書評という形で紹介させていただければ、と。
関連エントリー
- 僕たちはいま何をデザインしているのか?
- コンセプトがあいまいなら出来るものもあいまい
- マーケティング・マネジメントの基本に戻る必要性
- ユーザーの生活や思考を知ることからデザインをはじめる
- わかるコンセプト
- デブサミ2007「Webサイトの提案に困っていませんか?」講演資料を公開
- 2つのデザインプロセス
上のアフィリエイトを探した際に、同じ著者のこんな本もみつけたので、思わず注文しちゃいました。
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監物秀夫