2つのデザインプロセス

ビジネスとWebをつなぐインターフェイスが必要だろうという話を前からちょっとずつしています。

どちらかといえば今は「Webがビジネスを変える」みたいな論調のほうが元気がよく、さらにはWebマーケティングなどの話もツールやサービスありきで成り立っていたりします。

それはそれでいいと思いつつも、やはり大部分を占める一般の事業会社の視点から見るとやっぱりその考え方ではつらいですねと感じています。
「Webがビジネスを変える」ではなく、ビジネスの課題をプロセス視点で捉えることでWebにプロセス自体を置き換えるような手法が必要とされているのではないかと思います。

主導権が逆なのでは

前に「ツールだけでは人もビジネスも動かない、そして、Webそのものでさえも」でも
ITシステムを改善したからといってビジネスシステム全体の改善につながるとは限らないのは、ITシステムとビジネスのシステムをつなぐインターフェイスが明示されていないからで、改善が部分最適になってしまい、全体最適に観点からはむしろマイナスになってしまう可能性もなくはないからです。

と書きましたが、これも「ITシステムでビジネスを変える」という発想から生じているのではないかと思います。どちらかというと主導権が顧客企業ではなく、サービスを提供するSIerのほうにある形になってしまっています。

それと同じで今のWebの状況もWeb関連サービスのほうに主導権があって本来主役であってよいはずの顧客企業が主導権を握れていません。
この形もありだとは思いますが、やはり逆の形もないとダメだろうという思いがあります。

2つのデザインプロセス

で、ビジネス側の発想をするにはどうしたものか? ビジネスとWebをつなぐインターフェイスはどうすれば開発可能か? などと考えていたのですが、最近、あることに気づきました。

このブログでも何度か紹介しているシックスシグマのプロセスデザイン手法に含まれるDMAICと、ISO13407の人間中心設計プロセスの類似性に。

d

まずは上記の図のように、一方は顧客重視、もう一方はユーザー中心設計なわけです。そして、ともにプロセス重視でビジネスそしてインタラクティブシステムをデザインする方法をとっています。

循環型のデザインプロセス

そして、何よりの共通点は双方ともデザインプロセスを直線的で終わりのあるものとしてではなく、循環型でスパイラルアップを目指すものとして定義している点です。



シックスシグマのDMAIC
  1. Define:定義
  2. Measure:測定
  3. Analyze:分析
  4. Improve:改善
  5. Control:管理


人間中心設計プロセス
  1. 人間中心設計の必要性の特定
  2. 利用の状況の把握と明示
  3. ユーザーと組織の要求事項の明示
  4. 設計による解決案の作成
  5. 要求事項に対する設計の評価


似ているのは、もちろん、両デザインプロセスともにPDCAサイクルをベースにしているからですが、双方ともに最初に「定義」や「人間中心設計の必要性の特定」を設けているのは特徴的です。

ビジネスとWebをつなぐ

この2つのデザインプロセスを用いることで、懸案となっているビジネスとWebをつなぐインターフェイスを開発することができるだろうと思っています。

詳しくは、下記のセミナーでお話しようと思っていますが(上の図もセミナー資料から転用しています)、ポイントはやはり「Webがビジネスを変える」ではなく、ビジネスの課題をプロセス視点で捉えることでWebにプロセス自体を置き換えるへということへの視点の転換だと思っています。

デブサミ2007(Developers Summit 2007)
セッションタイトル
Webサイトの提案に困っていませんか?
~ 経営課題とWebサイトをきちんとリンクさせる7 の手法 ~

日時:2007年2月14日17:40~18:30
場所:目黒区雅叙園
セッション概要
Webマーケティングは単なる広告でも、Web活用によるコミュニケーションの効率化でもありません。
企業におけるITシステムの改善が単にシステム面での改善ではなく、クリティカルな業務の改善であるように、本質的なWebマーケティングは企業が直面する経営課題そのものを解決します。その対象は販売促進などの販売プロセスだけでなく、人材などの調達プロセス、社内教育のプロセスにも及び、まさに企業経営の縮図といえます。
今回は経営課題をシックスシグマの考え方を用いてWebへ変換して解決案を導く手法をご紹介します。

そして、この2つのデザインプロセスがともに、デザインというものを実際の設計のみには収まらないトータルのプロセスとして定義していること、さらに、市場環境の変化や利用状況の変化まで考慮にいれてデザインプロセスを終わりのない循環的なものとして定義していることも、とても重要なことに感じます。

そのことに気づいてから、僕自身のデザイン観は大きく変わりましたね。

関連エントリー


参考記事

  

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック