2012年11月28日

問題定義とは結局「どんな夢を見るか?」ということ

前回も書きましたが、今月はやたらと慌ただしくいろんなところに顔を出したり、ワークショップやセミナーをさせていただいたりしています。
昨日も会社の主催で夜に「未来をつくるワークショップ」と題したデザイン思考の発想法を体験するワークショップをやらせていただきましたし、今日は大阪に日帰り出張してきました。



この1ヶ月のあいだに物理的にも場所を移動したり(今日の大阪だけでなく熊本や青森に行きました)、普段触れない領域に足を踏み込んだり(廃業したホテルや大学という場所や、アーティストの方々や温泉地の経営者の方々などとの交流)、いろんな方々とセミナーやワークショップで出会ったりしていましたが、そんな風にいろんな領域に顔を出して、実際に触れてみると、やはり自然と視野は広がるわけで、普段とは違ったことを考えられたりもして、それだけでも良い経験になります。
その意味でこの11月はとても有意義な時間を過ごさせてもらったなと感じているわけです。

日常の外に「視野を広げる」むずかしさ

ところで、この「視野を広げる」というのが日常で意識的に行うのが意外とむずかしかったりします。

ワークショップやデザイン思考をつかった商品やサービス開発のプロジェクトでも、従来の発想の枠組みから飛び出してみるために「視野を広げてみましょう」と言って、アイデア出しをしてもらうことがありますが、そう言っただけではなかなか視野が広がって、日常的な発想の外に飛び出していくことはありません。

そこでイノベーション創出のファシリテーターの役割を担う僕の立場からは、いっしょにイノベーションのための発想をする方々に、どうにか、いま目に見えているリソースや現象を、普段とは別の角度から見直してもらおうと、さまざまな問いかけをして「視野を広げてもらう」のです。

その際には、ゲームストーミングの手法の1つである「アンチプロブレム」のような方法を用いて、いまの問題の解決法を考えてもらうのではなく、さらに悪化させるようなアイデアを考えてもらうことで、凝り固まった発想をほぐしてもらったり、取り扱っているテーマとはまるで無関係なものを強制的に比較してもらうことで、あるテーマに対する固定観念的な見方から離れてもらったりという工夫をします。
もちろん、いつどんな問いかけでどんな風に視野を変えてもらうかは、状況次第で、ある意味、ここがデザイン思考的ファシリテーターの腕の見せ所です。

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自分たちの常識や思い込みがイノベーションにとって一番の障害

ワークショップでも、実際のサービスや商品開発の現場でも、なにか新しいものを生み出す際の一番の障害となるのは、自分たち自身の常識や思い込みです。

そして、その意味で、現場でファシリテーションを行っていても一番の難関になるのが、問題を的確に定義する場面です。

多くの場合、自分たちがチャレンジする問題自体を、旧来的な常識の範囲で定義してしまうことが多いのです。問題設定が旧来的な枠組みにはまったままだと、その後の解決法の発想でがんばっても、真に新しい解決策を生み出すのはむずかしかったりします。
解かれる問題自体が旧来どおりのままでは、よほど解決方法の目新しさがなければ、人が魅力を感じるようなものは生まれません。むしろ、新しい問題を見つけられず、誰もが使い古された問題の解決法にばかり力を入れてしまっているからこそ、いまのような市場の飽和状態があるといってよいと思います。

ですので、何より重要なのは、いかに自分たちがチャレンジする問題を、旧来とはまったく異なる枠組みで新しく定義できるか、です。
でも、現実にはここが第1の難関になり、やっぱりこの部分で躓くことが多いのです。

問題定義とは結局「どんな夢を見るか?」ということ

ところで、この問題定義とは何かというと、それは結局、自分たちがどんな世界を夢見るか?ということに尽きると思います。

どんな問題を解決して、どんな世界を実現したいと思うのか。
問題定義とは、その実現したいと感じる夢にほかなりません。

その意味では、なんとなく感じてしまうのは、いま日本の市場が全体的に活力をなくしてしまっているのは、この夢をみる力が失われているからではないか、ということです。

昔のように、自分たちがつくりたいと思うものをつくったりすることができなくなってしまっているのではないか。ものづくりだけに限らず、自分たちの仕事をとおして、こういう暮らしや社会を実現したいと夢見ることが普通にできなくなってしまっているのではないか。そんな風に感じたりします。

もちろん、その一方で、従来のやり方とは違った方法で、ビジネスをしたり、社会的な活動をしている若い人たちには、「自分たちが実現したい」ことがはっきり見えていて、その夢と呼べるビジョンが彼らのアクションをシンプルにしているようにも感じます。

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多くの人が楽しみながらいろんなチャレンジをするようになる世界を実現すること

その点を視野にいれると、やはり問題定義をむずかしくしてしまっている一番の要因は、なんとか旧来のビジネスや自分たちが従来活動している枠組みを壊さないまま、チャレンジしようとする問題を定義しようとしてしまっている姿勢なのだろうと思います。
従来の枠組みに囚われたまま、発想しようとすることで、自分たちの発想を不自由にしてしまっているのだと思います。

そして、それはより大きな視点でみれば、発想だけでなく、自分たちの未来の活動の可能性さえ狭めてしまっているはずです。
もしかすると、そのことでみすみすチャンスを逃してしまっているかもしれないのです。

自分たちが望むものが何かも考えず、自分たちが本当は夢見てもいない課題にばかりチャレンジして、しかも、あまり良い結果も期待できない(当然の帰結です)。
そんな負のサイクルからはなんとか抜け出さないと、という風には思いませんか?

もっと自分たちが楽しめるような方向で、発想を自由にしてよいのだと思います。
いつの間にか、仕事が楽しいものでなくなってしまっていること自体が、イノベーションを疎外している1つの要因なのです。

その意味でも積極的に「視野を広げる」ことで、自分たちが楽しみながら打ち込める夢を見つけることだと思います。
そんな風に多くの人が楽しみながらいろんなチャレンジをするようになる世界を実現することが、僕自身の夢だったりもします。



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posted by HIROKI tanahashi at 20:27| オープンイノベーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする