2012年11月26日

オープンになって外の世界と対話する

イノベーションへの近道は、オープンになって、自分が普段過ごしている世界とは別の、外の世界と対話を積極的に心がけることだと感じます。
内と外の境目をあいまいにしたところで、既視のものとはまったく別のイメージが見えてくる。それには既存の境界を越えて、オープンな気持ちで自分にとっての非日常的な世界と交わることが大事なのではないかと思います。

20121126a.jpg
TRANS ARTS TOKYO展より

クリス・アンダーソンも『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』のなかでこんな風に書いています。

たとえイノベーションを起こそうと思わなくても、「パブリックな空間でもの作りを行う」だけで、イノベーションのきっかけになるかもしれない。それがアイデアの特性だ。アイデアは、シェアされると拡散する。

そうなんですよね、新しいことを生み出すこと、イノベーションを生み出すことって、本来、新しさやイノベーション自体を求めて生み出すものというより、パブリックな空間で活動を行う結果、自然と生まれてくることなんだと思います。

アイデアはシェアされ拡散されることで、個人がバラバラに考えていたときには予想もしなかった創発を呼びます。その創発が繰り返されることで、イノベーションが生み出される。そんな確率が劇的に高まるのがインターネットを介したオープンイノベーションの最大の特性でしょう。

外の世界に対して自分を晒す

オープンな姿勢で組織の外に出るという姿勢をとりはじめた人は決して少なくないと思います。
けれど、単に自分が外に出て行って、外の世界の情報を吸収するというだけでオープンイノベーションに参加していることにはなりません。外の世界から吸収しているだけでは、むしろ、フリーライダーです。

オープンイノベーションに参加するというのは、自分自身の情報も外の世界の人たちに晒して、相手にも外に出てきてもらうことを同時体験的に行なうことでしょう。
つまり、他人から情報を受け取るだけでなく、積極的に自分からも情報を渡し、さらにそれがそこにいない第三者にも拡散していくことを望む姿勢、そのことで他者との信頼や共感にもとづく関係性を築くことが、オープンイノベーションに参加する前提になります。
パブリックな環境でさまざまな人が関わるイノベーションを実現する際には、そんなオープンな態度が大事なんだと思います。

オンラインで共有されたプロジェクトは、他者のひらめきとなり、コラボレーションのきっかけとなる。一人ひとりの作り手が世界中とつながったとき、ムーブメントが生まれる。それまでひとりで作業していた数百万のDIY実践者が、突然みんなで協力しあうようになるのだ。

「オンラインで共有されたプロジェクトは、他者のひらめきとなり、コラボレーションのきっかけとなる」という話は、かつて画面のなかの話に限られていましたが、それが製造業的な分野でも現実化してきており、そのことで産業や生活文化が大きく変化するというのが『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』が描く現在の世界ですが、そうしたことも含めて、既存の枠組みを超えて、オープンに関わりあうこと、自分を晒すことができるか?ということが、とても問われる時代になっているのではないかと感じます。

20121126b.jpg
3331 TRANS ARTS展より

普段と違うフィールドでの活動を積極的に行なう

そんなことをあらためて考えるきっかけになったのは、僕自身、この11月は普段と違うフィールドでの活動を積極的に行ったからだと思います。

熊本県の黒川温泉でのフューチャーセッションにゲストととして参加させていただいて地元で温泉経営にたずさわる方や農業にたずさわる方たちといっしょに黒川の未来を考える活動を行ったり、1つ前の記事(アート×自然の力で地域を元気にする:奥入瀬ネイチャー×アーツキャンプ2012)でも書いたように青森県の奥入瀬でのアーツキャンプに参加して、アートと自然の組み合わせから十和田・奥入瀬地域を中心に新しいアートプロジェクトをはじめるためにいろいろ考える機会もありました。
アートという活動がさまざまな分野の境界線を越えて人びとをつなぐ際にとても有効だと感じたし、これからはアーティスト以外の人にもアート的な感性はとても大事になるだろうとも思いました。

また、そこで知り合ったアーティストの方の個展をみるついでに、3331 TRANS ARTS展を観たり、それとは無関係にTRANS ARTS TOKYO展に出かけ、東京電機大学の跡地を利用した会場の光景が、まさにその前の週にみた奥入瀬の廃業となったホテルの光景を思い出したりして、普段は考えないことをいろいろ考えるきっかけになりました。

地方に限らず、都心においても、今後は役割を終えた施設が取り壊されることもなく放置されることは増えるはずです。リノベーションされるのはごく一部で、その他の施設は人のいない不気味な雰囲気を放ったまま、時間的に取り残されることになるでしょう。
そんな環境で僕らはどう生きていくか、そうした主をなくした建物とどう向き合っていくかを真剣に考えていかなくてはいけないのだとも思いました。

既存のリソースを新しい技術と組み合わせたりしながら、従来の別の文脈において再生する。そんな作業をさまざまな人を巻き込んだ形の参加型で行なうことで、そこに有機的なつながり、しくみを発生させる。そんなことがこれからは大事にしていく必要があると思うのです。

20121126c.jpg
TRANS ARTS TOKYO展より

みんながたがいを尊重しつつ、オープンにアクションできるプラットフォーム

あと、それ以外では、内容自体はいつもの延長ながら、OPEN CUでのワークショップこちらのセミナーなど、ロフトワークさんの主催の場で講師やファシリテーターをやらせていただいたことで、いろんな方との出会いがあり、お話させていただいたのも、自分の視野を広げるきっかけになりました。

今後、企業がこの変化の流れがとてつもない市場環境において、イノベーションの速度を加速させていけるか? そのためには自社内にとじこもってイノベーションの創出するのはあまりに非効率で、知識やノウハウをオープンにして、さまざまな会社やその他の組織との連携によってイノベーションの速度をあげることでオープンイノベーションの戦略をとるしかないのではないかと思えるのです。
そんな戦略に、どう舵を取るか? それが経営陣だけの課題ではなく、企業ではたらく個々人の課題でもあると捉えない限り、いまの停滞した状況を変えることはできないでしょう。
そんな意味でも自分を晒すことを考えてみてください。



そんな風にさまざまな領域に参加させていただくことで、あらためて冒頭にも書いたようなオープンな姿勢を自覚したと同時に、1人の人間がさまざまな領域に顔を出しながら多様な価値を創造できるような、そんな社会環境のあり方はどのようなものだろうと考え始めています。

1つのビジョンを共有する多様な創造者たちが、自律性を保ちつつ共有できるような創造のプラットフォームをデザインすること。そんな意味でのマルチチャネルのしくみをつくることに、いま、とても興味があります。

みんながたがいを尊重しつつ、オープンにアクションできる場。組織の影に隠れて二枚舌になることもなく、自分に素直に振る舞える場。そんな場としての創造のプラットフォームをつくる方法を考えています。
それがここ最近ずっと追いかけているコ・クリエーションというテーマを加速してくれると思うから。

まだまだ、いろいろ考えるきっかけを与えてもらった1ヶ月。
これからも積極的に、自分をオープンにして外の世界と対話する姿勢をとっていきたいと思います。



関連記事
posted by HIROKI tanahashi at 22:24| オープンイノベーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする