だんだんと真実は明らかになってきた。私は、ヒューマンエラーや産業事故の研究をするようになった。そしてわかったのは、人がいつでも不器用に行動するとは限らないということだった。いつでもエラーをするわけではない。エラーをするのは、その物がよく考えられていなかったり、デザインが悪かったりするときなのである。それなのに、いまだにこの世の中で起こったことはみなヒューマンエラーのせいであるとされているようだ。ドナルド・A・ノーマン『誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論』
ユーザビリティについて考える際、何より大事なのはデザインに関わる人が、デザインの良し悪しによっては使い人がエラーを起こすことがある、使う人の行動が不器用な感じになってしまうことがあるってことをどれだけ自身の問題として意識しているかってことです。
当然、そういう意識をもってデザインに臨むためには、誰がどんなシーンで、どんな目的でそれを利用するかがわかっていないと、どうデザインすればエラーを回避できるかなんてことはわからないわけです。
インタラクション、それは会話のようなもの
基本的にすべての道具はそれを利用する人とのあいだにインタラクションを生起させます。インタラクションとは会話のようなものです。会話において相手が何を言っているのか、何を言わんとしているのかを理解せずに、エラーのない会話を行なうのは困難なように、人が利用するモノのデザインにおいは、何より自身がデザインするものを使う人がどんな人で、どんなシーンで、どんな目的でそれを使うのかがわかっていなければ、まともに使えるモノのデザインなんてできっこないわけです。企業の仕組みのデザイン
さて、それは企業が行なう活動に関するデザインにおいても同じことです。どんな人がどんなシーンで、そして、最終的に市場にどんな価値提供を行なうために、どんなプロセスでどんな仕組みが必要なのか? それってちゃんと考えてデザインされてるんでしたっけ? なんかどうもそうじゃないという気がしますよね。それなのに、いまだにこの世の中で起こったことはみなヒューマンエラーのせいであるとされているようだ。
企業の仕組みのデザインは誰かがやってくれるはずと期待するものではなく、現場にいるあなたたち自身も積極的に関与していかなくてはいけない問題です。そして、それは自分のタスクを見るのではなく、他人のタスク、そして、それ以上にワークフローの最終工程にいる顧客に向かってデザインされていなくてはならないはずですよね。
あっ、でも、それには結局どういう戦略をとって成功を手に入れるのかってシナリオも必要ですよね。まず、そこからデザインはじめないとね。
結局のところ、上流工程を省いてしまえば、何事もうまくいかないわけですね。やっぱり、それぞれがもう一段階ずつでもステップアップしないとダメなんじゃないかしら。
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