今回は、もう1点、調査でありがちな間違い-分析の欠如-について指摘したいと思います。
Google Analytics? いや、Google Measurementでしょ
Webなどではアクセスログ解析ツールを使った効果測定がよく行なわれます。これも1つの測定ですよね。しかし、ログ解析ツールを導入したものの、どう活用したらいいかわからないといった声をよく聞きます。ようするにこれは単に測定してるだけで分析がないわけです。また、事前に何を目的としてログ解析による測定をしようかと思ったかという初期設計もあいまいなのでしょうね。
ただ、目的を決め、何を測定するのかを事前に決めておいたとしても測定だけでは何もわかりません。よくログ解析のレポートだとかいって、数字から見られる問題点をただ羅列してあるものがありますが、それは分析とはいえません。
分析というのなら、せめて問題点の重要度をわかるようにするとか、問題と原因の因果関係を示すとかが必要なわけです。でなければ、何の問題解決のための改善策もそこから導き出せないでしょう。
Googleのログ解析ツールはGoogle Analyticsっていいますけど、あれは単に測定ツールなだけで、分析を行なってくれるツールではないわけです。単にMeasurementのためのツールでしかないわけです。
分析とはY=f(x)を見つけること
では、分析とは何か?シックスシグマにおける分析は、測定したデータを元に問題の原因を見つけるためにあります。
現状の問題をY、顧客に最終アウトプットを届けるまでのSIPOCダイアグラムであらわされるようなプロセス上の変数をxとした際のY=f(x)を見つけることです。
だからこそ、測定段階で何のために調査、測定を行なうのかという問題点の定義が行なわれていなければ、何の分析もできないわけです。
また、問題の発生原因と考えられるxをやたらと優先順位付けもなしに並べられたとしても、その後の改善を考えれば、改善のための作業コストだって限られているわけですから手当たり次第すべてのxを改善していくわけにもいかず、結局、分析は役に立たないわけです。
測定には分析がつきもの
測定したなら必ず分析が必要です。でなければ、なんでコストや時間を費やしてまで測定したのかわかりませんから。にもかかわらず、多くの測定には分析が欠けているという問題点があります。
それは測定側の問題であると同時に、測定を依頼する側の問題点でもあるでしょう。
測定を依頼した側が、単に現状の数字をみて何かわかった気になり、それで満足してしまう場合が非常に多くあります。そうした態度は、測定、分析を担当する人のモチベーションを下げ、ますます分析を欠いた無意味な測定がはびこる要因にもなり、悪循環です。
とにかく、測定を依頼する側はもっと測定者に対する敬意が必要だと思いますし、測定者側ももっと自分の仕事を見つけなおす必要があるのではないかと感じます。
無駄なものを無駄と判断できないのはなぜ?
目に見え、手で触れるものなら、無駄なものを作る作業を無駄と感じられるのに、どうして、こうした調査、分析のような作業に対しては無駄なものを無駄と感じる判断力が欠如しているんでしょうね。考えようとする努力が欠けているのか、それとも、想像力が貧困なのか?
無駄な調査をするくらいなら、まだあてずっぽうで下手な鉄砲数撃ちゃなんとかでやったほうがまだマシな気がします。
あっ、それもちゃんと調べたのか? と上司に言われるので、形ばかりの調査をするんでしょうか。
やれやれ。
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