Webマーケティングだとか、Webブランディングだとか、引っ張りだこ。また、ブログのエントリーがはてななどのブックマークサービスで人気になりやすいのもWeb関連の内容のものだったり。mixiの「マーケティング」コミュニティでも、学生が卒論を書くためのリサーチとして「ビジネスブログについて」だとか「blogマーケティング」だとかいうトピを立ち上げていたりします。
まさか、すべてWebで完結するなんて思ってないですよね?
でも、最近、そういう傾向に個人的にはちょっと危機感を感じていたりします。まさか、すべてWebで完結するなんて思ってないですよね?っていう意味での危機感。そういう危機感ははじめに書いたとおり、Web上でいろんな人のブログをみたりしてても感じますし、仕事でお客さんに接するなかでも感じます。それで最近、「ブランドのつくりかた 1、2、3」みたいなエントリーをあえて書くようにしていたりもするのですが、実際、Web屋の僕がいうのも何なんですが、Webだけでビジネスが成り立つわけでは当然ないですし、同じく当然Webだけが人生でもないわけです(笑)。興味がWebに傾くのは悪くはないですが、こんなにも世間の目、世間の話題がWebに傾きすぎるのをみると、ヘソ曲がりな僕としては、ちょっとWebから離れたところに視点を移してみたくなったりもします。
で、まさか、すべてWebで完結するなんて思ってないですよね?と言いたくもなるわけです。
企業としての一貫性の維持のためには・・・
と、まぁ、流行うんぬんの話は単純に僕の個人的な趣味の問題として置いておくとして、実は仕事の面では、前から書いているように、Webマーケティングだとか、Webブランディングだとかいう言葉に過度に期待をしてしまっているのか、僕たちのような外部のWeb関連のサービスを提供している会社に、企画からコンサルまで含めて一切を丸投げしようとする企業担当者の方が増えてきているような印象をもっています。もちろん、相談していただければ、それこそ相談にのるのはやぶさかではないのですが、一方で、でも、マーケティングにせよ、ブランド構築にせよ、あなたがたの会社の問題ですよという気持ちもないわけではありません。ブランドはもちろん、マーケティングもやはり企業として一貫性をもち、企業の想いが込められた形で実行されていくほうがいいわけです。そこでブランディングやマーケティングを外部の業者に丸投げ状態で一任してしまうと、やはり業務委託のような契約関係のみで結ばれた企業同士では、中長期にわたる一貫性を維持するのは当然むずかしくなります。これはWebに限った話ではないのですが、企業の鏡としてその企業の良さも悪さもほかのタッチポイント以上に色濃く、かつ、広範囲にわたって映し出すWebだからこそ、自社の一貫性というものへの配慮が必要なのではないかとも感じるのです。
Webサイトをどうつくるかを決めるのはWeb屋でなくビジネス
さて、そういった意味で、このエントリーのタイトルにもあるように、Webサイトをどうつくるかを決めるのは、僕たちのような外部のWeb屋でなく、実際にビジネスを行なっている企業の皆さんなんですよということをあらためてここに書いておきたいと思います。先にも書いたように、もちろん、僕たちはクライアントの皆さんのビジネスの課題に応じて、どのようにWebを活用することでその課題に対処できるかという相談にのることはできますし、それがミッションだと思っています。しかし、何がビジネスにおける課題なのかという点に関しては、やはり僕たちのような外部の人間よりも、実際、その企業内で自社のビジネスのための業務を担当されている方々のほうが当然よくご存知のはずです。最近取り上げているようなシックスシグマの手法などを活用しながら、普段、なんとなく感じていらっしゃる漠然とした課題をよりヴィヴィッドにするお手伝いをすることもできるでしょう。しかし、それでも今何が課題なのかを把握し、それをどうWebで解決するのかを決めるのは、その企業で働く方の仕事だと思います。なぜなら、その企業に働く皆さんがそうしなければ、企業としての一貫性をWebで伝えていくことも、確固としたブランド・アイデンティティを築き上げることもできないからです。
Web屋はお客さんに対してどう接したらいいか?
そういう意味では、Web屋の僕たちの側もやはり、今ここに書いたことをお客さんにきちんと伝えてあげる使命があるのではないかと考えたりもしています。お客さんに「○○を提案してください」だとか「○○を改善する方法を教えてください」などと言われれば、つい営業的には「はい」と答えたくもなります。競合他社とのコンペなどであれば、余計にそのように動きたくなるはずです。でも、そこはお客さんにも納得いただける方法で「それは貴社の仕事ですよ」と理解していただくほうが、結局はその企業のためになるはずです。
といっても、なかなか営業の場でそれを強く訴えることはやはりむずかしいこともあるでしょう。であれば、営業シーンに入る前に、マーケティング的な手法でお客さんとなりうるターゲットに対して、そうした理解が得られるようなコミュニケーションを行なっていくことがWeb屋のマーケティングの仕事の一部なのでしょうね。そして、それは単にお客さんになりうるターゲットに対してだけでなく、最初に書いたような世間一般のWebへの過度な期待感のような雰囲気に対しても、おなじようにコミュニケーションを図ることで理解を得ることが求められているのかもしれないなと感じています。
Webがこの情報社会において非常に強力なツールであることは間違いないと僕も思っています。
だからこそ、その強力な力を生かすためにも、正しい使い道が可能な前提条件として、実際に使う人自身が、自分の想いだったり、自分自身の課題の認識だったり、誰に想いを伝えたいかだったり、強力な力を生かして何をしようとしているのか、何処に向かおうとしているのかを認識することが必要だということを、Web屋を名乗る僕たちがきちんと伝えていかなくてはいけないのだろうなと思っています。
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この記事へのコメント
りゅうたろう
いつもうなづきながら拝見しております。
私もシステム的なアプローチからWEBに関わっておりますが、「提案してくれ提案してくれ」というのが非常に多いですね。お客さま自身が考えなければならない将来的な展望すら外部になげようとするのは非常にもったないなと感じます。
また、これは外部にだけ起きている現象ではなく企業内でもトップが丸投げする、他部署が丸投げする、というのも多いですね。
問題は、
・お客様がWEBは難しいものとして、はなから理解しようとしない。
・WEB屋もWEBが万能なもののように言うが、実際自分たちでもWEBをどう活用したら良いかがわからない。
この隙間を埋めるものは何か、、
やはり機能や仕組み云々の前にもっと"人"もしくは"人間"に視点を当てるべきかなと思います。
tanahashi
機能ではなく、人にというご意見、ごもっともだと思いました。
人に焦点を当てるためにも、これまでもビジネスの現場では、普通に使われてきたマネジメント手法、問題解決手法を、Webに関わる現場でもきちんと取り入れていくことが必要なのだろうと感じています。
それは単にWebをつくるというプロジェクトのマネジメント手法としてではなく、ビジネスプロセスをWebに変換することでビジネス効果を継続的にあげられる仕組みをつくり、それを運用するという意味において。