2006年12月07日

ブランドのつくりかた:3.顧客インサイトを把握する

「ブランドのつくりかた:1.シックスシグマを使う」ではシックスシグマの手法を使った企業のコアプロセスの特定、アウトプット要求とサービス要求の2つの顧客要求について、そして、「ブランドのつくりかた:2.戦略マップとバランススコアカードを使う」では戦略マップとバランススコアカードを使って、戦略の可視化と測定によるコントロールの手法を紹介しました。こうした手法を使うだけでも随分と「ブランドをつくる」方法が製造業の方などにも慣れ親しんだものになってくるのではないかと思います。

顧客インサイトを分析する

しかし、それだけではまだ不足しています。当然、この戦略がそもそも正しいの?という疑問があるわけです。
そのためにはやっぱり顧客の購買における選択要因、利用における満足要因などの顧客インサイトに関する情報収集、分析なども当然必要になります。そうでなくては、その戦略がブランドに対する顧客の評価をあげることにつながるかどうかを検討することができないわけですから。ようは顧客のインサイトを知らなければ、単なる当て推量で戦略(もどき)を描いているのにすぎないわけです。

シックスシグマのロードマップ

『シックスシグマ・ウエイ―全社的経営革新の全ノウハウ』は次のようなロードマップが描かれています。

  1. コア・プロセスと主要顧客の確定
  2. 顧客要求の定義
  3. 現行パフォーマンスの測定
  4. 改善活動の優先順位づけ、分析、実行
  5. シックスシグマ・システムの拡張と統合


1番目の「コア・プロセスと主要顧客の確定」は「1.シックスシグマを使う」で紹介した部分に相当すると考えていただければよいかと思います。「改善活動の優先順位づけ、分析、実行」や「シックスシグマ・システムの拡張と統合」で使える手法が「2.戦略マップとバランススコアカードを使う」で紹介したものに相当すると考えてください。
そして、本エントリーで紹介したいのは2番目の「顧客要求の定義」です。

何が購買決定要因となるか?の測定、分析

顧客インサイトを知る場合でもいろんなシーンが考えられますが、ここでは例えば購買決定要因について知りたいとしましょう。例として、携帯電話の購買決定要因を考えてみることにします。

例えば、手持ちのデータを見回すと、どうやら携帯電話の購買決定要因としては以下のような要因があげられるとわかったとしましょう(あくまで例ですのでそんなの購買決定要因にならないとかいうツッコミはナシでお願いします)。

親和図(KJ法)を使って分類する

こんなバラバラの状態では、どうにもなりませんので、親和図(またはKJ法)を使って整理します。親和図は似たようなものを並べてグループをつくる分類法です。

こんな感じになるでしょうか?

特性要因図(フィッシュボーンダイアグラム)に変換

親和図に基づき、特性要因図を描いてみてもよいでしょう。特性要因図は、ある問題の要因を整理し、分析する際に用いるツールで、因果図、魚骨図、フィッシュボーンダイアグラムとも呼ばれす。

こんな感じです。


実験計画法、QFD(品質機能展開)

ここまでで顧客の購買決定要因となりうるものの整理はできました。これに沿って測定を行い、どの要因が実際に購買決定要因として大きな影響力をもつか分析します。

ただし、購買決定要因を調査するのにアンケート調査だけではリアルな顧客の声をとらえることはむずかしいでしょう。より事実に基づくデータが欲しいわけです。それにはいわゆるA/Bテストなどを用いて、異なる価格で購買に影響が出るかを調べたりすることもできますが、ここに示しただけでも17の要因がありますので、これを1つ1つA/Bテストしていたのでは調査に時間がかかりすぎますし、時間が長引けば同一の環境でのテストも難しくなります。
その場合でもシックスシグマには実験計画法というすばらしい手法が用意されています。ここでは詳しく述べませんが、実験計画法ではOFAT(One-Factor-At-a-Time)アプローチをとらず、多数の条件の組み合わせによるテストを行ないます。多数の組み合わせをテストしたデータを分散分析や重回帰分析を用いて有意なパターンを見出します。

また、顧客からのインプットを優先順位付けし、それを製品、サービス、プロセスの設計や仕様につなげる手法としては、QFD(品質機能展開)といったツールも用いられます。

QFDの持ち味を引き出すには、他のさまざまな手法、VOCインプットから実験計画法までを併用する必要がある。
『シックスシグマ・ウエイ―全社的経営革新の全ノウハウ』

QFDに関しては、僕自身もちゃんと使ったことはありませんので、ここでは品質の家(House of Quality)と呼ばれる多次元マトリックスのイメージをご紹介するだけにとどめておきましょう。詳しくはもっと勉強、実務を重ねてからということで。



ブランディングにも科学的アプローチが必要

今回まで3回、駆け足にシックスシグマやバランススコアカードを使った実験、測定を用い、顧客視点でのプロセスを重視したアプローチを使い、ブランド構築を考え直せるかについて考察してみました。
僕自身は非常に有効だと考えていますし、実際、こうした手法を個別には用いていたりします。今回はあらためて整理のために書いてみようと思ったのと、やはり自分自身でもより統合的な形で、こうしたアプローチが必要なのだと思っています。統合的というのは、組織プロセスの面、情報(システム)の面、そして、個々人のスキルの3つのレイヤーにおいて。

まだまだ学ばなければいけないこと、磨いていかなければいけないスキルは多いのですが、行き当たりばったりのブランディング、マーケティングばかりではいけないという思いはものすごく強くあります。また、マーケティングやブランディングがひどく情報社会やITというものに取り残されているという危機感も強い。

果たして、Webマーケティングだとかマーケティングだとかを職務とされている方で、同じように感じてらっしゃる方はどれだけいるのでしょうか?

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posted by HIROKI tanahashi at 02:11| Comment(0) | TrackBack(1) | ブランディング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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