ブログやRSSなどの利用率を他のスタンドアローンなサービスと同じ基準で図るのってどうなんでしょ?

実は前々から思っていた疑問。

ブログやRSSなどの利用率を、いわゆるほかの普通の商品(例えば、洗濯洗剤やペットボトル入り緑茶、バイクなど)と同じ基準で図るのってどうなんでしょ?って思うんです。

測る尺度が間違ってるんじゃないですか?

なぜ、そんな疑問をもつかといえば、前者の利用者って実は情報を発信する側と受け取る側の両方にまたがるネットワーク型のサービスであるわけで、それに比べる後者は基本的に利用者本人のみが利用するサービスなわけです。
なので、後者であれば単純に利用者を1人2人と数えることが比較的、意味をもつと思われますが、前者はそういうわけにはいかないんじゃないでしょうか?

『インターネット白書2006』のデータによれば、RSSリーダーの認知率は64.8%、利用率は前回の9.5%から14.8%となったとされています。
この14.8%が少ないと考えるのは、これまでのスタンドアローン(つまり本人のみ使用)で機能するサービスと同じ尺度でみて、多い少ないを判断してるからだと思います。
でも、それって測る尺度が間違ってるんじゃないですか?って思うわけです。
リーダーを使うような人の影響力と、使わない人の影響力って同じように1人という単位で測ることに、また、普及率を全体に対する比率としてあらわすことに意味があるんでしょうか?ってことです。

利用者1人? でも、その影響度は大きく違うよね

さっき「人間はちっぽけだけど、儚くはない」というエントリーで尺度の違いがそこから得られる判断を大きく変えてしまう例を見ましたが、ブログやRSSの利用率に関しても同じことがいえると思います。

ブログやRSSは本人だけが使って終わりのツールではなくて、一人が利用することでそこから影響がネットワークで伝わっていくサービスです。ブログの口コミとかが注目されるのもそういうことでしょう?

例えば、このブログでも1日平均8000を超えるページビューがあります。その際にブログの利用者を僕1人だとカウントすることに意味があるでしょうか?
また、アクセスログ解析のデータをみれば、いろんなユーザーのはてなRSSなどのリーダー経由での訪問が結構多いのがわかります。しかも、どうもそれがRSSリーダーをもってる本人だけのアクセスじゃないと思われます。ようはRSSリーダーの情報も共有されているわけです。

しかも、ブログにしても、あるいは、ソーシャルブックマークの情報にしても、その情報がどれだけ共有されるかは、そのブログの持ち主やソーシャルブックマークの持ち主がどれだけ影響力を持ってるかによって異なります。そういう違いのあるものを同じように利用者1人とカウントすることに無理があるんじゃないの?って思います。

利用者1人? でも、その影響度は大きく違うよね

ブログなどのソーシャル・メディアと呼ばれるツールに関しては、利用者という捉え方を考え直さないといけないでしょう。
総務省などからもブログやSNSの利用者数が発表されたりしていますが、それを単純に普及率として捉えると、現実を捉え間違えるんではないでしょうか?

このあたりはいわゆるマーケターの方々は頭を切り替えていかなければいけないでしょうね。切り替えられてますか? というか、そのあたりの動きがちゃんと捉えれているのでしょうか、一般的な企業のマーケターの方には? マーケットがわかってないマーケターってナシですよね。

で、さらにこのあたり利用者に代わる尺度も必要なのでしょうね。

参考記事
Webマーケティングガイド、【自主リサーチ調査結果】第1回Web2.0主要キーワード調査 -Wikipedia認知者の利用率は高い-

 

この記事へのコメント

  • Yoshikawa

     なるほどー。ちょっといろいろ考えながらこのエントリーを読んでしまいました。
     実は私は逆にこのあたりの認知率や使用経験率は、洗濯洗剤やペットボトル入り緑茶、バイクなどといった普通の製品に比べると逆に高すぎると常々思っていました。だって今だにパソコンやインターネット使ったこと無い人って日本人でもそれなりにいると思うのです。それを考えると最近の数字は大きすぎるなと。だからなんか逆のことを言われたようで、ちょっと考えてしまいました。
     あと商品の普及率を考える場合、1人1台持つことがMAXとなる製品は保有率で捉え、1人で2つ以上持つ製品の場合は別の率を使うというようなことを聞いたことも思いだしながら、ブログやRSSリーダーはどっちなのかなー、なんてのも考えたりして・・・
    #発散気味のコメントで恐縮です。
    2006年11月27日 23:59
  • tanahashi

    Yoshikawaさん、コメントありがとうございます。

    普段、普及率が少ないんじゃないの?って意見ばかりを耳にしてますので、Yoshikawaみたいな意見は逆に新鮮ですね。多いか少ないかは別として、本当のところ、実数はどうなのかは確かに気になるところですね。
    「1人で2つ以上持つ製品の場合は別の率」。これなんていうんでしょうね。ブログとかってなんかそれとも違うような気がしてます。
    2006年11月28日 09:51
  • 今泉

    棚橋さん、こんにちは。
    おっしゃること、自分は自分なりにすごく同感です。
    ご指摘の尺度を組み入れられる枠組みとして、Social Network Analysisの手法が使えるのではないかとぼんやり考えています。が、数理的な知識がまったくないため、そこから先に進みません。
    Social Network AnalysisのSociogramにおいて、1個1個のノード(ユーザ)に、可変量を打ち込むことができるモデルがあれば、棚橋さんがおっしゃる影響力などを加味した定量化が可能になると思うのですが。。。

    雰囲気としては以下のようなイメージ↓

    http://www.ccsr.ac.uk/methods/publications/snacourse/pajek.html





    2006年11月30日 07:06

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