売れてナンボとサステナビリティ:いま売れることと将来も売れ続けること

ブランディングの相談を受けていて、時々、感じるのはブランドの話をしていたのが、いつの間にかマーケティングの話、いや販売の話になってしまっていることがあることです。
「売れてナンボ」っていうのはもちろん、企業にとって重要なことですが、マーケティング的にも、ブランド的にも、いま売れればいいといった考えで望むわけにはいきません。営業的な視点に立てば「いま売れる」ことが大事ですが、企業のサステナビリティを考えれば「将来も売れ続ける」ことがマーケティングの課題であり、また、そのためにブランド構築を行う必要があるといえます。

将来も売るものを作れる人材がいなくてはいけないし、人材の調達がブランド価値があがらないためにコスト高になるかもしれないし、技術を継承していかなくては将来技術レベルが落ちるかもしれないし、そもそも市場環境の変化で今までどおりにはものが売れなくなるかもしれないし、商品をつくるための原料が枯渇するかもしれないわけです。「いま売れる」ことはもちろん大事ですが、それだけでは企業はやってはいけません。「将来も売れ続ける」ために企業は常に先手をうって考え、動くことが求められます。

こうした姿勢はアメリカや日本よりも、ヨーロッパのほうが浸透しているようです。
シェルの長期的なビジネス戦略立案に関する本に関して山形浩生さんが紹介してくれてます」でも紹介したようなシェルの取り組みもそうですし、ブランドの観点でもジャン=ノエル・カプフェレの『ブランドマーケティングの再創造』のような本でそうした姿勢を感じ取ることができます。

売れる/売れないというのを後手後手にまわって自転車操業的に施策を打つのもいいですが、それよりも先手先手で事前に準備を進め、人材確保や資本の確保といった面でもブランドを行かすよう、その前もった取り組みを先、先にと宣言し、そして、そこからの社会との対話の蓄積していくのも大事です。そういう先手を打ったサイクルこそ、「将来も売れ続ける」ためのマーケティングには必要ではないか、と。
そうでなければ、いつまでたっても「そんな先のことはいいから、今は売れてナンボ」と自転車操業を続けるしかないのではないかと思います。

もちろん、企業にはそれぞれ体力というものがあるでしょうから、すべての企業がシェルのように2025年を考えるために莫大な投資をすることができるわけでもないでしょう。しかし、いずれの企業も自分たちの体力に見合った分の投資を将来に向けて行ったほうが、結局はあとで楽できるのではないかと思います。

サステナビリティというとどうも環境問題みたいなことばかりを想像しがちですが、実際、それだけでは企業は動きません。むしろ、将来も売れ続ける環境のためにも、環境面、社会面、経済面で先を読んだ考察を行い、戦略をたてていくのが企業のサステナビリティであるわけです。
なかなか現場レベルではここまで考えるのはむずかしいのですが、ただ、企業経営というのはそういうのも考えなくてはいけないのだということくらいは頭の片隅にでも置いておいたほうがよいかもしれません。

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