SEOだとか、LPOだとか、SMOだとか、マーケティングROIだとか、その手の話も単にそれのみで語ってしまうと、あまりに既存のビジネスとかけ離れている感じがするのです。
また、一方で「事業会社にとってのWeb2.0:Webサイトの問題点を改善するだけでよいの?」でも書いたように、Webをリニューアルしたり、コンテンツを拡充したりっていうのも、それがちゃんとビジネスの課題に直結した改善として行われているのでなければ、同じ理由であんまりピンとこないのです。
経営の言語とWebの言語を結びつけるインターフェイスが必要
企業においてWebは重要なツールだと認識さえはじめていたり、月間100万訪問を超える企業サイトがあらわれていたりという中で、いまひとつ企業経営とWebの活用というのがちゃんと結びついていないというのが最近すごく感じる印象です。とても表面的なところだけで「Webをビジネスに」と言ってしまっている気がするのです。ですので、いろんなWebのソリューションを提供する側もいまひとつ企業経営のコアな部分にまでは踏み込みません。企業の経営側もWebにそんなことを求めていない現状もあるでしょう。ちょうどそれは企業におけるITの活用が単にシステム部門の中での問題みたいになってしまっていて、企業における本当にクリティカルな業務の改善だったり、経営課題の改善に結び付けられているケースが日本だとあまりないというのと同様のものではないかと感じます。経営の言語とWebやITの言語を結びつけるインターフェイスの部分が非常に弱いのだなと思っているわけです。そのインターフェイスとなる言葉が必要なんだなととても感じるところです。
そして、そのインターフェイスを持っているのがGoogleなどのWeb2.0的なネット企業で、一般の事業会社はそのインターフェイスを持たないという意味で、Web2.0に至っていないといえるのではないかと思っています。これが僕なりの「事業会社にとってのWeb2.0」の定義といってもよいかもしれません。
本質的なWebマーケティング
Webという言葉を除外すれば、マーケティングの対象は販売促進などの販売プロセスだけでなく、人材などの調達プロセス、社内教育のプロセス、そして、もちろん生産プロセスや研究開発プロセスなど、「売る仕組み」として必要な企業内の様々な機能にまたがる話です。また、そうした諸機能をマネジメントしていくのが企業経営です。その観点から見れば、本質的なWebマーケティングとは、そうした諸機能を統合的にマネジメントする企業経営の課題をシックスシグマやバランススコアカードなどの経営寄りのツールを介してWebに変換することで、Webを用いた解決策を企画、実行、測定、管理していくことではないかと考えます。その意味でまさに「Web構築・運用は企業経営の縮図」だと思うのです。
そうした本質を捉えると、Webコンサルとはある意味では経営コンサルとなんら代わりがないものになってくるのだろうなとも思います。また、そこまで踏み込まないと、一般の事業会社にとってのWeb2.0というのは実現しないのだろうなというのが最近の実感だったりもします。
共通言語としてのシックスシグマやバランススコアカード
そんなことを感じているので、最近はこれまであまり活用してこなかったシックスシグマやバランススコアカードの手法を積極的に取り入れて話をするようにしています。そこから話を進めれば、やっかいなブランディングの話も一般論や意味不明なWebブランドみたいな話に迷い込んでしまうこともなく、ビジネスにとってのブランド、そして、それを実現するツールとしてのWebという図式が一般の企業担当者の方にも納得してもらえる方向で進めることができたりします。落としどころがWebだからといって、最初からWebの言語で話をするのではなく、むしろ、クライアントとの共通言語としてシックスシグマやバランススコアカードを使うのはよい方法だなと感じています。
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