事業会社にとってのWeb2.0:Webサイトの問題点を改善するだけでよいの?

Webって本当にマーケティングに役に立つの?って訊かれることがあります。
いや、正確に言えば「マーケティング」の部分は、「ブランディング」でも、「IR」でも、「CRM」でも、あるいはビジネス的課題解決なら他になんでもありだったりします。ようはWebってビジネスに役に立つの?という質問です。

Try not. Do or do not.

最近、そういう質問を受けると「役に立つの?じゃなくて役に立たせるのがあなたのミッションなんじゃないですか?」と逆に質問したい気分になります。Webをマーケティングに役立てるのに、僕たちで大丈夫なのか?という質問であれば、精一杯答える気になりますけど、Web一般が役立つかどうかなんて質問にはほとんど意味がないと思っています。
なぜならば、それはあなたが会社から与えられたミッションであり、それをやるのが責任なのですから、単純に一般的な可能性を云々したところではじまらないと思うからです。

ヨーダがフォースの修行中のルークに対してなんて言ったか思い出してみてください。

Try not. Do or do not.
やってみるではない。やるかやらないかだ。

自分の責任を全うするのに、できるかできないかを云々していてもしょうがないでしょう。そんなのまともなビジネスマンとは思えません。可能か可能じゃないかではなく、やるかやらないかだと僕は思います。

Webサイトの問題点を改善するだけでよいの?

という前提条件を踏まえたうえで、じゃあ、実際にWebを本格的にビジネスに役立つようにしようと考えたら、今度は「Webサイトの問題点を改善するだけでよいの?」って疑問が生じます。
ユーザビリティだとか、情報設計だとか、アクセシビリティだとか、SEOだとか、コンテンツや機能の充実度だとか、Web固有の問題を解決するだけで、果たしてそれでビジネスに本質的な解決をもたらすんでしょうか?

僕はNOだと思ってます。
ビジネスに役立てようとするなら、Webの問題点を見るよりもまず、ビジネスそのものの問題を把握しないとはじまりません。それを把握した上で、じゃあ、そのビジネス課題をWebを使って解決するには、Webのどこを改善あるいは拡張すればよいのかと考えるのが全うな筋道なんじゃないでしょうか?

コアプロセスの課題を把握して、具体的にどうWebでの解決を行うか模索する

問題の把握の仕方にはいろいろあるでしょうけど、たとえば、こんなのも使えます。
下の図はマイケル・ポーターのバリューチェーンの図。
ここには企業の一般的なコアプロセスが描かれています。

valuechain

この図で、例えば、企業が成長していく上で一番の課題が「調達活動」、特に人材調達だとわかったとします。
そしたら、今度はいわゆるSIPOCを明確にするために、下図のようなプロセスマップを使って、人材調達プロセスにおけるを可視化してみるわけです。

processmap

ここまでプロセスの中のどこに問題点があるかを把握できれば、その問題をWebで解決することはできないかを具体的に問うことができるようになります。
例えば、採用者募集で応募してくる人がどうも自分たちが希望しているのと違う人ばかりだったとすれば、それは募集内容の中できちんと自分たちが望む人材イメージを明確に伝えられていないということに原因があるのかもしれません。そうした仮説が立てられたら、まずその部分を改善してみればよいのです。それこそWebだから、改善も効果検証もそんなにむずかしくはないでしょう。仮説が正しければ答えは出るでしょうし、間違っていたら問題は解決されないでしょう。そしたら、また別の問題箇所を検討してみればよいのです。いわゆる継続的改善ですよね。

こういうのってシックスシグマ的手法だったりします。
そりゃ、闇雲に改善しようとしたって、不良品の発生率が6σになるわけなんてないですからね。

調査ばかりやってもダメ。仮説検証型の施策がWeb向き

はじめに書いた「Webって本当に○○に役に立つの?」っていう人の多くは、そうした疑問ばかりを口にするだけあって、やたらと事前調査だとか、自社サイトの評価のランキングだとか点数にこだわる傾向があります。

でも、ちょっと考えらればわかると思いますが、そんな調査結果ばかりを気にしていても、ビジネス課題は一向に解決しません。それははっきりいってミッションの放棄です。もちろん、仮説をたてるためにある程度の事前調査は必要ですが、結局、Webでの改善に限らず、ビジネスで何もやらずに答えが出ることなんてありません。結局はやってみないとわからないのがビジネスだと思います。

ただ、Webの場合は先に書いたような仮説検証型の継続的改善がわりと低コストで、スピーディーに行える利点があります。この利点を生かすには、大きな改善を一気にやることを考えるより、大きな目標に向かうときも小さな改善を積み上げていくほうが結局は近道で、より確実な方法だったりします。
それは進化の歴史において菌類が突然、魚になったり、魚が陸に上がって突然、人間になったりしないように、漸進的な改善過程が必要なわけです。もし魚を一回の突然変異で人間に変えようなどとしたら、多くの親が子を失うことになるでしょう。
そう。それは失うものが多すぎるのです。

そして、僕は最近、こういうのこそが一般の事業会社にとってのWeb2.0でしょって思っているわけです。

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