今年の6月に伊勢神宮に行った際に感動して、ぜひ次は熊野だと思っていたので、こんなにも早く行くことができてよかったです。この三連休は運よく、天気もよかったですし、世界遺産にもなっている熊野古道を堪能できました。
熊野那智大社
今回は、熊野三山と呼ばれる熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社を、3日間で1日1社ずつ訪ねてみました。1日目に訪れたのが、熊野那智大社。昼頃に那智駅に着いて、那智川に沿って熊野那智大社・青岸渡寺へ。今回、歩いたのは、熊野へ通ずる4つの古道のうち、中辺路と呼ばれるエリアで、熊野那智大社への古道は、京都から上皇が熊野詣でをする際の一番最後に通ったところといわれています。
熊野那智大社社伝に「神武天皇が熊野灘から那智の海岸“にしきうら”に御上陸されたとき、那智の山に光が輝くのをみて、この大瀧をさぐり当てられ、神としておまつりになり、その御守護のもとは、八咫烏の導きによって無事大和へお入りになった」と記録されております。
と、社伝に書かれているように、那智大社は、元来、那智大瀧をご神体とする神社です。
「神社にとって本質的な要素は社殿ではなく鎮守の杜」でも書きましたが、神社にとっては社殿よりも周囲の自然のほうが重要なことは、この那智大社を訪れた際にもとても感じられました。苔むした石の階段をひたすら登っていく大門坂は、伊勢神宮の杜に劣らないとても太く大きな木が立ち並び、神社に近づくにつれ、神聖な雰囲気を感じさせます。この道が今回、通った熊野古道では特におすすめのコースです。
そして、やはり現在の社殿がある場所よりも、那智大瀧がある飛瀧神社の周囲のほうがそのエネルギーは強く感じられます。熊野三山すべてにいえることですが、ちょっとした観光気分で行くにはもったいない場所だと感じました。
熊野那智大社:http://www.kumanonachitaisha.or.jp/
そして、一日目の夜は勝浦温泉のホテルで過ごしました。
熊野本宮大社
2日目は勝浦から新宮を経て、熊野本宮大社の神域の入口とされる別格の「発心門王子」へ。ここから昔の旅人たちが高台から熊野本宮のお社を一望して有難さのあまり平伏し拝んだといわれる伏拝王子などを通って熊野本宮大社へ。本宮のほうは他の2社が朱塗りの社殿であるのに対して、白木の原木のままで、僕としてはこういったタイプの社殿のほうが好きです。
崇神天皇六十五年に熊野連〔くまののむらじ・又くまののあたえ〕大斎原(旧社)において、大きな櫟(いちい)の木に三体の月が降りてきたのを不思議に思い「天高くにあるはずの月がどうしてこの様な低いところに降りてこられたのですか」と尋ねましたところその真ん中にある月が答えて曰く、
「我は證誠大権現(家都美御子大神=素戔嗚大神)であり両側の月は両所権現(熊野夫須美大神・速玉之男大神)である。社殿を創って齋き祀れ」
との神勅がくだされ、社殿が造営されたのが始まりとする降臨神話となっております。
こちらも現在の社殿のある場所は旧社地が洪水で被害を受けたあと、移されたとのことで、やはり旧社地のほうが圧倒的なパワーを感じます。とにかく杜に立つ木が違うんですよね。昔の人はきっとそういう自然の生命力に神を見たんでしょうね。それがよくわかります。
熊野本宮大社:http://www2.ocn.ne.jp/~sanzan/NTTcontents/hongu/
2日目の夜は、本宮の近くの川湯温泉でい一泊。川湯温泉の名のとおり、川の岸にある露天風呂が開放的でよかったです。
熊野速玉大社
そして、3日目の今日は、川湯温泉からバスですこし移動してから、熊野川を船で川下り。熊野川 川下り:http://www.kumanokawabune.jp/
かつての上皇さんたちも本宮を参ったあと、同じように船で速玉大社のある新宮まで熊野川を下ったそうです。かつては本宮からの4時間あまりのコースだったようですが、現在はそれを再現した約1時間半のコースが観光客向けに提供されています。
川を下ったところがちょうど熊野速玉大社です。しかし、こちらもいまの本殿がある場所よりも、見どころは摂社である神倉神社。
今から約二千年ほど前の景行天皇五十八年の御世に、熊野三所権現が最初に降臨せられた元宮である神倉山から現在の鎮座地にお遷りになり、これより神倉神社の『旧宮』に対して『新宮』と号したと古書にみえます。
とても急な石段500段をのぼった神倉山にはゴトビキ岩という巨石があります。これがまた圧巻で、確かに神域らしい神秘さを感じさせる場所でした。
熊野速玉大社:http://www.kumanokaido.com/hayatama/index.htm
熊野古道
といった感じで駆け足で熊野古道をめぐる3日間を過ごしたわけですが、以下のサイトのマップにもあるとおり、まだまだ熊野古道には見所がたくさんありそうです。ぜひまた訪れてみたいなと感じさせる場所でした。
熊野古道観光マップ:http://wiwi.co.jp/kanko/walk/index.html
この記事へのコメント
Longtail
以前、川勝平太氏の鎮守の森の大切さの話を聞いたことをふと思い出しました。
noriyo
3カ所それぞれに、別々の「気」を強く感じました
熊野はほんとうに聖なる土地なのだなあと感動しました
東京に帰ってからあらためて中上健次の小説を読み返してしまいましたよw
tanahashi
500段の石段より、那智大社へ続く大門坂はもっとハードでしたよ。
500段の石段は意外とすぐに登れました。
>noriyoさん、
確かに3つのお社、それぞれに違う気を感じましたね。
神社って自分が好きだと思うところに行くのがいいんですって。
その意味で今回、行った中では本宮の気が僕には一番馴染めましたね。
中上健次は確かに読み返したくなりますね。
『熊野集』あたりが特に読みたいですね。